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特別編3:異世界
虚空宮
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お昼前にカゼインさんが迎えに来た。
私達の準備は終わっている。まあ特に何か用意する訳ではないのだけど。
美咲お姉さんはハナちゃん達とお留守番してもらう事になった。
それから私達は装備を全て外して行く事にした。
「あそこに丸腰で行くなんて生きた心地がしませんよ…」
レフィさんは顔を引き攣らせながら言っていた。
「招待されたのですから礼儀として武装はしていくべきではありませんよ」
「向こうにその礼儀があれば心配ないんですけどねぇ…」
ユキさんがレフィさんを宥めているけど、レフィさんは以前軟禁されていた時の事を思い出して頭を抱えていた。
余程怖い目にあったんだね。
「じゃあ、行きますよ」
「お願いします」
カゼインさんが転移を使う。
次の瞬間には、幻想的な世界に立っていた。
曇りのない満天の星空、月に照らされているかの様に輝く青白い大地。
青や白の花々が咲き乱れ、風に揺られて舞い散る花びらが優しい甘い香りを運んでくる。
少し離れた所には白亜の城が見える。
「綺麗なお城ですね…」
「ホントだね」
ユキさんは美しいお城に見惚れていた。
「想像してたのと違う。もっとドロドロしたのだと思ったのに…最低でも溶岩はほしかった」
「どんな城を想像してたのよ…」
「桃のお姫様をよく攫うパンクなカメが住んでそうなお城?」
「ああ、うん。何となく分かったわ」
すぐ後ろでソラちゃんとリオさんが話している。
ああ、私もわかるよ。キノコを食べると大きくなるオジサンが主人公のアレだよね。
「こちらです」
「は、はい」
カゼインさんを先頭に全員でお城に向かう。
お花畑に何人か人がいるのを見かける。何をするでもなくこちらを見ているだけ。
みんなカゼインさんと同じ虚空の覇者さんの部下と言われる人なのかな?
暫く景色を楽しみながら歩いていたら
お城の入り口に着いた。
このお城には堀や塀は存在しない。
この世界にお城に無断で入ろうとする人や動物はいないのだろう。
高さ5メートルはあるだろう両開きの金属扉がゆっくりと開いていく。
中も真っ白で、真っ直ぐな廊下が奥へと続いていた。
お城の中でも何人かの人に出会う。
15歳位から20歳位の人しかいないのかな。
みんな何言わずに私達を見ている。
カゼインさんは何も言わずにどんどん奥へ。
また大きな扉があって、ゆっくりと開いていく。
謁見の間かな?一番奥に大きな玉座があってそこに虚空の覇者さんが座っていた。
向かって右側には青髪の少女、左側には赤髪の少年が立っている。2人共カゼインさんと同じくらいの年齢かな。
カゼインさんな後に続いて話のできる距離まで近付いた。
「ようこそ我が城へ」
「急に来てしまってすみません」
「構わないよ。私は暇を持て余しているのでね」
そう言う虚空の覇者さんは笑っている様に見えた。
「あ、えと…これ、お土産です。お口に合うか分かりませんが…」
そもそも食べれるのか分からないけど、折角用意していただいたんだから渡さないと。
「これは、ご丁寧に…ゴホン。気を使わせてしまったようだな。ありがたく頂こう」
カゼインさんが「お預かりします」と言って受け取り、赤髪の少年に渡す。
今なんか言い換えたけど、意外と丁寧な人なんじゃないかな。部下の前なのでそれらしく振る舞っている、みたいな?
「さて、それではまずやらねばならない事がある」
そう言ってゆっくりと立ち上がる虚空の覇者さん。
「皆を集めよ」
「畏まりました」
青髪の少女が恭しくお辞儀をしながら返事をする。
気が付いたら後ろに沢山の人の気配。
振り返るとそこにはカゼインさんと同じ様な服装の人達が4、50人は立っていた。その中には昨日戦った3人もいる。
全員がが一斉に跪く。
「改めて謝罪しよう」
そう言うと玉座から降りて私達の方へと歩いてくる。
足音はしないけど、歩いてくるだけで迫力がある。
「謝罪なら昨日いただきました。もう結構ですよ…」
「いや、これはけじめだ。受けて欲しい」
そう言うと私の目の前で跪く。
「我が部下が行った横暴、不遜な態度、これは私の監督不行き届きが原因だ。どうか許して欲しい」
そう言うと両手を付いて床に頭が着くほど深々と頭を下げる。
ど、土下座……そこまでしなくても…。
「やめてください…!そこまでしなくても…とにかく頭をお上げ下さい。部下の皆さんが見てます」
「なればこそ」
慌てて立ってもらおうとするけど全然動かない。
「マスターがそこまでされる事はございません…!」
「おやめください!」
「なぜ人間ごときにそこまで…」
後ろにいる部下の皆さんが立ち上がって騒ぎ始める。
それとは真逆に赤髪の少年と青髪の少女、カゼインさんは虚空の覇者に倣って土下座をしていた。
うん…どうしよう…。
「この大馬鹿者どもが!!」
声を上げたのは赤髪の少年だった。
「誰の為にマスターが頭を下げていると思っている?お前達の行いを謝罪しているのだぞ!それが何故分からない?」
少年は頭を下げたまま声を張り上げているけど、その音量は凄まじい。少年らしいやや高めの声だけどお腹に響く重さがある。
「皆、この方達に詫びねばならないのです。我らがマスターが伏しているのに何故あなた達は立っているのですか?」
青髪の少女も伏したまま言う。
部下の人達は慌てて跪いて両手を付いて頭を下げる。
私達を中心に虚空宮の人達が全員土下座をしている状態だ。
…すごく気まずい。
「虚空の覇者さん。謝罪、確かに受け取りました。今後この様な事がない様にしていただけたらと思います」
「承知した」
そう言うとゆっくりと顔を上げて立ち上がる。
虚空の覇者さんは自部下の人達がやった事が間違っているって教えたかったんだね。
人間が出来ている。
いや人間じゃないけど。
「本来ならあの3人とカゼインは頭を丸めて貴女の所に奉公に出す所だが…」
「いえ!それは結構です!」
そこまでしてもらわなくてもいいですよ。
私達の準備は終わっている。まあ特に何か用意する訳ではないのだけど。
美咲お姉さんはハナちゃん達とお留守番してもらう事になった。
それから私達は装備を全て外して行く事にした。
「あそこに丸腰で行くなんて生きた心地がしませんよ…」
レフィさんは顔を引き攣らせながら言っていた。
「招待されたのですから礼儀として武装はしていくべきではありませんよ」
「向こうにその礼儀があれば心配ないんですけどねぇ…」
ユキさんがレフィさんを宥めているけど、レフィさんは以前軟禁されていた時の事を思い出して頭を抱えていた。
余程怖い目にあったんだね。
「じゃあ、行きますよ」
「お願いします」
カゼインさんが転移を使う。
次の瞬間には、幻想的な世界に立っていた。
曇りのない満天の星空、月に照らされているかの様に輝く青白い大地。
青や白の花々が咲き乱れ、風に揺られて舞い散る花びらが優しい甘い香りを運んでくる。
少し離れた所には白亜の城が見える。
「綺麗なお城ですね…」
「ホントだね」
ユキさんは美しいお城に見惚れていた。
「想像してたのと違う。もっとドロドロしたのだと思ったのに…最低でも溶岩はほしかった」
「どんな城を想像してたのよ…」
「桃のお姫様をよく攫うパンクなカメが住んでそうなお城?」
「ああ、うん。何となく分かったわ」
すぐ後ろでソラちゃんとリオさんが話している。
ああ、私もわかるよ。キノコを食べると大きくなるオジサンが主人公のアレだよね。
「こちらです」
「は、はい」
カゼインさんを先頭に全員でお城に向かう。
お花畑に何人か人がいるのを見かける。何をするでもなくこちらを見ているだけ。
みんなカゼインさんと同じ虚空の覇者さんの部下と言われる人なのかな?
暫く景色を楽しみながら歩いていたら
お城の入り口に着いた。
このお城には堀や塀は存在しない。
この世界にお城に無断で入ろうとする人や動物はいないのだろう。
高さ5メートルはあるだろう両開きの金属扉がゆっくりと開いていく。
中も真っ白で、真っ直ぐな廊下が奥へと続いていた。
お城の中でも何人かの人に出会う。
15歳位から20歳位の人しかいないのかな。
みんな何言わずに私達を見ている。
カゼインさんは何も言わずにどんどん奥へ。
また大きな扉があって、ゆっくりと開いていく。
謁見の間かな?一番奥に大きな玉座があってそこに虚空の覇者さんが座っていた。
向かって右側には青髪の少女、左側には赤髪の少年が立っている。2人共カゼインさんと同じくらいの年齢かな。
カゼインさんな後に続いて話のできる距離まで近付いた。
「ようこそ我が城へ」
「急に来てしまってすみません」
「構わないよ。私は暇を持て余しているのでね」
そう言う虚空の覇者さんは笑っている様に見えた。
「あ、えと…これ、お土産です。お口に合うか分かりませんが…」
そもそも食べれるのか分からないけど、折角用意していただいたんだから渡さないと。
「これは、ご丁寧に…ゴホン。気を使わせてしまったようだな。ありがたく頂こう」
カゼインさんが「お預かりします」と言って受け取り、赤髪の少年に渡す。
今なんか言い換えたけど、意外と丁寧な人なんじゃないかな。部下の前なのでそれらしく振る舞っている、みたいな?
「さて、それではまずやらねばならない事がある」
そう言ってゆっくりと立ち上がる虚空の覇者さん。
「皆を集めよ」
「畏まりました」
青髪の少女が恭しくお辞儀をしながら返事をする。
気が付いたら後ろに沢山の人の気配。
振り返るとそこにはカゼインさんと同じ様な服装の人達が4、50人は立っていた。その中には昨日戦った3人もいる。
全員がが一斉に跪く。
「改めて謝罪しよう」
そう言うと玉座から降りて私達の方へと歩いてくる。
足音はしないけど、歩いてくるだけで迫力がある。
「謝罪なら昨日いただきました。もう結構ですよ…」
「いや、これはけじめだ。受けて欲しい」
そう言うと私の目の前で跪く。
「我が部下が行った横暴、不遜な態度、これは私の監督不行き届きが原因だ。どうか許して欲しい」
そう言うと両手を付いて床に頭が着くほど深々と頭を下げる。
ど、土下座……そこまでしなくても…。
「やめてください…!そこまでしなくても…とにかく頭をお上げ下さい。部下の皆さんが見てます」
「なればこそ」
慌てて立ってもらおうとするけど全然動かない。
「マスターがそこまでされる事はございません…!」
「おやめください!」
「なぜ人間ごときにそこまで…」
後ろにいる部下の皆さんが立ち上がって騒ぎ始める。
それとは真逆に赤髪の少年と青髪の少女、カゼインさんは虚空の覇者に倣って土下座をしていた。
うん…どうしよう…。
「この大馬鹿者どもが!!」
声を上げたのは赤髪の少年だった。
「誰の為にマスターが頭を下げていると思っている?お前達の行いを謝罪しているのだぞ!それが何故分からない?」
少年は頭を下げたまま声を張り上げているけど、その音量は凄まじい。少年らしいやや高めの声だけどお腹に響く重さがある。
「皆、この方達に詫びねばならないのです。我らがマスターが伏しているのに何故あなた達は立っているのですか?」
青髪の少女も伏したまま言う。
部下の人達は慌てて跪いて両手を付いて頭を下げる。
私達を中心に虚空宮の人達が全員土下座をしている状態だ。
…すごく気まずい。
「虚空の覇者さん。謝罪、確かに受け取りました。今後この様な事がない様にしていただけたらと思います」
「承知した」
そう言うとゆっくりと顔を上げて立ち上がる。
虚空の覇者さんは自部下の人達がやった事が間違っているって教えたかったんだね。
人間が出来ている。
いや人間じゃないけど。
「本来ならあの3人とカゼインは頭を丸めて貴女の所に奉公に出す所だが…」
「いえ!それは結構です!」
そこまでしてもらわなくてもいいですよ。
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