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特別編3:異世界

虚空宮の転生者

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神界側で暫く放置と決まっているけど、状況を説明してライオアールを引き取ってもらえないか聞いてみた。

「ミナ殿が管理者になっているのなら、そのままで構わないよ。世界を2つ持つ事がいけない事ではないのだから」
「でも、私は2つの世界を管理できるほど力はありません」
「その為の仲間だろう?君が舵を取れば皆協力してくれる」

どうやらライオアールを引き取ってはもらえないみたい。
やっぱり私が作り直すのが一番良いのかなぁ。

あともう一つ。

虚空の覇者ヴォイドマスターさんはもしかして転生者だったりしませんか?」
「よく分かったね」
「地球で部下の人達を止めた時に叫んだのが日本語だったので」
「幾ら年月を重ねても、咄嗟に出る言葉は中々変わらないものでね」

やっぱりそうだったんだ。

「今の地球はどんな感じか教えてもらえるだろうか?」

虚空の覇者ヴォイドマスターさんはずっと地球に行っていなかったらしい。この前部下の人達を止めに入った時が初めてだったとか。

「この姿で行くわけにはいかないからな」
「確かにそうですね」

日本なら手の込んだコスプレと言えば誤魔化せそうな気もしなくはないのだけどね。

「攻撃されても地球にある兵器では私は傷付ける事は不可能だがな」

虚空の覇者ヴォイドマスターさんは身体に《次元装甲》という特殊な防御フィールドがあるらしく、大抵の攻撃は効かないのだとか。

「ミナ殿の最大出力なら突破できるかも知れんな」
「ははは…」

試す気はないですよ。

「攻撃されたら身体に傷は付かないけど心に傷は付きそう」
「そう。その通りなのだ。だから行かぬ様にしていた」

ソラちゃんが的確な表現をしていた。

「人の姿にはなれないのですか?」

ユキさんが質問する。

「《次元装甲》の影響で変身は無理の様だ。幻覚を被せて人に見せる事は出来るのだが私が行く事で悪影響が出ないか心配なのだよ」

ふむふむ…。

「中に美少女とか入ってないの?」

ソラちゃんがやって来て虚空の覇者ヴォイドマスターさんの身体をペタペタと触っている。

「これは鎧では無いのだ。脱ぐ事は出来んよ。そして転生前はただのサラリーマンだ。美少女ではないぞ」
「そっかー残念」

脱げない事が残念なのかな?

話が逸れてしまったけど、今の地球の話をする。

「ケータイ?スマホ?私がまだ人間だった頃はポケベルとPHSだったな」
「ポケベル?」
「最近の子は知らないか…」

こういう話をしていると一気に人間らしさが見えてくるね。

昔はインターネットをするのにも凄くお金が掛かったらしい。

「まだダイヤルアップの時代だな。電話料金が爆上がりするんだよ」

マサキさんが説明してくれた。

「家のパソコンはインターネットに繋がってなかったな」
「え?ネットができなかったらパソコンで何するの?」

虚空の覇者ヴォイドマスターさんをペタペタしながら聞くソラちゃん。

「パソコンは玩具ではないぞ」
「まあスマホがあればパソコン要らないけどね」
「スマホとはそんなに高性能なのか…」
「俺も最近地球に帰ったけど、一昔前のパソコンより格段に性能が良いぞ」
「それは…凄まじいな…」

他にも社会情勢だったり、みんなの好きなサブカルチャーの話だったりをして盛り上がった。

虚空の覇者ヴォイドマスターさんは政治関連と芸能関連に詳しかったけど、アニメやゲームにはあまり詳しくなかった。

社会情勢と芸能はリオさんが、政治の話はユキさんがしっかり説明していた。

ユキさんスゴい…。

「ミナ殿とは今後も交流させてもらいたい」
「はい。私ももっと色々とお話を聞いてみたいです」
「そこでだ、ミナ殿に私の力を分けようと思う」

それってさっき話してた《次元装甲》とかも含まれるんだよね。

「ええと…あまり物騒な能力は増やしたくないんですけど」
「大丈夫だ。リミッターを付けておけば誤作動する様な事はない」

リミッターなんて付けられるの?

「既に持っている2つの力も含めて、虚空ヴォイドの力は世界を歪めてしまう程の威力がある。これらは本当の緊急事態の時にしか使ってはならない」
「使うとどうなるのですか?」
「極端な話をすると、その世界の生物がイントルーダー化する」

えぇ…つまり今いるイントルーダーって…。

「他の世界にいた生物の成れの果てだ」
「それってあなたの部下が力を乱用してイントルーダーを生成していたって事?」

リオさんがズバリと聞く。

「いや、私の部下達にそこまでの力を持たせてはいない。奴らが発生した原因は分かっているのだ」

虚空の覇者ヴォイドマスターさんは全員を見渡しながら何かを考えている。

「君達になら話しても良いだろう。イントルーダーを生成している者が存在する」
「それは誰なんですか?」
「私の古い友人だ。人間の頃の」

虚空の覇者ヴォイドマスターさんは俯き目を閉じる。

「その友人とはこの姿になって間もない頃に再会した。彼女は次元歪曲の特異点になっていた」

そうなった経緯は分からないそうで、虚空の覇者ヴォイドマスターさんはその人を助けようとして力を行使して失敗したらしい。

「彼女が通った後にはイントルーダーが発生している。既に人としての意識があるのかすら分からないが、無自覚に次元跳躍を繰り返して世界を移動している」

部下の人達には彼女の追跡と捕捉を指示しているらしいけど未だに捕まえられないらしい。

「彼女の名前は杉浦ほのか。私と同じ年代の者だが、見た目は高校生位のままらしい。もし彼女を見かけたら私に教えてくれないか」
「分かりました。もし会う事があったら真っ先にお知らせしますね」

世界は無数にあるのだから出会う確率は限りなくゼロに近いだろうけど。
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