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特別編3:異世界

イオザード

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──〔god side〕──

私達はイオザードに直接行って見ることにした。

神界に直接行く事が出来なかった為、まずは地上に行ってみる事に。
神格のまま行くのはマズいという事で、全員に偽装を施してから転移する。

「弱くなるけど大丈夫かな?」
「いざとなれば制限を解除出来るので大丈夫でしょう。それに弱くなると言っても2割減程度ですし基本能力は全て使えますから」

ソラちゃんに答えるユキさん。

「自分達の事最優先で良いけど、神威しんいを発揮するとショック死する人間が出るかもしれないから気を付けなさい」

リオさんが言うにはイオザードの人達は長く生きている事で殆どの人が魂を破損させているらしい。そこに神様の気配なんてぶつけたら死んでしまう可能性があるらしい。

リミッターを外すのは最後の手段だね。

「それでは行ってきます」
「あんまり他所の世界のものを壊すなよ?」
「…気を付けます」

ダキアさん、私が何か壊す事は前提なんですね。

気を取り直して、世界間移動でイオザードへ。

転移した先は薄暗く、空気は澱んでいた。

[警告、大気中に有害物質を大量に検知]
〈防御膜を形成します〉

アウラさんの警告を受けてレナトゥスが私の身体を包む様に目に見えない程の膜を作ってくれた。他のみんなもパートナードゥームに同じものを作ってもらっていた。

「おおーナノテクっぽい」
「まあ、ドゥームの存在自体がそれみたいなものですからね」

ユキさんはソラちゃんの言った事が分かったみたい。

まあそれは置いておいて…

「大気汚染が深刻みたいだね」
「公害でしょうか。魔力の反応もありますが少し変ですね」

ユキさんは付近の状態を調べてくれている。

[魔素の供給量が異常です。魔法の使用に注意してください]

魔素が多いって事?

[はい。アスティアの10倍はあります。これだけ多いと魔力中毒を起こしかねません]

そうなんだ…。

〈現在防護膜により過剰な魔素の摂取は起こっていません。安心してください〉

ありがとうレナトゥス。

普通の人がいきなりこの世界に来たら危ないんじゃないかな?例えばアレクスの人達がゲートを繋げて入ってきたりしたら…。

[実際にアルバストゥルムと接続した痕跡があります。地球人12名がイオザードに侵入、全員死亡しています]

「自業自得」
「だな」

ソラちゃんとテュケ君は互いに頷いている。

「この世界の人達が地球の資源を奪いに来る可能性があるのでは?」

ユキさんは逆に侵略を受ける可能性を心配していた。カエデさんも言っていたけど、枯渇した資源を他の世界から持って来られないかを試しているみたいだったし、こっちの人達にとって地球は宝の山だろうからね。

[現在ゲートは閉じています。イオザードの人類はゲートを開こうと研究している様ですが、今の所カエデを送り込む事に成功しただけの様です]

カエデさんだけを送り込んでも何も出来ないんじゃない?

[イオザードから送り出されたのは1600人。成功したのがカエデのみでした]

そんなに…?失敗した人達ってやっぱり…

[全員死亡しています]

やっている事がメチャクチャだよ。

「体の良い口減らし」
「大方『世界を救う為に』とか言って志願者を募ったんじゃないか?」

ソラちゃんもテュケ君も呆れていた。

さて、ここで立ち話していても何も始まらないので、周囲を確認しつつ出口を目指そう。

ここは路地裏かな?もの凄く背の高い人工物が左右にある。地面もコンクリートか何かで固めてあって自然っぽいものは何一つない。

「とにかくここから出てみよう」
「そうだな」

私がそう言ったらテュケ君が先頭を歩き出す。一応周囲を警戒してくれているんだね。

路地から出ると少し広めの通りに出た。

綺麗に区画整理されていてどの建物もどこまであるのか分からないくらい上に伸びている。
通りは車道と歩道が分かれていて車が走っていた。

[魔素を取り込んで動力を得ている様です。排気ガス等は検知されませんでした]

「おーエコロジー?」
「大気汚染の原因は車では無さそうですね」

エンジン音もせずに一定の速度で走る車を見ながらソラちゃんとユキさんははなしていた。

歩道には疎らに人が歩いていた。

道行く人々は宇宙服の様なものを着ていたり、私達の様に透明な膜に覆われている人もいた。宇宙服を着ていない人の服装は地球の服に近い感じ。

「君達、それって最新型?そんな薄いエアフィルム見た事がないよ。どこに売っていたの?」

と、透明な膜に覆われた人が話しかけてきた。10代半ばくらいかな、細身で顔色が悪い。

「ええと…」
「これはある企業の実験品なのです。実証試験が済んだら発売される予定です」

なんで答えようか迷っていたらユキさんが代わりに答えてくれた。

「そっかー残念。今使ってるコイツ、よく動作不良を起こすんだよ…ホラまた、おい!ふざけんなよ、こんな所で壊れたら許さないからな!」

腰のベルトに括り付けられたピンポン球位の石に向かって怒鳴り始める。

「ねーちゃんあれ、精霊じゃないか?」
「え?」

腰の球をよく見てみると、確かに精霊の反応がある。
かなり弱っていてこのままでは消滅してしまう。先ほど言っていたエアフィルムというのは、この小さな精霊さんが発動源になっているんだ…。

「なんて事を…」
「え?でもこんな小さな奴はこれくらしか役に立たないよ。君達のそれはもっと大きくて性能の良いシャードなんだろう?」

シャード…?精霊の事をこの世界ではシャードって呼んでいるのかな。
それよりこの精霊さんを助けられないかな…?

[よく似た偽物を生成します。精霊ではなく魔力石でエアフィルムを発動させる物です。それを彼に渡して交換してください]

うん、分かったよ。

インベントリの中に現れたそれを取り出して交換を持ち掛けたら喜んで応じてくれた。
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