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特別編3:異世界

ドゥームの世界

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「何度見ても凄まじいな。ゼクセル陛下よりも遥かに威力がある。流石は神だな」

構えを解いて言ってくるレイナスさん。

「ミナ、良い事を教えよう。そのスペルの使い方、間違ってるぞ」
「え?そうなんですか?」

シルヴァさんに言われて驚く。

「《トリプルキャノンスペル》は本来、完成した魔法を装填して放つ技能なんだ。君は魔力を直接装填しているけど、それだとかなり威力が落ちる」
「ええと、つまり《ルインブレイザー》とかを《トリプルキャノンスペル》で撃てばいいんですか?」
「極端な話そうだよ。流石に《ルインブレイザー》を装填するのは魔力制御が出来なくて暴発するかもしれないけど」

なるほど…。コピーしただけだったし、これで撃ててたから気にしてなかったけど、更に威力があげられるんだね。

「次試してみますね」
「そうしてみて」

シルヴァさんは親切だね。

「さて、ドゥームは跡形も無くなったけど、これで駆除完了か?」
「いいえ、まだオラクル内にドゥームの気配が残っているよ」

ヒサメさんがセラさんに聞いている。

[セラフィーナの言う通り、まだオラクル内にドゥームが存在します]

アウラさんも探知しているんだね。

「1つ気になった事があるのだが、奴らは俺達のアーツを覚えたりしないだろうか?以前戦ったアンヘルという奴は一度使ったアーツを覚えて見切ってきた」

聞いてきたのはマティアスさん。《ピクシーハンズ》の人達もアンヘルと戦ったんだね。

「今倒したのは手応え的にはただのドゥームだったな」
「そうだね。多分大丈夫なんじゃない?」

シルヴァさんとレーナさんはそう答えていた。

私にもあれは普通のドゥームに見えた。神様を取り込んだにしては弱すぎる気がするし、私達を油断させる罠なんじゃないかな。

「セラ、ここが最深部なのか?」
「違うよヒサメ。まだ下層がある筈」

と言っても白い地面がどこまでも広がっていて下には行けそうもない。

「壊しちゃう?ミナちゃんなら簡単だよね」
「どんな影響があるか分かりませんよ。もう少し調べてからにしましょう」

アンネさんの提案はアニエスさんに却下された。

[ミナ、地面を解析します]

そうだね。お願いアウラさん。
一応みんなにもアウラさんとレナトゥスの声が聴こえる様にリンクしておく。

〈これは…!この地面がドゥーム・ディア=ラヴィス本体です〉

つまり私達が立っているこらがコアって事?コアって月くらい大きいものだよね?ワールドコアの中に入れるわけがないと思うんだけど…。

〈それについては分かりません。微弱ですが反応があるので間違いありません〉

微弱?よく調べないと分からないレベルなんだ?

[レナトゥスの言う通りです。これはラヴィス本体の様です]

「なら壊しちゃっていいんじゃない?」
「オラクルとどう繋がりがあるかが不明な内は迂闊に攻撃しない方がいいと思う。アウラさんに更なる解析をお願いしてもらえますか?」
「はい!」

セラさんの言う通り、さっき話をしたドゥームは『この世界における絶対的存在』とか言っていたし、攻撃する事でファルシュングに影響が出るかも知れない。

[解析完了。これは外殻です。内部にラヴィスのコアがある筈ですが入り口になる箇所はありません。破壊して内部に入る事を推奨します。外殻の強度を表示します]

アウラさんがそう言うならやってしまおう。

「俺達じゃ破壊できそうにない。ミナ、頼めるかい?」
「分かりました!」

シルヴァさんに頼まれたので私が破壊する事に。

内部に貫通させた場合、悪い影響は出ないかな?

[不明。外殻のみを破壊する事を推奨します]

了解だよ!

《ラッキーシュート》を掛けてから《トリプルキャノンスペル》を撃とう。あまり威力を上げ過ぎると良くないから魔力を直接注ぐ事に。

「いきます!」

発射した魔力の塊は白い地面を削り取っていきかなり広範囲を崩落させた。

「よし、全員陣形を維持したまま中に入る。突入後は全周囲を警戒」

シルヴァさんの号令で内部に侵入。中は白いモヤの様なものが立ち込めていて視界が悪い。

「魔力探知、ドゥーム探知を厳にしてくれ。全員密集隊形」

陣形の距離を詰めて即時対応が出来る様にする。

ゆっくりと下降して行くけど何も現れない。
と、モヤが晴れて視界が開ける。

「ここは…何だ?」

そう呟いたのはマティアスさん。
眼下には緑の生い茂る大地があった。

「オラクルの中に別の世界…?そんな事あるわけがない…」

セラさんも困惑していた。

[ドゥームの反応はありますが組成は普通の大地と同じです]

「降りてみよう。引き続き警戒を厳に」

私達が降りたのは草原地帯。
心地良い風が頬を撫でる。アスティアに帰ってきた様な懐かしい感じがする。

「ドゥームがやっている事なら俺達を惑わせる為の罠の可能性が高いな。セラ、ここはオラクルなんだよな?」
「うん。そうだよ」

ヒサメさんに答えるセラさん。

「セラの力で即時離脱は出来そうか?」
「そうだね……出来ないみたい」
「相手の領域に入ったのなら当然か。ここが俺達にどれくらい不利に働くのかを解析頼めるか?」
「分かりました」

シルヴァさんはそれぞれ支持を出し始める。周囲の警戒と短い距離での探索もやり始める。

「向こうから何か来るぞ」

ヒサメさんが声を上げる。そちらを見ると、土煙を上げながら走って来たのは…騎馬だった。
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