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特別編3:異世界

総力戦

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──〔human side〕──

神獣8体はかなり遠くに横並びに立っていた。
左からユニコーン、サイ、象、雄牛、4枚羽根の鳥、グリフォン、6枚羽根の黒竜、ライオン。

(さて、どれが管理者権限をもっているのだろうな?)
(管理者権限を獲得してもコマンドで奴らを止める事は出来ないだろうな)

ルーティアさんと川本さんが話している。

(管理者権限で止められるのなら食われる様な事は無かったという事ですか?)

そう聞いて来たのは昨日リファナちゃんの魔法から地上を護っていた魔法使いの女の子、リゼットさん。マティアスさんの妹さんらしい。

(その通りだ。管理者権限で止めることができなかったから地上に顕現し神獣達を力で止めようとしたのだろう)
(ドゥームを倒せる程の強さの神獣相手に勝算はあったのかしらね。ここの神って1人だったの?)
(そう聞いている。ルトシカ唯一の神はエルキュリアス。一度だけ会った事があるが聡明な男の神だった)

川本さんはここの神様と面識があるんだね。

(さて、お喋りはそれくらいにして、いよいよ戦闘開始だ。レア、指揮を頼むぞ)
(はい!)

レアさんは6隻の船とそれに乗る冒険者のチームを分けて、編成する。

船に乗っていたを一つの部隊として1体ずつに割り当てる。残りの2体は飛空艇3隻ずつで受け持つそう。私達は一番強そうな6枚羽根の黒竜と戦う。ルーティアさん達はグリフォンに割り当てられていた。

(あの付近にコミュニティはありません。こちらは速度を上げて回敵し、その後神獣を1体ずつに分断します)

レアさんが細やかに各神獣の戦闘エリアを指示していく。

マップには誘引に失敗した時の予備の戦闘エリアまで表示されていた。

「流石はレアね。地形の把握なんていつの間にやったのよ?」
「皆さんが休んでいるうちに偵察に出ていた2隻から情報をいただきました」

って事はレアさん寝てないんじゃ?

「《レナータ》で疲労は消せますし大丈夫ですよ」

そう言って笑うレアさん。
今回レアさんには物凄い負担を掛けてしまっている。

「終わったらのんびりさせていただきますから。そうだ、良かったら地球の温泉に行きませんか?」
「はい。行きましょう!」

その為にも全員無事で帰らなくちゃね。

飛空艇6隻はキュラシェーラセレスを先頭に最大速度で神獣に向かう。

(よし、冒険者達は分離しろ!我々も指定の神獣だ攻撃を仕掛ける!)

神獣との距離が近付いた所でエリザベートさんが号令を掛ける。私達はそれを合図に甲板から離脱して黒竜の方へと向かう。

全域内全員には《アルスアドラステア》が付与されているし、《ディレクションシェル》の有効範囲内だ。

レアさんは各隊のリーダーに指示を出しながら個々にも声を掛ける役割らしい。

私達の隊のリーダーはレアさんが兼任するのは大変なのでリオさんがやってくれる。リオさんの指示通りに戦おう。

「行くわよ。まずは相手を引き付けるわ。牽制して指定のフィールドに移動よ」
「はい!」

リオさんとレフィさんが《レイブラスター》を撃って黒竜にダメージを与えると、怒りの咆哮を上げてこちらに突進してきた。

私達はそのまま一塊になって後退。時折リサさんが矢を放って牽制して、黒竜と一定の距離を保ったまま移動する。

(黒竜は予定の場所まで移動したわ)
(グリフォンも間もなく完了だ)
(ユニコーンは食いつきが悪い。移動に時間がかかっている)

シルヴァさんの隊がユニコーンの担当みたい。

(ユニコーンはその場で戦闘を始めてください。サイをもう少し西に引っ張れますか?)
(あいよ!)

サイの担当はエリザベートさん、リコッタちゃんメレ君の飛空艇部隊。ヘッジホッグセレイラがアンカーとジャベリンランチャーを巧みに使ってサイを誘導していく。

他の隊は誘導に成功したみたい。

「もう攻撃していい?」
「ええ。全員で総攻撃よ!サッサと倒して他の隊を手伝いに行くわ」

リオさんはデバイス2つを展開して《ルインブレイザー》を準備し始める。

アニエスさんは2本の剣を私達の近くに飛ばしてフィールドを形成、攻撃力、防御力を底上げし持続回復も付与してくれた。

アンネさんはエレメンタルを集めて全身に纏わせて前進。
レフィさんは鎌を出してはいるけど近接攻撃には行かずに魔法で援護するみたい。

ソラちゃんとユキさんとマサルさんとナオトさんは一気に距離を詰めて攻撃を開始。ユイさんはリルちゃんとミーちゃんを元のサイズに戻して攻撃。
ユウキちゃんとマイケルさんは後方から魔法攻撃だ。

私は近接攻撃に回った方が良さそうだね。

総攻撃を受けて苦しそうに呻き身体を仰け反らせている。

「恨みはないけどサッサと死んでよね!《マナイグジスベイト》、《ルインブレイザー》!」

リオさんの魔法攻撃が左の一番上の翼に命中。吹き飛ばした。

翼を1枚吹き飛ばしたけど、まだ他の翼で羽ばたいて空中で停滞している。

と、咆哮を上げると突然口を大きく上げてレーザーの様なブレスを吹きかけてくる。

「防ぎます!《遮断》!」

ユキさんが大盾を構えて前に出てブレスを1人で受け止めてくれた。

私も行くよ!

オーバーブーストを付与してディエスエグゼクリシオンで斬り込む。私の一撃で右の一番上の翼を切り取った。
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