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特別編3:異世界
オラクル
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セラさんについていく。ヒサメさんはみんなと待っているみたい。
「信じてくれてありがとうございます」
「いえ、色々良くしてもらっているのですから。リオさん達の事はごめんなさい」
「ミナさんを心配しての行動ですよね。私は気にしていませんから」
歩きながら話す。
セラさんの見た目は10歳くらい。見た目私よりも小柄な彼女は、落ち着きがあって安心感がある。
「これから行くのはこの世界の中枢、オラクルという場所です」
「そこは神界ではないのですか?」
「違うと思います。神はいませんから」
着いたのは普通の小部屋。ここからそのオラクルって所に行けるの?
「私がいれば何処からでもオラクルには入れますが、静かな所の方がアクセスがし易いので」
セラさんはゆっくりと右手を差し出してくる。私はその手をとる。
「行きます」
突然目の前が真っ白になって、気が付いたら別の空間に立っていた。
いや、正確には立っているのかも分からない。
ボンヤリと光るバスケットボールくらいの球が幾つも漂っている不思議な空間。
床も天井も無い。
私も光る球の様に漂っているのかも知れない。
「目が覚めましたか?」
私の左手には暖かい感覚。セラさんが手を繋いでいてくれた。
「ここが…オラクル?」
「はい。世界の理を司る場所です」
確かに神界とは違う。ここは何だろう?
[ワールドコア内部の様です]
ワールドコアの中…?ワールドコアって中に入れるの?
[通常は入る事は出来ません。セラフィーナが特殊な能力を有している模様]
そうなんだ…。
ここに私を連れて来たのは何でかな?
「ヌスクァムの神々は既にいません」
「え?でもヌコさんは…?」
「彼は神の役割を引き継いだ者です。引き継ぐと言っても地上の生命が引き継いだ訳ではなく、神界で神の魂をコピーして器に与えたものです」
つまりオリジナルの神様はもう居ないって事だね。
「ヌスクァムの神は基本的には不滅です。魂が無いので再生成されます」
「神様としての役割は果たせるのですか?」
「はい。ただし時折イレギュラーを起こしますけど。記憶を見せましょう。こちらです」
セラさんに手を引かれてゆっくりと進む。歩くのではなく浮遊する感じだ。
近くを漂っている光の球は何だろう?見れば見るほど吸い込まれる様な魅力があるのだけど…。
「光の球には触れないでくださいね。不用意に触ると帰って来れなくなります」
「は、はい!」
危ない…うっかり触っちゃう所だったよ。
で、触るとどうなるのかな?
[ここに浮いているのはヌスクァムの記憶や記録です。膨大な量のそれが流れ込んできた場合、意識がこの場に戻って来ない可能性があります]
それは危ない…気を付けよう。
セラさんに手を引かれて暫く飛んで行くと、白い板状のものが見えてきた。
近付くとそれはとても大きなもので、私達はそこに着地する。
「これに触れてみてください」
セラさんが指さした所にはビー玉位の透明な球が浮かんでいた。
私が恐る恐るそれに触れと、頭の中に情景が流れ込んでくる。
突然海が干上がって、中心に立っている人型の者が見える様になる。
人間の然程変わらないサイズで顔は鬼の様に険しく、全身の至る所から触手のようなものが出ていた。
魔族…?いや、あれは…神様だ。
誰に教えられた訳でも無いけど分かる。あの神様は深海を司る神ウェルファーラ。セラさん達は悪神化と呼んでいたみたいだけど、どうやらさっき話していたイレギュラーというのがこれの事みたい。
ルバスール海賊団の飛空艇の集中砲火とセイノールの軍隊による一斉攻撃を受けても全く効いていない。
セラさんやアニエスさん達冒険者も100人以上で攻撃を加える。相手はたった1人なのに、それでも戦いは熾烈なものだった。苦しい戦いになっていたのは、神様由来の特殊能力を使って戦っている人達の攻撃が通用しないからみたい。私も経験したからよく分かるよ。
それでもセラさん達は勝った。
人の力で神様を倒したんだ。
「凄い…」
「悪神になった神は世界を滅ぼそうとします。当然私達はそれをさせる訳にはいかないので戦い、勝利してきました」
気になるのは悪神になる原因だけど…。
[世界の構造に不備がある事を見つけてしまい、それを直すには一から創らなければならないと思い破壊を決意する。リヴェルティアと同じ理論ですね]
アスティアと同じような事が起こってるって事?
「寄り道をしてしまいましたね。本題に入りましょう。こっちです」
そう言って私の手を引いて歩き出すセラさん。
幾つかの光の球を避けながら進んだ先にあったのは真っ白な抱えきれそうにない程大きな球。
「触れてみてください」
「はい」
白い球に触れる頭の中に映り込んだのはヴェルトラオム様だった。
『我はこれから世界を創る。しかし一から創るのは我には難しい。お主らの世界を真似させてもらいたい』
ヴェルトラオム様がいるのは神界かな?話し掛けている相手は全く反応しない。
『ふむ…既にここにいないのか。ならば勝手に真似るとしよう。もし聞いているのであれば留めおいてほしい。我の世界の別の神が来る事があったら、この事を伝えて貰えぬだろうか?』
しばらくしてヴェルトラオム様は居なくなる。
「ミナさん」
呼び掛けられて意識が戻る。
セラさんが球に触れていた私の右手をとって離してくれたみたい。
「今のは…?」
「アスティアの前の主神ヴェルトラオムです。かなり昔の様ですが」
『この事』というのはアスティアはヌスクァムを真似て創った世界だという事だよね。
ヴェルトラオム様は何を伝えようとしたのだろう?
「信じてくれてありがとうございます」
「いえ、色々良くしてもらっているのですから。リオさん達の事はごめんなさい」
「ミナさんを心配しての行動ですよね。私は気にしていませんから」
歩きながら話す。
セラさんの見た目は10歳くらい。見た目私よりも小柄な彼女は、落ち着きがあって安心感がある。
「これから行くのはこの世界の中枢、オラクルという場所です」
「そこは神界ではないのですか?」
「違うと思います。神はいませんから」
着いたのは普通の小部屋。ここからそのオラクルって所に行けるの?
「私がいれば何処からでもオラクルには入れますが、静かな所の方がアクセスがし易いので」
セラさんはゆっくりと右手を差し出してくる。私はその手をとる。
「行きます」
突然目の前が真っ白になって、気が付いたら別の空間に立っていた。
いや、正確には立っているのかも分からない。
ボンヤリと光るバスケットボールくらいの球が幾つも漂っている不思議な空間。
床も天井も無い。
私も光る球の様に漂っているのかも知れない。
「目が覚めましたか?」
私の左手には暖かい感覚。セラさんが手を繋いでいてくれた。
「ここが…オラクル?」
「はい。世界の理を司る場所です」
確かに神界とは違う。ここは何だろう?
[ワールドコア内部の様です]
ワールドコアの中…?ワールドコアって中に入れるの?
[通常は入る事は出来ません。セラフィーナが特殊な能力を有している模様]
そうなんだ…。
ここに私を連れて来たのは何でかな?
「ヌスクァムの神々は既にいません」
「え?でもヌコさんは…?」
「彼は神の役割を引き継いだ者です。引き継ぐと言っても地上の生命が引き継いだ訳ではなく、神界で神の魂をコピーして器に与えたものです」
つまりオリジナルの神様はもう居ないって事だね。
「ヌスクァムの神は基本的には不滅です。魂が無いので再生成されます」
「神様としての役割は果たせるのですか?」
「はい。ただし時折イレギュラーを起こしますけど。記憶を見せましょう。こちらです」
セラさんに手を引かれてゆっくりと進む。歩くのではなく浮遊する感じだ。
近くを漂っている光の球は何だろう?見れば見るほど吸い込まれる様な魅力があるのだけど…。
「光の球には触れないでくださいね。不用意に触ると帰って来れなくなります」
「は、はい!」
危ない…うっかり触っちゃう所だったよ。
で、触るとどうなるのかな?
[ここに浮いているのはヌスクァムの記憶や記録です。膨大な量のそれが流れ込んできた場合、意識がこの場に戻って来ない可能性があります]
それは危ない…気を付けよう。
セラさんに手を引かれて暫く飛んで行くと、白い板状のものが見えてきた。
近付くとそれはとても大きなもので、私達はそこに着地する。
「これに触れてみてください」
セラさんが指さした所にはビー玉位の透明な球が浮かんでいた。
私が恐る恐るそれに触れと、頭の中に情景が流れ込んでくる。
突然海が干上がって、中心に立っている人型の者が見える様になる。
人間の然程変わらないサイズで顔は鬼の様に険しく、全身の至る所から触手のようなものが出ていた。
魔族…?いや、あれは…神様だ。
誰に教えられた訳でも無いけど分かる。あの神様は深海を司る神ウェルファーラ。セラさん達は悪神化と呼んでいたみたいだけど、どうやらさっき話していたイレギュラーというのがこれの事みたい。
ルバスール海賊団の飛空艇の集中砲火とセイノールの軍隊による一斉攻撃を受けても全く効いていない。
セラさんやアニエスさん達冒険者も100人以上で攻撃を加える。相手はたった1人なのに、それでも戦いは熾烈なものだった。苦しい戦いになっていたのは、神様由来の特殊能力を使って戦っている人達の攻撃が通用しないからみたい。私も経験したからよく分かるよ。
それでもセラさん達は勝った。
人の力で神様を倒したんだ。
「凄い…」
「悪神になった神は世界を滅ぼそうとします。当然私達はそれをさせる訳にはいかないので戦い、勝利してきました」
気になるのは悪神になる原因だけど…。
[世界の構造に不備がある事を見つけてしまい、それを直すには一から創らなければならないと思い破壊を決意する。リヴェルティアと同じ理論ですね]
アスティアと同じような事が起こってるって事?
「寄り道をしてしまいましたね。本題に入りましょう。こっちです」
そう言って私の手を引いて歩き出すセラさん。
幾つかの光の球を避けながら進んだ先にあったのは真っ白な抱えきれそうにない程大きな球。
「触れてみてください」
「はい」
白い球に触れる頭の中に映り込んだのはヴェルトラオム様だった。
『我はこれから世界を創る。しかし一から創るのは我には難しい。お主らの世界を真似させてもらいたい』
ヴェルトラオム様がいるのは神界かな?話し掛けている相手は全く反応しない。
『ふむ…既にここにいないのか。ならば勝手に真似るとしよう。もし聞いているのであれば留めおいてほしい。我の世界の別の神が来る事があったら、この事を伝えて貰えぬだろうか?』
しばらくしてヴェルトラオム様は居なくなる。
「ミナさん」
呼び掛けられて意識が戻る。
セラさんが球に触れていた私の右手をとって離してくれたみたい。
「今のは…?」
「アスティアの前の主神ヴェルトラオムです。かなり昔の様ですが」
『この事』というのはアスティアはヌスクァムを真似て創った世界だという事だよね。
ヴェルトラオム様は何を伝えようとしたのだろう?
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