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特別編3:異世界

獣人族の村

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ムドさんの呼び掛けで全ての獣人族が私の奴隷になる事を了承していた。
人数は全部で114人…。

結構居たんだね。

「これだけの人数の首輪を手配するのは大変ですよ」
「大丈夫です。私が作りますから」

マークさんに返事をして私はインベントリの中で作成をはじめる。

ルルさんと同じ物を大量に作って付けてもらう。ただ今回は明確に私の奴隷だと判るようにしないといけないので首輪の前面部には私の名前を刻印しておく。

「何だこれは…身体が軽く、力がみなぎる…!」
「街の奴らがしているのとは全然違う。苦しくないし重たくない」

みんな首輪に触れながら喜んでいた。

…本当は首輪なんて着けたくないんだけどね。

次は住む所だけど、このまま森に住んでもらう事にした。
あまり遠回りはしたくないのだけど、獣人族の皆さんに何かあったらいけないので集落を改良する事に。

ムドさんに案内してもらい、ボロボロの掘立て小屋が幾つもある場所に着く。

「ここで何をするんだ?」
「家を頑丈なものに建て直そうかと」

あ、そういえば一度使った魔法って使えなくなっちゃうんだっけ…。
一軒だけ頑丈な建物を作ってもあまり意味がないよね。何かいい方法はないかな?

[全てを繋げて一つの建物とすれば良いでしょう]

なるほど…。でもそれってかなり難しいんじゃない?

[私がサポートします]

それなら安心だね。

建物のイメージは石造りの頑丈なもので、村の周りにも強固な石壁を作ろう。門は東西に2箇所で門扉も石で作ってしまおう。

[準備完了。オーバーブーストを掛けて《建設ビルディング》を使用してください]

うん。

言われた通りに魔法を発動!

地面から轟音が聞こえてきて次々と石造りの建物が生えてくる。

私達の立っている所も含めて、地面も石畳になっていく。

これで繋がっているから建物1つって扱いなのかな?

「な、な、な…」
「何だこれは…」
「皆さんが住む為の村を作り直しました。家の扉は引き戸になっているので気をつけてくださいね」

後で作る時間がないから石で引き戸を作ってみた。試しに近くの家の扉を開けてみるけど、そんなに重くもなくスムーズに開閉できた。

うん、良い出来だね。

流石に内装までは用意してあげられないから、あとはみんなで何とかしてほしい。

「この石はかなり頑丈なので、魔物の攻撃くらいじゃビクともしないですよ」
「そ、そうなのか…」

ムドさんは目の前にある建物を恐る恐る触っている。

「でもこんなに目立つ建物を作っちゃったら魔物が攻めていて危ないんじゃない?建物が頑丈でも村の外で襲われたら…」
「あー…多分大丈夫ですよ」

ニールさんの指摘に答える。

作った首輪で全員能力が底上げされているからこの森の魔物に襲われても何とかなると思う。勿論子供とか、戦えない人はなるべく外に出ない方が良いと思うけどね。

まあこれでここに住んでも大丈夫だと思う。

「ミナさんは何故こんな事を簡単に出来てしまうのですか…?」

マークさんが驚きながら聞いてくる。

「以前に何度か街を作っているので慣れてるだけですよ」
「神様というのは本当なのですね…」

街くらい神様じゃなくても作るよね?

街を作るなんてやっていたから日が暮れてきてしまった。
流石に夜にこの森を歩くのは危ないだろうからここで一晩明かしてから出発する事になった。

獣人の皆さんは出来立ての建物を自分の住まいにする為に大忙し。
私達はその内の持ち主の付かなかった一軒で休ませてもらう。
ダイニングキッチン以外に部屋が3つあるので騎士さん達とザクスさんで2部屋、私とルルさんで1部屋を使う事にした。

私とルルさんが同じ部屋なのについてゴードンさんが反対したけど、『ルルさんに外で寝ろというなら私も外で寝ますから』と言ったら引き下がってくれた。

装備を外してそれぞれの部屋に置いたら夕飯を作って食べよう。
キッチンと言っても蛇口があるわけではないので、インベントリにある荷物から食材を選んで中で料理をしてしまう。食器も全てインベントリの中にあるから取り出すときは盛り付けまで済んでいる状態で出来立てを全員に出す。

「そんな事までできるの…?」
「はい。この方が簡単ですね」

スープを受け取ったニールさんが目を丸くしていた。

スキル任せで手抜きっぽいけど味は良いからね。

干し肉を戻して具にしたスープに硬いパンだけだったけどパンを浸して食べると美味しくて、みんな喜んで食べてくれた。勿論ルルさんも一緒に。

「獣人族らを捕らえに兵が来る可能性があります。私達が連名で書状を作りましょう」

マークさんの提案でここの人達は全員私の所有物になっている事と、森の守護を任されているという内容の書面を2通作成してくれた。1通はこの村に保管、もう1通は魔神討伐の報告を書き添えた首相宛てだそう。

「これで言いがかりをつけて来る者もいないはずです」
「ありがとうございます!」

私達がいなくなった後の事が心配だったけど、これで大丈夫だね。

「どうだかなぁ。あの村みたいに汚い手で攻撃をするかも知れませんぜ」

そう言ってきたのはザクスさん。

「お前はあの村の生き残りなのか?」

槍の手入れをしていたゴードンさんが手を止めてザクスさんの方を真っ直ぐ見ながら聞く。

「だとしたら口封じの為に殺しますかい?」
「そんなつもりはない。もし良ければ真実を教えてもらえないか?」

怒る事も蔑む事もなく真剣な口調で言うゴードンさん。

「まあいいでしょう。信じる信じないは騎士様達にお任せしますよ」

ザクスさんは小さく息を吐いて語り始めた。
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