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特別編3:異世界

悪神の攻撃

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この世界にも川本さんの言う闇、セラさん達がいう所の銷魂という存在が来ていた可能性がある。
ルフィスナ様の事は後で他の神様に謝るとして、今はエリザベートさん達とアニエスさんを救出するのが先だ。

「ヘッジホッグセレイラの位置とエリザベートさんの居場所とアニエスさんの居場所を皆さんに伝えます」
「オッケー。ミナと私達でアニエスを助けに行きましょう」

リオさんがアスティア側の全員でアニエスさんの救出に行くと決めてくれる。

「俺達はルバスールの船とエリザベート達の救助に向かう。レフィとアンネはミナ達について行ってくれ」
「はーい」「わかった」

シルヴァさんがやって来て《ピクシーハンズ》側の指示を出していた。

川本さんとほのかさんは私達と一緒に行く。

「アニエスの様子は分かる?」
「見てみます」

アンネさんに聞かれて確認してみると、何やら闘技場の様な所で戦っている。

見る限り大きな怪我もしていなさそうだし無理矢理戦わされている様子でもない。対戦相手の屈強な大男を鞘に収めたままのアガートラームで連打して軽々と倒していた。

その様子を全員に共有する。

「異世界ライフを楽しんでますね~」
「アニエスはレフィほど呑気じゃない。何か事情があって戦っているんだと思う」

レフィさんが言った事をアンネさんが否定する。私もそう思うよ

「アニエスちゃんたちがこっちに来てどれくらい経ってるんだろうね?」

ほのかさんが聞いてくる。
アウラさん分かる?

[《叡智》により情報を取得中……アニエスらがアモルエトールに出現して22日が経過しています]

ほぼ3週間…そんなに経っているなんて。

「エリザベートさん達は何処にいても上手くやるでしょうし、アニエスさんも帰る方法を探して行動しているのだと思いますよ~」
「まあそんな所だと思う。さ、アニエスを迎えに行こう」
「はい!」

私達は高速飛行でアニエスさんの居る場所へ。分体の90人は展開したままにしておいてこの門を守ってもらう事にした。閉じたら大変だからね。

…神様が来ても滅ぼさない様に念を押しておく。

アモルエトールはアスティアやヌスクァムと似た文明レベルで、知的生命体は人間が大半を占めているそう。

アニエスさんがいる国はクルエナール連邦という大きな国で、アニエスさんはその国に客人として迎え入れられている様だ。

「なんでエリザベートさん達と違う所にいるんだろう?」
「アニエスだけ飛空艇から放り出された可能性があるわね。見る限りヘッジホッグセレイラはかなりのダメージを受けていたし、ミナが滅ぼした神の襲撃を受けた可能性があるんじゃない?」
「なるほど」

状況を見て推測を話してくれるリオさん。

[検索の結果、ヘッジホッグセレイラは悪神アドリレアスに襲撃を受け大破。その際にアニエスのみ船から脱落した模様]

怪我はしていなさそうだったし、とにかく無事で良かったよ。

その後クルエナール連邦領内に降りたアニエスさんは都市を攻撃する悪神エルナギータに遭遇。蹂躙されるだけの人々の所に駆けつけ戦闘を開始して、ほぼ一人で神様を撃退したらしい。

アニエスさんも中々無茶をしているね。

「あの子はそういうの放っておけないタイプだからね」

アニエスさんの行動を聞いて納得した様に頷くアンネさん。

[その際にダインスレイヴを暴走させて無理矢理力を引き出した様です]

え、それって大丈夫なの?

[軽度の精神異常が見られます。具体的には定期的に殺戮衝動に駆られる様です]

かなりマズいんじゃ…?

[《レナータ》で治せます]

それなら良かった。早く行って治療しよう。

「ふむ…私の方ではアモルエトールの神界に連絡がつかないが、ミナ殿も試してもらえるか?」
「分かりました。確認してみます」

川本さんは無事な神様と連絡を取ろうとしてくれていたみたい。
私も神様側の私に呼び掛けて神界と連絡を取ってもらう。座標がわかってるなら出来るはずだよね。

……繋がらない?

どうやら川本さんと同じみたい。
滅ぼしてしまったルフィスナ様からアクセス権限が得られなかったので悪神になった神様は神界へのアクセス権限を剥奪された可能性があるし、強制侵入出来ない様に外部との接続を全て切っているのかも知れない。

もう一つの可能性は、既に正常な神様が居なくなっている事だけど…考えてもどうしようもない。

(門に神様が現れたよ。アウラさんが言うには悪神化してるらしい)
(分かった、捕縛してね。絶対に滅ぼしたりしちゃダメだからね)
(はーい)

現れたのは悪神化したグランジェール様という神様だそう。
あっちは私が90人も居るんだし捕獲も何とかなるよね。

[警告、クルエナール連邦国内に悪神エルナギータが出現。高速で移動中]

また現れた…何処に向かってるか分かる?

[アニエスのいる街に一直線に進んでいます]

アウラさんがエルナギータ様の位置情報を全員に表示してくれる。

「やり返しに来たのかな?」

ソラちゃんがハルバードを持つ手に力を入れる。

「街に入る前に迎撃するわよ!」
「はい!」

リオさんの号令で全員が速度を上げて街を飛び越し高度を取ると、エルナギータ様を迎え撃つべく戦闘体制に入る。

地平線の向こうから飛んできたのは人の形をしていなかった。

「あれが神様?」
「神が全て人の形をしているとは限らないと言う事だな」

ほのかさんの言葉に答える川本さん。

全員がそれを見て驚いていた。

それは巨大な黒い鳥の姿をしていた。
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