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特別編3:異世界

不幸少女と増えるミナ

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はリオさんに予め指示を受けていた。

『敢えてミナに『反転の矛』を受けてもらうわ』
『受けない様に面制圧してしまった方が確実なのでは?』

リオさんの提案にユキさんは否定的だった。

『ちょっと試してみたい事があるのよ。勿論万全の対策をとってやるから。いいわよね?ミナ』
『みんなに危険が無いならいいですよ』
『オッケー。じゃあ手順と対処法、やって欲しい事を説明するわね』

ーーーー

「優れた者であればあるほど、この『反転の矛』は威力を増します。もう全ての力を封じられたも同然。そんな状態でトールさんを相手にどう戦いますか?」

ユルグさんは勝ち誇った様に言っていた。

私の側にはテュケ君とソラちゃんがやってくる。

「何をしている?無駄な足掻きだぜ!」

テュケ君とソラちゃんは私に《ラッキーシュート》を掛けてくれていた。

『ステータスが反転するなら普通は0じゃないかと思うけど、オルトナの話では振り切ってマイナスまでいくみたいだから、取り敢えずそれを中和して』

私の幸運は65535。テュケ君は100でソラちゃんは70くらい。オーバーブーストしても中和は出来ない。

本物のソラちゃんとテュケ君ならね。

「全員、魔法解除だよ!」
「「「うん!」」」

私以外のみんなに掛けておいた《イリュージョンディスガイズ》を解除する。

「なっ…!?何なんだよお前は…!」

そう、ここにいたみんな…因みに私も本体から増殖分離した分体なのだ。

《インクリースボディ》で増えた後に幻惑変身の魔法でそれぞれの姿に変わっていた。

「「「全員私。ミナですよ」」」
「全員同じ…気持ち悪ぃ奴だな…」

気持ち悪いは流石に傷付く。

「悪いけど実験に付き合ってもらいますね」
「知るかよ!全員俺がぶっ倒してやる!」

大剣を振りかざして襲いかかってくるトールさん。

「「させないよ!」」

私が2人、トールさんを挟む様に立って行手を阻む。

「ちぃっ…『討滅の刃』の狙いが定まらねえ…」

そんな効果もあるんだね。

「それ!《レイブラスター》!」

1人がレイブラスターを撃って攻撃するけど身体能力の向上は効いたままらしく、トールさんはレイブラスターを簡単に避けた。

「《ヴェンデッタ》!」

反対側にいた私が魔法を反射して撃った私に跳ね返す。その間にはトールさんがいる様に位置を調整して《レイブラスター》を無理矢理当てる。

「ぐわぁぁぁっ!!?」
「動きを止めると危ないですよ?《ヴェンデッタ》!」

跳ね返ってきた《レイブラスター》はトールさんを貫通して戻っていく。それを更に《ヴェンデッタ》で跳ね返す発射元の私。それはそのままトールさんを貫いて向こう側の私に。それを《ヴェンデッタ》で跳ね返して…。

直線貫通の光線魔法だから出来る戦法だね。トールさん大丈夫かな?殺すつもりはないんだけど。

「ひ、非常識だ!反則じゃないか!こ、このインチキ女神!」

う…大体言われ慣れた言葉だけど面と向かって言われるとやっぱり傷付く。

「そろそろアレをやってみてよ」
「あ、うん」

リオさんに言われた実験。それは反転状態の私の技能の確認と効果の測定。対象はユルグさんかトールさん。トールさんは《ヴェンデッタ》で気の毒な事になっているのでユルグさんにしよう。

ユルグさんは逃げようとしているけど、他の私達で取り囲んでいるので逃げられない。また魔法で姿を消そうとしているけどその魔法は見ていた全員が習得していてアウラさんが解析済み。姿を消しても捕捉できる。

で、私の一番得意なギフトを確認してみたんだけど、【ラッキーシュート(-)】と表示されていた。
これって《ラッキーシュート》の反対の効果って事でいいんだよね?
因みに他のギフトにも(-)が付いていて、ほとんど表示が暗くなっている。

[暗転している技能は使用できない様です]

そうなんだね。使えそうなのは…【ステルス(-)】くらいかな。ステルスの逆って事はメチャクチャ目立つって事?

取り敢えず《ラッキーシュート》をユルグさんに掛けてみよう。

「な、何を…?うっ…」

ユルグさんはビクンと身体を大きく揺らしたら倒れてしまった。

[心停止しています。その他複数の臓器で機能不全を発症]

ヤバっ…。

「《リザレクション》!」
「《ラッキーシュート》も掛けておくね」

すぐに別の私が回復魔法を掛けてくれた。
取り囲んでいた私達は、ユルグさんが逃げられない様にする為でもあるし、彼を守る為でもあった。

[解析完了。想像の通り《ラッキーシュート》の反対の効果です。他のミナが習得しました]

習得って…こんなもの使う所あるのかな?

「名前がややこしい」
「アウラさん、名前を変えれる?うん、じゃあ《アンラッキーシュート》でいいかな?」
「いいよー」

私達で話し合って《アンラッキーシュート》に名前が決まった。

「テメェら…いい加減にしやがれ!!」

と、何十発目の《レイブラスター》を受けたトールさんが怒鳴る。

身体の周りに黒いモヤの様なものが現れて人の姿が崩れていく。モヤは崩れた身体と混ざり合って巨大な魔物に姿を変えた。

身長は30メートル位かな。悪魔みたいな姿で身体中に角の様なものが生えている。口は大きく裂けていて目は赤い。片手には人間の姿の時に持っていた『討滅の刃』を大きくしたものを持っていた。

「元気そうだしトールさんにも《アンラッキーシュート》掛けてみてよ」
「うん」

という訳で掛けてみた。

…また心臓が止まって死んじゃうかと思ったけどトールさんは無事…じゃなかった。地面が突然崩れて腰まで埋まり、その衝撃で周りの岩が競り上がって来てトールさんに覆い被さる。

『何を…しやがった…!?』

声を荒げながら岩を押し戻していると空が暗くなって真っ黒な雲が集まってきて雷が直撃する。

『がっ……!?』

頭から黒煙を上げならグッタリとしているトールさん。
今度は雲を掻き分けて巨大な火の玉が空から降ってきた…。

え…ちょっと…?

[隕石ですね。真っ直ぐこちらに落ちてきます。あのサイズが落着すると半径20キロメートルの生物は死滅します]

いやいや…ダメだよそんなの!

1人の私が《巨影化》で物凄く大きくなって空へ飛んでいく。
落ちてくる隕石を受け止めるとそのまま上昇して見えなくなった。

「自分で言うのもアレだけど、やってる事がメチャクチャだよ…」
「うん…」

その後、トールさんは私の内4人が《巨影化》して取り押さえてくれた。
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