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特別編3:異世界

失敗と再生

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次に映し出されたのは美しい大地。
地球のものとは少し違う植物や動物が映し出されていた。
これがヌスクァム…いや、何だかちょっと違う気がする。

そこには精霊や竜も存在していて、それぞれが生命の営みを謳歌していた。

場面が変わって人型の生物達。

これは…人間じゃないみたい。
どちらかと言うと悪魔っぽいけど。

「これは魔族です」

レトスさんが教えてくれる。

映し出された魔族という種族は硬い外皮に覆われていて頭だけではなく腕や足にも角の様なものが生えていて、翼が生えている個体もいれば、翼が無い代わりに無数の腕が生えている者もいた。

魔族は総じて粗暴で、他の種族と共存を望まなかった。
力は強く、自分体の何十倍もあるドラゴンを軽々と倒していた。

魔力も高く精霊達も魔法で蹂躙されていた。

シーンが変わってまた10人ほどの会議の場面。

あれは失敗だと1人が言う。

どんな環境にも適した強靭な肉体を与えた事が裏目に出てしまったと女性が嘆いていた。

考えうる最上級の生物を創造したつもりだったが、まさか我らの言う事を聞かないとはと頭を抱える男性。

加護を打ち切ってこの世界は廃棄しようと男性が言う。

全員が頷き暗転。

映像は、美しい大地が広がっていた。
さまざまな動物や植物。それに人間、エルフ、ドワーフ。よく見る人型生物が文明的な暮らしを始めていた所だ。

「前の世界はどうなったの?」
「今も存在しています」
「温泉で話した魔界の事ですよ~」

ソラちゃんが聞くとアニエスさんとレフィさんが教えてくれる。

「ワールドコアを使ってテラフォーミングをしたって事かしら?」
「ワールドコアは落ちているものではないでしょう。使った物は彼らの存在していた世界の物では無さそうですけど…」

リオさんとレアさんは考えを話し合っていた。

そういえば世界の定義って、星が一つの世界じゃないんだよね。

[はい。ワールドコアを持つ神がいる地点から認識できる宇宙全てが一つの世界になります。よって世界自体は隣り合わせでも繋がってはいません]

むむむ…そうなると見つけたワールドコアは誰のものだったんだろう?

[気まぐれな神が落としたのかもしれませんね]

えぇ…。

その後、何度か場面が入れ替わり神様?達が色々なものを創造していく映像が流れていく。この世界には各種族に祖神と言われる生みの親的な神様が1人ずついるみたい。

有翼種フェザーフォルク祖神とか吸血鬼ヴァンパイア祖神とか。

またその種族を創った神様の動機が中々酷い。

空を飛んでみたかったから翼の生えた種族を創ってみよう。

とか、

やっぱり吸血鬼はファンタジーの定番だよね。

とか。

「楽しそうだねぇ」
「生命を弄んでいる様にも見えるが…いや、真剣に考えてやっているのか?」

ルーティアさんは苦笑混じりに言っているけど、クロウさんは眉間に皺を寄せていた。

ワールドコアを使用して、漂流していた人達は全員神になったんだね。
一つの種族に神様が1人だと結構な人数になるけど…。

「ゴブリンとかコボルトとか、そこら辺の魔物は妖魔祖神って神がまとめて創ったみたいよ」

分割された内の1つの画面を見ながらリオさんが教えてくれた。

神様になった人達は鋼鉄の島の様な場所から1人また1人と離れて行き、それぞれの創造した種族達を護りながらそれぞれの神界を構築していったみたい。

映像はこれで終わり。

「これがこの世界の成り立ちだそうです」
「元々は人が神になった世界だったのですね」
「うん。世界を一から創るって物凄い事だよね」

沢山苦労があったんだろうね。

「ヌコいなかったよ?」
「ヌコは祖神ではなく役儀神です。今の話より少し後に現れる神ですね」
「元々人だったの?」
「はい」

ソラちゃんに説明するセラさん。

なんで猫…あれを猫と言って良いのか分からないけど、あの姿になっちゃったんだろう?

「さて、それではミナさんにはこれから個人で見ていただくものがあります」
「ええと、みんなで見るのはダメなんですか?」
「申し訳ないのだけど、エスコート出来るのが1人なので」

何処か別の所に行くみたい。
セラさんがそう言うならみんなには待っていてもらうしかないよね。

「ねえ、そこは本当に安全な場所なの?」
「危険があるならミナさんを1人で行かせたくありません」
「右に同じ」「だな」

リオさん、ユキさん、ソラちゃん、テュケ君がセラちゃんに詰め寄る。

「安全とは言い切れませんが、ミナさんだけなら無事にお連れする事が出来ます。人数が増えると危険が増すのです」

セラさんは淡々と説明する。

リオさんとユキさんはしばらくセラさんをじっと見ていたけどリオさんは溜め息を吐いて言う。

「分かったわ。でもミナは放っておくとやらかすからよく見ておいてね」
「ミナさんの事をよろしくお願いします」

ユキさんも引き下がってくれた。

「待っている間、皆さんにはお食事をとっていただきます」
「ご飯!ミナ、いってらー」

…ソラちゃんはご飯の方が大事みたい。

「ソラは冗談でああ言っているけど、少しでも変な所があれば《アドラステア》でも《エスカシャイターン》でもいいから全開で振り切って帰って来いよ」
「うん。心配しないで。大丈夫だと思うから」

テュケ君はスゴく心配していたけど、セラさんは私を騙す為にこんな事をする人じゃないと思うからね。

「それではこちらに」

私はセラさんの後について別の部屋に移動した。
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