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動き出した歯車
29話 配信という名の恥ずかしい拷問(2)
しおりを挟む部屋に入って奥にある更衣室に入る。
「さっさと着替えよ」
今着ている装備を脱ぐ。楽な服装だから脱ぎやすい。
あっという間に脱ぎ終わった。それで貰った服をアイテムボックスから取り出して…
ていうかさ、なんで"リアリティ"をオフにできないんだろ。意味がさっぱり分からん。別に思い当、たることも、ないし…
もしかして、守護者になったから…?
そんなことないよね?さすがに。
でもなこれ以外にないしな。これだな多分。うん。
まぁ、今度カナミさんに聞くとして、とりあえず着替えようかな…
「何見てるんですか?変態さん」
「ともちゃん酷いなー紳士だよ!」
「ごめんなさい。ちゃんと着替えられるか心配で…」
「着替えられるって僕そんなにやばく見えますか?」
ちょっとショックかも…てか凄いショック。
「違うの、和服だから少し服の着方にコツがあってね」
「あ、ほんとだ。リンさんじゃあお願いします」
「任かせて」
よく分からなかったけど、リンさんに教えて貰いながら着替えることが出来た。次からはもう1人で着替えられる。そして、こんなに恥ずかしい思いをしなくてもいい!
「ていうか、美咲さんは出てって下さいよ」
「え?絶対嫌だよ?可愛いものを見ないのは死ぬのと同じだよ?」
「えぇ…」
「まぁ、ともちゃん女の子同士なんだし大丈夫よ」
「うっ、」
「どうしたの?」
「な、なんでもないです」
「?」
リンさんが不思議そうにする。そりゃ僕が元々男だったとか思いもしないよな。
女の子同士…嫌それでも向こうも後で知ってめちゃくちゃ怒られるかもしれないし、何より普通に恥ずかしい。
美咲さんめ…覚えててね!絶対許さない!
「ともちゃんそんなに睨まないでー」
「もっと心込めて言ってくれません?」
「バレたか…」
「はいはい、そこまでよ。着替え終わったよ」
そう言われて目の前の鏡に映った自分を見てみる。
よく似合っている。緑色をモチーフにした和服だ。
柔らかい印象を受ける。シンプルながら可愛らしいデザインだ。
またそれが似合っているのが僕自身恐ろしい。
「わぁ、可愛いです!ありがとうございます!」
「いいよ。配信で頑張ってもらうけどね?」
「う、はい…」
服で上がっていたテンションが最下層まで叩き落とされる。配信、配信…え?死ぬ?死ぬしかなくない?
「ともちゃん可愛い!リンこの服どうしたの?」
「サキこの服は何も隠そうオーダメイドなんだよ」
「え!?オーダメイド!?高かったでしょ?」
「そこはフレンドのよしみでね」
「これが人望…!」
「そんなに尊敬されるようなことでもないよ」
「か、可愛い…」
可愛い。可愛いか…まぁなら配信出てもいいかも。
よし!頑張ろ!
「時間が押してるから、行くよー」
『おー!』
リンさんのせつめいー
まず、次の街のレッドクリフへと向かいます。
そしてそこの宿屋を取ったあとに、近くの森の中で魔物と戦う様子を配信します。
以上です。
「ここがレッドクリフかー大きい!」
「ビギーナとは規模が違ってくるからね。サキとともちゃんは初めてなんだよね?」
「そうなんですよね。それにしても本当に大きいな」
「そうだね。とりあえず宿に向かおう。私のおすすめはあそこだ」
リンさんが指を指す。その先にはいかにもボロそうな宿屋があった。今にも壊れてしまいそうだ。
リンさんは躊躇せずに今にも壊れそうな扉を開ける。
扉は壊れ気味なのか、キィーイという音が鳴った。
遅れないように僕と美咲さんも急いで入る。
内装は外見とは打って変わって、綺麗だった。
埃ひとつないをまさに体現しているような感じだ。
内装はオシャレ過ぎず、僕もなんだか落ち着く雰囲気だ。
「じゃあ3人1部屋で」
「わかりました。こちらが部屋の鍵です。部屋の番号はいつものところでよろしいでしょう?」
「ええ、もちろんよ。ありがとう」
「こちらこそいつもありがとうございます」
「いくよ」
「分かりました」
なんだかリンさんかっこいい…!!
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