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特別編3:異世界

ミナのダンジョン

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唐突に模擬戦をする事になっちゃった。

「ここを攻略してからでもいいのではないですか?」
「さっきも言った通り、罠の対処が甘過ぎるからそろそろ引き返そうって話しをしていた所なんだ」

コウさんが説明してくれる。
そうだったんだ。正しい判断だね。

出口まで戻ってから転移だと時間が掛かるし私達は一緒に行けないから、ここから転移しちゃおうか。

「マリに一言断っておきなさいよ」
「はい」

マリさんには《ビジョン》で状況を伝えておく。

話しているうちに全身鎧のゴブリン達が集まってきた。数は12。槍持ちが4、剣持ちが8。結構大勢来たね。

「テュケ、はんぶんこ」
「別に構わないけど、ソラの場合食べ物ははんぶんこしなさそうだよな」
「むぅ、失礼な。しないけど」

ハルバードを構えて飛び出すソラちゃん。それに併せてテュケ君も二刀流で斬り込んでいく。

ゴブリン達は2人を迎撃しようと動くけど全然間に合わない。

ソラちゃんはハルバードをフルスイングして槍や剣諸共、鎧までも断ち切って一度に4体を倒した。そのままもう一度大きく振って2体のゴブリンを上下に分断した。

テュケ君はソラちゃんとは正反対で、間合いに入ったゴブリンの喉を突いたり、鎧の継ぎ目に剣を突き刺したりして次々と倒していく。

相手に何かさせる間もなく全滅させちゃった。

「す、凄い…」
「これは…模擬戦をするまでもないだろ」

アヤさんとノリさんが2人の動きを見て驚いていた。

「取り敢えず私のダンジョンにいきましょうか」
「ミナさんはダンジョンを持っているのか?」
「はい。一応ダンジョンマスターなもので」

ノリさんに聞かれたので答える。
ダンジョンではなく訓練施設兼避難所だけど。

「ミナの非常識に付き合っていたら大変よ?軽く聞き流しておく位が丁度良いわよ」
「そ、そうするよ…」

リオさんが何気にヒドイ。

私は自分のダンジョンへのゲートを作ってみんなを案内する。
着いたのは避難所に使っていた階層。草原が広がっている。

ここにくるのスゴい久し振りな気がする。

「ミナさんはダンジョンマスターで神様なの?」
「はい。まあ一応ですけど。ダンジョンは訓練用にしたりこんな感じで何もない階層があるだけなんですけど」

このダンジョンも他に有効利用出来ればいいんだけど。

「訓練用とお仕置き用」
「お仕置き?」
「ん、リアードのおバカ貴族のお仕置きに使った」

ソラちゃんがマユミさんに教えている。

…余計な事は教えなくていいからね?

「それで、模擬戦はどうやる?ミナさん達じゃ4対1でも相手にならないだろ」

話が逸れていた所をロウさんが修正してくれる。

「どれだけ強くなったかを見てもらうだけだから勝ち負けなんてどっちでも良いんだけど」

マユミさんはほのかさんに成長を見てもらいたいだけなんだね。

「それならここにいる全員を2チームに分けて模擬戦するのはどうでしょう?」
「面白そう!」
「それならいい勝負が出来るんじゃない?」

私の提案にソラちゃんとリオさんが賛成する。

「ミナ達のステータスをダウングレードしてみては如何でしょう?」

実体化しているアウラさんが現れて提案してくる。

「…誰?」
「ええと、私の支援をしてくれているヘルプ機能のアウラさんです。ダンジョンの管理をしてくれているダンジョンコアですね」

そう説明するとアウラさんは優雅にお辞儀をする。それを4人は呆然と見ていた。

「…理解が追いつかないよ」
「リオさんの言った通りだな。考えるのはやめよう」

アヤさんとノリさんがそう言うとコウさんとマユミさんが頷いていた。

「ええと、アウラさんダウングレードって?」
「そのままの意味です。現状のステータスにロックを掛けて性能を落とします。ギフトも禁止してみれば互角の戦いが出来ると思います」
「それは面白そうですね」

ユキさんが珍しく興味を持っている。

「じゃあそれでやってみようか」
「チーム編成は──」

話し合いの結果、私、ソラちゃん、ユキさん、エルクさん、ロウさん、ニアさんのチームと、リオさん、テュケ君、ほのかさん、コウさん、マユミさん、ノリさん、アヤさんのチームで模擬戦をする事になった。

ダウングレード…つまりステータスにリミッターを付けて幾つかの能力を使えなくするのはコウさん達4人以外で、レベル20くらいまで落とす。装備はミスリル製で統一した。
極振りステータスは一律で100。テュケ君はオール100になってしまうので80設定された。

ラッキーシュートが使えなくて幸運も下がっていると、いつもの戦いは出来ないね。チームで協力しないと勝てそうにないや。

「ミナさん、ユキさんと一緒のチーム~」

ニアさんはそれだけで嬉しそう。

「浮かれてないで作戦を立てるぞ」
「はーい」

エルクさんがチームを仕切ってくれて助かる。

私達のチームは向こうのチームより1人少ないから1対1に持ち込まれるのはマズい。ユキさんの防御能力で相手の前衛の攻撃を凌ぎつつ攻撃。
問題なのはあちらにはリオさんがいるという事。レアさんやルーティアさん程じゃないけどリオさんも指揮が上手い。

「まあ、なるようになるんじゃね?」
「臨機応変にという事ですね」

ロウさんは笑いながら、ユキさんは真剣な表情で頷いていた。

「こっちはいいわよ」
「はい!じゃあ全員配置について」

「それでは模擬戦を開始します。このフィールドでは死亡しても即時再生される様に設定されていますが、致命傷判定を受けたら戦闘から離脱する方式をとります。では始めてください」

アウラさんからの説明が終わって戦闘開始。何だかワクワクするね。
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