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特別編3:異世界
闇
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セラさん達より前に『闇』を撃退したのは、およそ150年前にいた《神殺しの英雄》と呼ばれる人達らしい。
「ミナの天敵?」
「今はソラちゃんも神様だよ?」
ソラちゃんに言い返すけど、今は話に集中しよう。
「ヌスクァムの神を殺した人達?」
「ああ。既に中身の無い神だがな。それに殺したくらいでは滅んだりせんよ」
虚空の覇者さんはその英雄さん達とも面識があるらしい。
「私が『闇』の存在を聞かされたのはその英雄の1人、《時の導き手》と呼ばれた女性からだ」
「150年前の人だともうこの世にはいないんだよな?」
「いや、英雄達はまだ生きている」
虚空の覇者さんが言うには魔界と呼ばれる背中合わせの世界で今も戦い続けているのだとか。
…それって神様達が廃棄した方の世界の事だよね。
「戦い続けているって…結構悲惨な目に遭ってない?」
リオさんが言う通り、いつまでも戦い続けるって大変だし苦しいよね。
「彼女達は望んであの世界に留まっている。戦いが好きなのだよ」
「戦闘民族かよ」
流石のマサキさんも引いていた。
話を聞けばその中心人物はティーナ・フォーサイスという女性剣士で、アーネスト流剣術の開祖らしい。
つまりマティアスさんのお婆ちゃんだ。
「マティアス殿の祖母という事はエルフだな」
そう言いながらルーティアさんは満足気に頷いていた。
同種族が活躍していることが嬉しいんだね。
「で、その『闇』に対抗する方法は分かったの?」
「今のところ具体的な対抗策は見つかっていない。それどころか実体を掴むことも出来ず、闇に操られてしまった者はほぼ確実に抗うことができない事が分かった」
それじゃあどうしようもないって事?
「私がこの話をしたのは、いつかここにいる誰かが理不尽な暴走をした時に止められる様にして欲しいからだ。それが例え相手を滅ぼす事になるとしても」
「それは……多分躊躇うわよ」
虚空の覇者さんに言われてリオさんは歯切れ悪く返事をしていた。
「そうだな。急にそんな事を言われても覚悟はできねえ」
「そだねー」
ダキアさんとアリソンさんがそう言った。
みんなそれぞれ首を横に振っていた。
「今すぐにではなくて良い。もしもの時にこの話を思い出してくれ。そして万一私が暴走した時は、ミナ殿が止めてくれ」
「…分かりました。私がそうなったらお願いします」
「分かった」
互いを滅ぼす約束なんてしたくないけど、虚空の覇者さんがそれで納得してくれるならいいよ。
「ミナが暴れ出したら虚空の覇者でも止められないかも」
「確かに」
…みんな納得した様に頷かないでよ。
ーーーー
暫く休んで身体が動く様になったので、やるべき事を済ませてしまおう。
トールさんがアスティアで転生する事になったみたいだからあちらの神様に許可をもらいに行かなくちゃ。
「今度は私がついて行くわ」
「それなら私も行きましょう」
今回はリオさんとレアさんが一緒に来てくれる事になった。既に事前連絡もしてくれているそう。
「トールという人は随分と乱暴な性格の様ですし、ウルガニアの神も厄介な性格かも知れませんからね」
「会ってみなくちゃ分からないけど、警戒するに越した事はないわ」
「よろしくお願いします」
2人が来てくれるなら論戦で負ける事はまずないし、戦闘になる様な事も無いと思う。穏便に話が纏まれば良いのだけど。
ちょっと緊張しながらウルガニアに行ってみる。
「よよよ…ようこそウルガニアへ。わ、私が主神のストラクスです…」
神界で出迎えてくれたのは気の弱そうな美青年。白いローブの様な服を着ていて優しそうな印象だった。
緊張しているのは向こうも同じだったみたい。
「アスティアの主神ミナです。突然の訪問申し訳ありません」
「い、いえ…それで今日はどの様なご用件で…?」
「はい。実は地球…アルバストゥルムからこちらに転生したトールという人間の事でご相談が…」
そう言うとストラクス様は顔色を悪くしてたじろいだ。
「あの…」
「も、申し訳ありませんっ!よもやミナ様に楯突くなどとは思ってもみませんでした!奴を地球に行かせてしまったのは私の監督不行き届きです!トールについては煮るなり焼くなり好きにしていただいて構いませんので!どうかウルガニアを攻撃するのはお許しください!」
突然地面に頭を擦り付ける様に土下座をして謝り始めるストラクス様。
「ち、違うんです!私はウルガニアを攻撃なんてしません!」
「で、では何故こちらにお越しになられたのです…?」
「トールさんの身元をこちらで引き受ける許可をいただきに来ました」
驚いた表情のまま私を見上げて固まっているストラクス様。
「とにかく立ってください。私の方こそ勝手にトールさんをアスティアに連れて行ってしまって…謝らなくちゃいけないのはこちらの方なので」
ストラクさん様に立ってもらって話を聞いてもらう。
「何事も起きそうにありませんね」
「ミナ…どんだけ恐れられているのよ…」
安堵するレアさんと苦笑するリオさん。
おかしな事にならなくて良かったよ。
「ミナの天敵?」
「今はソラちゃんも神様だよ?」
ソラちゃんに言い返すけど、今は話に集中しよう。
「ヌスクァムの神を殺した人達?」
「ああ。既に中身の無い神だがな。それに殺したくらいでは滅んだりせんよ」
虚空の覇者さんはその英雄さん達とも面識があるらしい。
「私が『闇』の存在を聞かされたのはその英雄の1人、《時の導き手》と呼ばれた女性からだ」
「150年前の人だともうこの世にはいないんだよな?」
「いや、英雄達はまだ生きている」
虚空の覇者さんが言うには魔界と呼ばれる背中合わせの世界で今も戦い続けているのだとか。
…それって神様達が廃棄した方の世界の事だよね。
「戦い続けているって…結構悲惨な目に遭ってない?」
リオさんが言う通り、いつまでも戦い続けるって大変だし苦しいよね。
「彼女達は望んであの世界に留まっている。戦いが好きなのだよ」
「戦闘民族かよ」
流石のマサキさんも引いていた。
話を聞けばその中心人物はティーナ・フォーサイスという女性剣士で、アーネスト流剣術の開祖らしい。
つまりマティアスさんのお婆ちゃんだ。
「マティアス殿の祖母という事はエルフだな」
そう言いながらルーティアさんは満足気に頷いていた。
同種族が活躍していることが嬉しいんだね。
「で、その『闇』に対抗する方法は分かったの?」
「今のところ具体的な対抗策は見つかっていない。それどころか実体を掴むことも出来ず、闇に操られてしまった者はほぼ確実に抗うことができない事が分かった」
それじゃあどうしようもないって事?
「私がこの話をしたのは、いつかここにいる誰かが理不尽な暴走をした時に止められる様にして欲しいからだ。それが例え相手を滅ぼす事になるとしても」
「それは……多分躊躇うわよ」
虚空の覇者さんに言われてリオさんは歯切れ悪く返事をしていた。
「そうだな。急にそんな事を言われても覚悟はできねえ」
「そだねー」
ダキアさんとアリソンさんがそう言った。
みんなそれぞれ首を横に振っていた。
「今すぐにではなくて良い。もしもの時にこの話を思い出してくれ。そして万一私が暴走した時は、ミナ殿が止めてくれ」
「…分かりました。私がそうなったらお願いします」
「分かった」
互いを滅ぼす約束なんてしたくないけど、虚空の覇者さんがそれで納得してくれるならいいよ。
「ミナが暴れ出したら虚空の覇者でも止められないかも」
「確かに」
…みんな納得した様に頷かないでよ。
ーーーー
暫く休んで身体が動く様になったので、やるべき事を済ませてしまおう。
トールさんがアスティアで転生する事になったみたいだからあちらの神様に許可をもらいに行かなくちゃ。
「今度は私がついて行くわ」
「それなら私も行きましょう」
今回はリオさんとレアさんが一緒に来てくれる事になった。既に事前連絡もしてくれているそう。
「トールという人は随分と乱暴な性格の様ですし、ウルガニアの神も厄介な性格かも知れませんからね」
「会ってみなくちゃ分からないけど、警戒するに越した事はないわ」
「よろしくお願いします」
2人が来てくれるなら論戦で負ける事はまずないし、戦闘になる様な事も無いと思う。穏便に話が纏まれば良いのだけど。
ちょっと緊張しながらウルガニアに行ってみる。
「よよよ…ようこそウルガニアへ。わ、私が主神のストラクスです…」
神界で出迎えてくれたのは気の弱そうな美青年。白いローブの様な服を着ていて優しそうな印象だった。
緊張しているのは向こうも同じだったみたい。
「アスティアの主神ミナです。突然の訪問申し訳ありません」
「い、いえ…それで今日はどの様なご用件で…?」
「はい。実は地球…アルバストゥルムからこちらに転生したトールという人間の事でご相談が…」
そう言うとストラクス様は顔色を悪くしてたじろいだ。
「あの…」
「も、申し訳ありませんっ!よもやミナ様に楯突くなどとは思ってもみませんでした!奴を地球に行かせてしまったのは私の監督不行き届きです!トールについては煮るなり焼くなり好きにしていただいて構いませんので!どうかウルガニアを攻撃するのはお許しください!」
突然地面に頭を擦り付ける様に土下座をして謝り始めるストラクス様。
「ち、違うんです!私はウルガニアを攻撃なんてしません!」
「で、では何故こちらにお越しになられたのです…?」
「トールさんの身元をこちらで引き受ける許可をいただきに来ました」
驚いた表情のまま私を見上げて固まっているストラクス様。
「とにかく立ってください。私の方こそ勝手にトールさんをアスティアに連れて行ってしまって…謝らなくちゃいけないのはこちらの方なので」
ストラクさん様に立ってもらって話を聞いてもらう。
「何事も起きそうにありませんね」
「ミナ…どんだけ恐れられているのよ…」
安堵するレアさんと苦笑するリオさん。
おかしな事にならなくて良かったよ。
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