上 下
569 / 763
特別編3:異世界

撤収

しおりを挟む
川本さんとユートさんは職員や警備の人を一人残らず昏倒させていた。

いやー…撃たれても平気だとは思わなかったよ。

「ミナさん油断しすぎです。一応生身なのですから気を付けてください」
「ねーちやんだって一応人間なんだから気をつけろよ!」

ユキさんとテュケ君に叱られる。

何で2人ともを付けるの…?

「しかし銃弾が効かないか。アウラ、ダメージはどれくらい出てたんだ?」
[平均500程度です]

マサキさんが聞いてきてアウラさんが答える。

「それなら全然大丈夫じゃないか。俺なら5千発は受けれるぞ」
「当たりどころが悪ければ即死するかもしれないだろう。よく考えろ」

ハナちゃんに怒られていた。

うんうん。平気だからって仲間が撃たれたら焦っちゃうよ。危ない事はしない方がいい。

…反省します。

「片付いたな。撤収するぞ」
「あ、待って。荷物を取ってくるわ」
「そうだな。私達の荷物が残っていたら怪しまれるだろう」

康介さんと真由美さんの荷物を回収に行こう。
人目に付かないように《テレポート》で移動して、住んでいる所にある持ち物を全て《インベントリ》に収納。次々に消えていく家財道具を見て驚いていたけど今は説明している暇はない。

「ここは賃貸ですか?」
「はい」
「ユート、この周囲の者の記憶の改竄を頼む」
「畏まりました」

川本さんが手際よく指示を出していく。

「よし、あとはユートに任せて我々は移動するぞ」
「はい」

どこに行ったらいいか考えた結果、取り敢えず美咲お姉さんが買った宿泊施設に転移する。同時に《アドラステア》と《アルスアドラステア》を解除した。

「ここは日本…?一瞬で?」
「凄いわ!こんな魔法が簡単に使えるなんて…!ほのかも出来るの?」
「私は空間転移は出来ないよ。空を飛んだりはできるけどね」
「凄いわ!」

真由美さんはほのかさんに抱きついて喜んでいた。

やっぱり親子だなぁ。ソックリだね。

ほのかさんのお父さんとお母さんは日本の住まいは無いので、取り敢えずここに匿ってもらおう。

奥田さんと美咲お姉さんが居たので事情を説明する。

「そう言う事なら是非使って」

美咲お姉さんは快く引き受けてくれた。

取り敢えず一旦落ち着こうという事になり、ご飯でも食べながら状況の整理をする事に。

急な来客で奥田さん夫妻は慌てていたけど食事の準備は大丈夫。全部自分でやるからね。

「あの連中は何者なのですか?」
「彼らはアレクスという研究機関です」

川本さんが康介さんに質問する。

表向きはどこの国にも属していない事になっているけど、幾つかの国が出資して異次元の研究を行っているそう。
杉浦夫妻はほのかさんが失踪してから色々調べている内に彼らと接触。目的が同じという事でアレクスに所属して調査と研究を行なっていたらしい。

「そんなオカルトめいた機関が存在するのね。聞いた事無かったわ」

リオさんでも知らないんだ。

「表向きには環境調査団体という事になっていたね。日本じゃ殆ど知られていないと思うよ」
「やはりアレクスでしたか。あの機関でしたらよく知っています」

そう言ったのはスイさんだ。

スイさん達は神様から力を授かって地球に侵入してくる者の排除を行っている。
これまでにもアレクスの人達と何度か接触した事があるらしく、異世界に繋がる門を開こうとしている事から危険視しているそう。

「まさか君は守護天使シュッツエンゲルなのかい?」
「はい。アレクスの人達はそう呼んでいましたね」
「ミナさん達も?」
「私達は違いますよ」

シュッツエンゲル…ユキさんが教えてくれたけど、日本で言う守護霊みたいな表現らしい。

康介さんが言うには人知れず世界を守っているからそんな呼称が付いたのだとか。

「相手がアレクスなら私達が火消しできると思います。私達の同胞は世界各地にいるのですが、政治に関与できる様に各国に潜り込んでいます。残念ながら最近はアレクスへの抑止力が弱まりつつあるみたいですが」

メイファさんが説明してくれた。

「何だかアサシンとテンプルナイツみたいだね」
「どっちがどっちよ」

ソラちゃんとリオさんのいつものやり取りは置いておいて、康介さん達はこれからどうするのかな?

「アレクスに所属していたのはほのかを捜す為だったのでもう協力する意味は無いよ」
「お父さん…私の事を探してくれていたんだ」
「当たり前でしょう?一人娘が行方不明になったのよ。片時も忘れた事は無かったわ」
「お母さん…」

ほのかさんはご両親はアッサリした性格だから自分の事は忘れて好きに生きているだろうなんて言っていたけど、全然違ったね。

「子供の事を心配しない親なんていないぞ」
「ええ。ほのか、生きていてくれて良かった…本当に…」

真由美さんはほのかさんを抱き寄せて泣いていた。
ほのかさんもお母さんをしっかりと抱きしめている。

「心配掛けてごめんね」
「何があったのか聞かせてもらえるか?」
「うん」

ほのかさんは自分が次元の狭間を漂流した事、自分が特異点になった事で色々な世界で沢山の生き物をイントルーダーに変えてしまった事を話した。

「イントルーダー…あれの事か」

康介さん達は例のイントルーダーだらけの世界の事を知っているからね。

「イントルーダーが大量発生したのは私のせいかも知れないんだよ」
「そうなのか…」
「それについては私の方からも言わせて欲しい。ほのか…娘さんはイントルーダーの発生要因の一つに過ぎないので全ての責任がある訳ではありません。その上で、アレクスについて詳しくお聞きしたい事があるのですが」

川本さんが康介さんに確認したい事は、アレクスが異世界へと扉を開く方法を知った経緯についてだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」 公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。 血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。

「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。

亜綺羅もも
ファンタジー
旧題:「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。今更戻って来いと言われても旦那が許してくれません! いきなり異世界に召喚された江藤里奈(18)。 突然のことに戸惑っていたが、彼女と一緒に召喚された結城姫奈の顔を見て愕然とする。 里奈は姫奈にイジメられて引きこもりをしていたのだ。 そんな二人と同じく召喚された下柳勝也。 三人はメロディア国王から魔族王を倒してほしいと相談される。 だがその話し合いの最中、里奈のことをとことんまでバカにする姫奈。 とうとう周囲の人間も里奈のことをバカにし始め、極めつけには彼女のスキルが【マイホーム】という名前だったことで完全に見下されるのであった。 いたたまれなくなった里奈はその場を飛び出し、目的もなく町の外を歩く。 町の住人が近寄ってはいけないという崖があり、里奈はそこに行きついた時、不意に落下してしまう。 落下した先には邪龍ヴォイドドラゴンがおり、彼は里奈のことを助けてくれる。 そこからどうするか迷っていた里奈は、スキルである【マイホーム】を使用してみることにした。 すると【マイホーム】にはとんでもない能力が秘められていることが判明し、彼女の人生が大きく変化していくのであった。 ヴォイドドラゴンは里奈からイドというあだ名をつけられ彼女と一緒に生活をし、そして里奈の旦那となる。 姫奈は冒険に出るも、自身の力を過信しすぎて大ピンチに陥っていた。 そんなある日、現在の里奈の話を聞いた姫奈は、彼女のもとに押しかけるのであった…… これは里奈がイドとのんびり幸せに暮らしていく、そんな物語。 ※ざまぁまで時間かかります。 ファンタジー部門ランキング一位 HOTランキング 一位 総合ランキング一位 ありがとうございます!

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。