3 / 110
2話 少年は森で草むしり
しおりを挟む
森に入って1時間ちょっと、籠には山菜や薬草がまだ半分しか集まってなかった。
「これマジで無理でしょ……」
日も暮れ始めてそろそろ帰らないとまずい時間帯になってきた。
「全然集まってないけど夜の森は危険すぎるからそろそろ帰るとしましょうかな」
森のクマさんに食い殺される前に森をでようと足を動かそうとするとあることに気づく。
「ん?」
辺りを見渡すとそこは自分の知らない森の風景だった。
「おかしいな、この森には小さい頃から何度も入って道に迷うことなんて今まで一度もなかったのに、こんなとこ一度も見たことないぞ」
森は森でもそこには自分の知らない森が広がっていた。
いつの間にか深いところに入りすぎたのだろうか?
いやそうだったとしてもすぐにわかるはずだ。
いくら魔物がいないこの森でも魔物には劣るが凶暴な動物はいる。だからその動物達の縄張りに入らないようにある程度安全なところと危険なところを区切るために目印が色んなところにある。
いくら集中して山菜を採っていてもそれに気づかないはずがない。
まずいな……。
どうする?もう日が暮れ始めているしこの森はかなり深い、魔物はいないが俺からしてみれば凶暴な動物もたくさんいる。
「こんなところでボケっとしててもダメだ」
とりあえず見覚えのあるところを探さなければいけない、とそう思い、止まった足を再び動かそうとすると後からガサッとなにかの物音がした。
そろーりとゆっくり視線を後ろにやるとそこには全長3mにもなる巨大な熊が涎を垂らしてこちらを見ていた。
「オゥ……」
おいおいなんてこった、こういう時に限って!
頭の中で悪態を吐くと、大熊が大きく鋭い爪を俺めがけて叩きつけてくる。ブンッ!と人間が躱すには到底不可能な速さでだ。
「うわっ! いきなりかよ!?」
しかし奇跡的に熊の攻撃を躱し、尻餅をつきながらも素早く立ち上がりなんとか逃げ出す。
ヤバイヤバイヤバイ!
どうする!?どうやってあんなバケモノから逃げる!?
熊との距離を離そうと猛ダッシュで走るが熊は余裕な足どりでゆっくりと俺を追いかけてくる。
「クソっ! バカにしやがって自分が走って追いかけるまでもないってか!」
熊が舐め腐った余裕を見せ腹を立てるが今の状況は完全に俺の劣勢だった。
連なる木々の隙間を縫い必死に足を動かす。あまり長い距離を走ったわけではないのだが死の緊張感とでも言うのかものすごく息が苦しい。
「あっ……」
体も言うことを聞いてくれず脚がもつれ木の根で転んでしまい、必死の逃走劇も虚しく終わりを告げた。
焦って体を起こそうとするがそれは無意味だと悟る。
目の前には既に大熊がいて大きな口を開いて、『造作もない』とでも言うような目で俺を見つめてくる。
鋭い牙で俺の首元を食いちぎろうとした瞬間、大熊の命は突然絶たれる。
「……え?」
何が起こったのか状況を理解しようとしたがそれは必要なかった。
大熊の死体の後には大熊より一回りも大きいイノシシのような見た目をした魔物がいた。
「ま、魔物!?」
どういうことだ、この森には魔物がいないはずなのになんで!?
そう思ったがすぐに思考が別のことに切り替わる。
いや、今はそんなこと考える場合じゃない。
幸いまだあの魔猪は大熊に夢中でこちらに気づいてない今のうちにどこかに隠れないと。
息を殺しゆっくりと体を起こし気づかれぬように慎重に踏み出そうとする。が、足を踏み出した瞬間、パキッと木の枝が折れるこぎみの良い音が響く。
「や、やちまったぁぁぁぁぁ」
まさに絶望。
まさか自分がこんな馬鹿なことで死ぬことになろうとは思いもしなかった。
当然魔猪はその音を聞き逃すはずもなくこちらを向き猛スピードで襲いかかってくる。
"ああ、こうして自分は死んでゆくのだろうか?"
魔物が襲いかかってくる中そんなことを考える。
"夢を叶えずして何も成し遂げないで死んでいくのだろうか?"
完全に心は折れていた。
"まあ、別にいいか
このまま生きていても自分の夢は何一つ叶いはしない"
魔物はすぐ目の前まで迫ってくる。
"なぜなら自分は農民だから"
"生きていてもずっと世界を知らないまま小さな村で畑を耕しながら死んでいくのだ"
"ならここで死んでも別にいい"
そして魔物の猛突進が俺の軽い体を20m ほど先まで吹っ飛ばす。
「かはっ!」
ドサッと体が地面に叩きつけられる。
さっきの魔猪の一撃で全身の骨はグシャグシャに砕け散りもう一歩だって動けそうにもない。
死んだ、完全に。
だがまだ不思議と息がある。
まだ自分は生に縋ろうとしているのか、そう思った。
ふと、走馬灯のように思い出す。
小さい頃の思い出、父と一緒に川で釣りをした思い出、母と一緒に父の大好きな魚のシチューを作った思い出、そのシチューを3人で笑いながら食べた思い出、そしていつか自分は騎士になって両親に沢山美味しいものを食べさせてあげるのだと声高々に話す思い出。
暮らしは決して裕福ではなかったがとても幸せだった。
死をさまよう中で自分の大切なことを思い出した気がする。
「そうだ……思い……出した……俺が騎士になりたい理由……」
別に特別な理由ではない。
「父さんと....母さんに美味い.....飯を食べさせて.....でっかーい立派な家を建てて一緒に暮らして......楽をさせてやりたいからだった.....」
誰もが夢見るようなことだ。
でも自分の夢の出発地点はそんな他愛のない事だった。
なんで忘れていたんだろう、こんな大事なこと。いつのまにか騎士になりたいって気持ちだけが先走りしていたような気がする。
そうだ俺は父さんと母さんを村の人たちを守りたいから、騎士になりたかったんだ。
駄目だ。まだ死ねない。
まだ俺は何も……父さんや母さん、村の人たちに何も返せていない!
「何か……何かないのかないのか……なんでもいいこの状況を打破するなにかだ……!」
周りに視線を巡らせ、左横に目をやるとそこには1本の黒い刀身と鍔に小さな赤い宝石が埋め込まれた片手剣が刺さっていた。
「……剣?」
刻々と落ちていく夕陽の赤い光が黒い剣を照らしていた。
死にそうだというのにその剣を見て目を奪われた。
いままで生きた中でこれほどまでに美しい剣を俺は見たことがない。
「綺麗だ……」
そんな言葉が自然と口からこぼれでた。
俺を吹き飛ばした魔猪は俺がまだ生きていることに気づき再び近づいてくる。
「クソッ、また吹っ飛ばすつもりか……」
もたもたしてる暇はない、そう思い剣に寄り掛かりながら何とかボロボロの体を持ち上げる。
立ち上がる時、不思議と体に痛みはなかった。
「何も出来ないで死ぬなんて御免だ、せめて一矢報いてやる!」
剣を地面から引き抜き精一杯の虚勢を張る。
「頼む……力を貸してくれ!」
剣を強く握りしめた瞬間、剣が白く光出し辺り一面が包まれる。
『やっと必要とされた……創造主ではないけれど、あなたは私を必要としてくれるのですね?』
「……はい?」
どこらともなく聞こえたその声を聞いてなんとも腑抜けた返事をする俺がいた。
「これマジで無理でしょ……」
日も暮れ始めてそろそろ帰らないとまずい時間帯になってきた。
「全然集まってないけど夜の森は危険すぎるからそろそろ帰るとしましょうかな」
森のクマさんに食い殺される前に森をでようと足を動かそうとするとあることに気づく。
「ん?」
辺りを見渡すとそこは自分の知らない森の風景だった。
「おかしいな、この森には小さい頃から何度も入って道に迷うことなんて今まで一度もなかったのに、こんなとこ一度も見たことないぞ」
森は森でもそこには自分の知らない森が広がっていた。
いつの間にか深いところに入りすぎたのだろうか?
いやそうだったとしてもすぐにわかるはずだ。
いくら魔物がいないこの森でも魔物には劣るが凶暴な動物はいる。だからその動物達の縄張りに入らないようにある程度安全なところと危険なところを区切るために目印が色んなところにある。
いくら集中して山菜を採っていてもそれに気づかないはずがない。
まずいな……。
どうする?もう日が暮れ始めているしこの森はかなり深い、魔物はいないが俺からしてみれば凶暴な動物もたくさんいる。
「こんなところでボケっとしててもダメだ」
とりあえず見覚えのあるところを探さなければいけない、とそう思い、止まった足を再び動かそうとすると後からガサッとなにかの物音がした。
そろーりとゆっくり視線を後ろにやるとそこには全長3mにもなる巨大な熊が涎を垂らしてこちらを見ていた。
「オゥ……」
おいおいなんてこった、こういう時に限って!
頭の中で悪態を吐くと、大熊が大きく鋭い爪を俺めがけて叩きつけてくる。ブンッ!と人間が躱すには到底不可能な速さでだ。
「うわっ! いきなりかよ!?」
しかし奇跡的に熊の攻撃を躱し、尻餅をつきながらも素早く立ち上がりなんとか逃げ出す。
ヤバイヤバイヤバイ!
どうする!?どうやってあんなバケモノから逃げる!?
熊との距離を離そうと猛ダッシュで走るが熊は余裕な足どりでゆっくりと俺を追いかけてくる。
「クソっ! バカにしやがって自分が走って追いかけるまでもないってか!」
熊が舐め腐った余裕を見せ腹を立てるが今の状況は完全に俺の劣勢だった。
連なる木々の隙間を縫い必死に足を動かす。あまり長い距離を走ったわけではないのだが死の緊張感とでも言うのかものすごく息が苦しい。
「あっ……」
体も言うことを聞いてくれず脚がもつれ木の根で転んでしまい、必死の逃走劇も虚しく終わりを告げた。
焦って体を起こそうとするがそれは無意味だと悟る。
目の前には既に大熊がいて大きな口を開いて、『造作もない』とでも言うような目で俺を見つめてくる。
鋭い牙で俺の首元を食いちぎろうとした瞬間、大熊の命は突然絶たれる。
「……え?」
何が起こったのか状況を理解しようとしたがそれは必要なかった。
大熊の死体の後には大熊より一回りも大きいイノシシのような見た目をした魔物がいた。
「ま、魔物!?」
どういうことだ、この森には魔物がいないはずなのになんで!?
そう思ったがすぐに思考が別のことに切り替わる。
いや、今はそんなこと考える場合じゃない。
幸いまだあの魔猪は大熊に夢中でこちらに気づいてない今のうちにどこかに隠れないと。
息を殺しゆっくりと体を起こし気づかれぬように慎重に踏み出そうとする。が、足を踏み出した瞬間、パキッと木の枝が折れるこぎみの良い音が響く。
「や、やちまったぁぁぁぁぁ」
まさに絶望。
まさか自分がこんな馬鹿なことで死ぬことになろうとは思いもしなかった。
当然魔猪はその音を聞き逃すはずもなくこちらを向き猛スピードで襲いかかってくる。
"ああ、こうして自分は死んでゆくのだろうか?"
魔物が襲いかかってくる中そんなことを考える。
"夢を叶えずして何も成し遂げないで死んでいくのだろうか?"
完全に心は折れていた。
"まあ、別にいいか
このまま生きていても自分の夢は何一つ叶いはしない"
魔物はすぐ目の前まで迫ってくる。
"なぜなら自分は農民だから"
"生きていてもずっと世界を知らないまま小さな村で畑を耕しながら死んでいくのだ"
"ならここで死んでも別にいい"
そして魔物の猛突進が俺の軽い体を20m ほど先まで吹っ飛ばす。
「かはっ!」
ドサッと体が地面に叩きつけられる。
さっきの魔猪の一撃で全身の骨はグシャグシャに砕け散りもう一歩だって動けそうにもない。
死んだ、完全に。
だがまだ不思議と息がある。
まだ自分は生に縋ろうとしているのか、そう思った。
ふと、走馬灯のように思い出す。
小さい頃の思い出、父と一緒に川で釣りをした思い出、母と一緒に父の大好きな魚のシチューを作った思い出、そのシチューを3人で笑いながら食べた思い出、そしていつか自分は騎士になって両親に沢山美味しいものを食べさせてあげるのだと声高々に話す思い出。
暮らしは決して裕福ではなかったがとても幸せだった。
死をさまよう中で自分の大切なことを思い出した気がする。
「そうだ……思い……出した……俺が騎士になりたい理由……」
別に特別な理由ではない。
「父さんと....母さんに美味い.....飯を食べさせて.....でっかーい立派な家を建てて一緒に暮らして......楽をさせてやりたいからだった.....」
誰もが夢見るようなことだ。
でも自分の夢の出発地点はそんな他愛のない事だった。
なんで忘れていたんだろう、こんな大事なこと。いつのまにか騎士になりたいって気持ちだけが先走りしていたような気がする。
そうだ俺は父さんと母さんを村の人たちを守りたいから、騎士になりたかったんだ。
駄目だ。まだ死ねない。
まだ俺は何も……父さんや母さん、村の人たちに何も返せていない!
「何か……何かないのかないのか……なんでもいいこの状況を打破するなにかだ……!」
周りに視線を巡らせ、左横に目をやるとそこには1本の黒い刀身と鍔に小さな赤い宝石が埋め込まれた片手剣が刺さっていた。
「……剣?」
刻々と落ちていく夕陽の赤い光が黒い剣を照らしていた。
死にそうだというのにその剣を見て目を奪われた。
いままで生きた中でこれほどまでに美しい剣を俺は見たことがない。
「綺麗だ……」
そんな言葉が自然と口からこぼれでた。
俺を吹き飛ばした魔猪は俺がまだ生きていることに気づき再び近づいてくる。
「クソッ、また吹っ飛ばすつもりか……」
もたもたしてる暇はない、そう思い剣に寄り掛かりながら何とかボロボロの体を持ち上げる。
立ち上がる時、不思議と体に痛みはなかった。
「何も出来ないで死ぬなんて御免だ、せめて一矢報いてやる!」
剣を地面から引き抜き精一杯の虚勢を張る。
「頼む……力を貸してくれ!」
剣を強く握りしめた瞬間、剣が白く光出し辺り一面が包まれる。
『やっと必要とされた……創造主ではないけれど、あなたは私を必要としてくれるのですね?』
「……はい?」
どこらともなく聞こえたその声を聞いてなんとも腑抜けた返事をする俺がいた。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説

Link's
黒砂糖デニーロ
ファンタジー
この世界には二つの存在がいる。
人類に仇なす不死の生物、"魔属”
そして魔属を殺せる唯一の異能者、"勇者”
人類と魔族の戦いはすでに千年もの間、続いている――
アオイ・イリスは人類の脅威と戦う勇者である。幼馴染のレン・シュミットはそんな彼女を聖剣鍛冶師として支える。
ある日、勇者連続失踪の調査を依頼されたアオイたち。ただの調査のはずが、都市存亡の戦いと、その影に蠢く陰謀に巻き込まれることに。
やがてそれは、世界の命運を分かつ事態に――
猪突猛進型少女の勇者と、気苦労耐えない幼馴染が繰り広げる怒涛のバトルアクション!
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

姉(勇者)の威光を借りてニート生活を送るつもりだったのに、姉より強いのがバレて英雄になったんだが!?
果 一
ファンタジー
リクスには、最強の姉がいる。
王国最強と唄われる勇者で、英雄学校の生徒会長。
類い希なる才能と美貌を持つ姉の威光を笠に着て、リクスはとある野望を遂行していた。
『ビバ☆姉さんのスネをかじって生きよう計画!』
何を隠そうリクスは、引きこもりのタダ飯喰らいを人生の目標とする、極めて怠惰な少年だったのだ。
そんな弟に嫌気がさした姉エルザは、ある日リクスに告げる。
「私の通う英雄学校の編入試験、リクスちゃんの名前で登録しておいたからぁ」
その時を境に、リクスの人生は大きく変化する。
英雄学校で様々な事件に巻き込まれ、誰もが舌を巻くほどの強さが露わになって――?
これは、怠惰でろくでなしで、でもちょっぴり心優しい少年が、姉を越える英雄へと駆け上がっていく物語。
※本作はカクヨム・ノベルアップ+・ネオページでも公開しています。カクヨム・ノベルアップ+でのタイトルは『姉(勇者)の威光を借りてニート生活を送るつもりだったのに、姉より強いのがバレて英雄になったんだが!?~穀潰し生活のための奮闘が、なぜか賞賛される流れになった件~』となります。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる