589 / 763
特別編3:異世界
世界の終わり
しおりを挟む
──〔god side〕──
ユークリドの神界にはみんな一緒に来てくれた。
5メートル程の小さな白い部屋の中央に浮かんでいるバレーボール程の球体がワールドコアだ。
それに世界の停止を指示すると、ユークリドという世界は消滅する。
星が、宇宙が、消えていく。
残されたのはワールドコアと小さな白い部屋だけ。世界を終わらせるというのは案外呆気ないものだった。
世界の全てをリソースに変換してアルディオス様自身に付与していたので、あの世界に生物はいなかった。
それでも、世界を終わらせるというのは辛いものがある。
この世界にも多くの人が住んでいたんだ。もっと早くに気が付けば助けられたのかも知れない。
イントルーダーによって滅ぼされた世界はどれくらいあるんだろう?
虚空の覇者さんに聞いたら今回のを含めて5つはあると言う。
気になったのはアルディオス様の言動だ。
やった事は許される事ではないけど、イヴちゃんを取り込まなかったり、私と話す時は優しさすら感じた。
虚空の覇者さんを手玉に取ったり、イントルーダーを巧みに操って私達を誘導したりしていたけど最後の詰めが甘かった。
ファクティスとの融合に失敗したのは想定外だったとしても、始めから全ての世界を掌握する気なんてなかったんじゃないかと思えてくる。
もしかして警告をしたかったんじゃないかな。
「ミナ、考え過ぎよ」
リオさんが肩に手を置いて言ってくる。
「アルディオスのやった事に対して動機や意図を考えるよりも、これからの事を考えるべきだわ」
「そうですね。すみません」
うん、私達が今できる事をやっていくべきだね。私はアスティアの神様なんだから、自分の世界の事を考えなくちゃ。
「ユークリドのワールドコアはどうするの?」
ソラちゃんが聞いてくる。
「終わらせる為に管理者権限を譲ってもらったけど、私がどうにかしていいものじゃないよ。虚空の覇者さん、ワールドコアをお渡しします」
「分かった。私の手元にあるのは奴も嬉しくはないだろうが、ミナ殿に負担をかける訳にはいかん」
そう言うと虚空の覇者さんがワールドコアに触れると消えて無くなる。多分《インベントリ》とか《アイテムボックス》みたいな所に送ったんだと思う。
「これで一件落着だな。今回の件、ミナ殿達には本当に世話になった何か礼をしたいのだが、希望するものはあるかな?」
虚空の覇者さんが聞いてくる。私は思った事をそのまま話してみた。
「無茶な事を言ってしまうかも知れないですけど、その世界の神様がどうしようもないトラブルに見舞われた時に、助け合える様に連携が出来る様にしたいです。虚空の覇者さんには世界間の橋渡し役になっていただけないでしょうか?」
「それはかなり難しい事だが…ミナ殿が望むなら出来る限りの事はしよう」
そう虚空の覇者さんは約束してくれた。
具体的な内容についてはこれからゆっくりと詰めていくと言う事で、私達は虚空の覇者さんと別れてアスティアの神界に帰る。
まず行くのはアイさんとイヴちゃんの所。
アルディオス様を倒して、ユークリドを閉じてきた事を報告する。
「もうこれで大丈夫なんですね…安心しました…」
話を聞いてその場に座り込むアイさん。
アイさんはまだ装備を付けたままだった。襲撃された事で警戒心が強くなっているのかな。
「あのねあのね、さっきの神様が頭を触った時に何かモヤモヤするものを置いていったの」
イヴちゃんが私に話し掛けてくる。
「モヤモヤするもの?」
「あー、私もどんなものか具体的に聞いたんですけど、上手く表現できないみたいで…記憶なのか知識なのか、多分そんな感じのものだと思います」
アイさんには事前に話をしてあったみたいで、出来るだけ話を聞いてくれていた。
分からない事はアウラさんにお願いしよう!
[解析中…アルディオスの知識の様です]
流石アウラさん。すぐに分かっちゃったね。それで、危ないものだったりしないのかな?
[念の為イヴから抽出して確認しましょう。イヴの頭を手で触れてください]
うん。これでいい?
[抽出完了。展開します]
アウラさんのサポートで私がアルディオス様の知識を取り込んで見てみる。
それはイントルーダーをワールドリソースに還元する方法だった。
「イントルーダーって魂ごと変異するからリソースに戻らないのよね?」
「はい。アルディオス様の知識によると、幾つかの手順を踏めば元に戻す事は出来ないけど、リソースにする事は可能みたいです」
リオさんに答えながら思う。
何でこんなものをイヴちゃんに…?
それは知識と一緒に思念として流れてきた。
『今回の件で複数の世界と連携を打診するだろう。その際に交渉のカードとして使うと良い』
これは…私に宛てられたものだ。
アルディオス様はこうなる事を予想していた…?
[特別な仕掛けはありません。安全なものの様です]
使わせてもらおう。
2度とあんな事が起こらない様に。
ユークリドの神界にはみんな一緒に来てくれた。
5メートル程の小さな白い部屋の中央に浮かんでいるバレーボール程の球体がワールドコアだ。
それに世界の停止を指示すると、ユークリドという世界は消滅する。
星が、宇宙が、消えていく。
残されたのはワールドコアと小さな白い部屋だけ。世界を終わらせるというのは案外呆気ないものだった。
世界の全てをリソースに変換してアルディオス様自身に付与していたので、あの世界に生物はいなかった。
それでも、世界を終わらせるというのは辛いものがある。
この世界にも多くの人が住んでいたんだ。もっと早くに気が付けば助けられたのかも知れない。
イントルーダーによって滅ぼされた世界はどれくらいあるんだろう?
虚空の覇者さんに聞いたら今回のを含めて5つはあると言う。
気になったのはアルディオス様の言動だ。
やった事は許される事ではないけど、イヴちゃんを取り込まなかったり、私と話す時は優しさすら感じた。
虚空の覇者さんを手玉に取ったり、イントルーダーを巧みに操って私達を誘導したりしていたけど最後の詰めが甘かった。
ファクティスとの融合に失敗したのは想定外だったとしても、始めから全ての世界を掌握する気なんてなかったんじゃないかと思えてくる。
もしかして警告をしたかったんじゃないかな。
「ミナ、考え過ぎよ」
リオさんが肩に手を置いて言ってくる。
「アルディオスのやった事に対して動機や意図を考えるよりも、これからの事を考えるべきだわ」
「そうですね。すみません」
うん、私達が今できる事をやっていくべきだね。私はアスティアの神様なんだから、自分の世界の事を考えなくちゃ。
「ユークリドのワールドコアはどうするの?」
ソラちゃんが聞いてくる。
「終わらせる為に管理者権限を譲ってもらったけど、私がどうにかしていいものじゃないよ。虚空の覇者さん、ワールドコアをお渡しします」
「分かった。私の手元にあるのは奴も嬉しくはないだろうが、ミナ殿に負担をかける訳にはいかん」
そう言うと虚空の覇者さんがワールドコアに触れると消えて無くなる。多分《インベントリ》とか《アイテムボックス》みたいな所に送ったんだと思う。
「これで一件落着だな。今回の件、ミナ殿達には本当に世話になった何か礼をしたいのだが、希望するものはあるかな?」
虚空の覇者さんが聞いてくる。私は思った事をそのまま話してみた。
「無茶な事を言ってしまうかも知れないですけど、その世界の神様がどうしようもないトラブルに見舞われた時に、助け合える様に連携が出来る様にしたいです。虚空の覇者さんには世界間の橋渡し役になっていただけないでしょうか?」
「それはかなり難しい事だが…ミナ殿が望むなら出来る限りの事はしよう」
そう虚空の覇者さんは約束してくれた。
具体的な内容についてはこれからゆっくりと詰めていくと言う事で、私達は虚空の覇者さんと別れてアスティアの神界に帰る。
まず行くのはアイさんとイヴちゃんの所。
アルディオス様を倒して、ユークリドを閉じてきた事を報告する。
「もうこれで大丈夫なんですね…安心しました…」
話を聞いてその場に座り込むアイさん。
アイさんはまだ装備を付けたままだった。襲撃された事で警戒心が強くなっているのかな。
「あのねあのね、さっきの神様が頭を触った時に何かモヤモヤするものを置いていったの」
イヴちゃんが私に話し掛けてくる。
「モヤモヤするもの?」
「あー、私もどんなものか具体的に聞いたんですけど、上手く表現できないみたいで…記憶なのか知識なのか、多分そんな感じのものだと思います」
アイさんには事前に話をしてあったみたいで、出来るだけ話を聞いてくれていた。
分からない事はアウラさんにお願いしよう!
[解析中…アルディオスの知識の様です]
流石アウラさん。すぐに分かっちゃったね。それで、危ないものだったりしないのかな?
[念の為イヴから抽出して確認しましょう。イヴの頭を手で触れてください]
うん。これでいい?
[抽出完了。展開します]
アウラさんのサポートで私がアルディオス様の知識を取り込んで見てみる。
それはイントルーダーをワールドリソースに還元する方法だった。
「イントルーダーって魂ごと変異するからリソースに戻らないのよね?」
「はい。アルディオス様の知識によると、幾つかの手順を踏めば元に戻す事は出来ないけど、リソースにする事は可能みたいです」
リオさんに答えながら思う。
何でこんなものをイヴちゃんに…?
それは知識と一緒に思念として流れてきた。
『今回の件で複数の世界と連携を打診するだろう。その際に交渉のカードとして使うと良い』
これは…私に宛てられたものだ。
アルディオス様はこうなる事を予想していた…?
[特別な仕掛けはありません。安全なものの様です]
使わせてもらおう。
2度とあんな事が起こらない様に。
0
お気に入りに追加
3,734
あなたにおすすめの小説
プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
譚音アルン
ファンタジー
ブラック企業に勤めてたのがいつの間にか死んでたっぽい。気がつくと異世界の伯爵令嬢(第五子で三女)に転生していた。前世働き過ぎだったから今世はニートになろう、そう決めた私ことマリアージュ・キャンディの奮闘記。
※この小説はフィクションです。実在の国や人物、団体などとは関係ありません。
※2020-01-16より執筆開始。
魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。