転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

文字の大きさ
483 / 828
特別編3:異世界

虚空の覇者

しおりを挟む
勝負は一瞬。

私はオーバーブーストを敏捷に掛けて《オーバードスピード》で加速する。

カゼインさんは私の能力発動の僅かな兆候を察知して次元跳躍で別空間に逃げる。

止まった世界ではカゼインさんの姿は無く攻撃が出来ない。

何度やっても同じだ。

でも、私が捕まえる手段を持っていたらどうかな…!

初めて使うからどうなるかは分からないけど、こんな攻撃は幸運に頼りきりのデタラメな攻撃だけど…!

届く!!

オーバーブーストを掛けて《ヴォイドウェスティオ》を使用してディエスエグゼクリシオンに付与!

何処に居たって絶対に捕まえてやる!

何もない所に全力で剣を振り抜く。

斬撃は空間を切り裂きその先にいるものを捉えていた。

加速状態が解除された時、いなかった筈のカゼインさんが地面に倒れていた。

「はぁっはぁっ……な、何をした?」

切り裂かれた脇腹を押さえながら呻くように言うカゼインさん。

「あなたと同じ力を使いました。もうあなたの攻撃も回避も通用しませんよ」

実際はあの次元跳躍を連続で使用されたら捕捉することは出来ないけど、今はハッタリでも言っておいた方が良いと思う。彼の戦意を削ぐ事ができたらラッキーくらいの嘘だ。

「まさか僕をここまで追い詰めるなんて…やっぱり君、凄いよ…」

戦意を失くしてくれたかな?これで終わりでいいなら治療をしてあげようか。

「あれだけの力を行使したんだ。ぼくの仲間が集まって来るよ。そうしたら君はどうするのかな?」

顔を歪めて笑うカゼインさん。

あれだけの力…《ヴォイドウェスティオ》の事だね。レフィさんが『力を使うと知られる』と言っていたからここにカゼインさんのお仲間が来ちゃう…?

いつの間にか私とカゼインさんの周りに人が立っていた。3人の男女。

「なぁにカゼイン、やられてんじゃない」

そう言ったのは20歳位の黒髪の女性。

「だっせぇな。人間に負けたのかよ」

カゼインさんと同じくらいの金髪の少年が言う。

虚空の覇者ヴォイドマスターの顔に泥を塗ったな。死んで償え」

茶髪の青年がカゼインさんを睨みつけながら言った。

「ちょっと待ってください!いきなり現れて何なんですか!」

私に負けた位で死ねだなんて…無茶苦茶だよ。

「人間如きが、我々に割り込むな」
「いいえ!たったこれだけでカゼインさんを殺すなんて酷過ぎます!」
「邪魔をするならここでお前も死ね」

この人達は…!

同じ方法でこの3人も倒すしかない。

少年と女の人がカゼインさんに攻撃にいく。

させないよ!

《ヴォイドフィールド》を張ってカゼインさんを守る。

2人は《ヴォイドウェスティオ》でコーティングした腕を結界にぶつけているけど跳ね返す事ができた。

「この人間…何故私達と同じ力を!?」
「それ、勝手に使っちゃダメなんだよ!」
「何という出力だ…仕方がない。邪魔をするというなら…」

青年は私に背を向ける。
彼が見たのはユキさん達だった。
右手を向けて何かを放とうとしている。

そんな事…絶対にさせない!!

超加速を掛けて結界を解除、青年の側面に回り込んで思い切り蹴りを放つ。

加速状態が解除される。
無防備に腹部を蹴飛ばされて吹き飛ぶ青年。女性と少年が受け止めていた。

「誰も殺させない」
「何なんだ…コイツ…」
「私達の反応速度を越えて…」

私は仲間もカゼインさんも殺させない。
この人達も殺すつもりはない。

『何をやっているか!馬鹿者共!!』

ズンと響く重たい大音声。思わず身がすくんでしまう。
それは私の真横で聞こえた。

私の身長の3倍はあろうかという巨躯。
全身が金属で出来ているかの様な黒い光沢を放ち、顔は人のものではない。

鬼。

巨大な一本角を生やした頭は魔物そのものだった。
目に眼球はなく透き通る様な青一色。
その目には理性的な光を感じた。

この人は敵じゃないと直感で分かった。

そして何より…

「日本語…?」

虚空の覇者ヴォイドマスター…なぜこの様な所に…」

3人はその場に跪き首を垂れる。
カゼインさんも起き上がり3人に倣う。

「お前達、また言いつけを守らずに諍いを起こしていたな?」
「も、申し訳ありません…!」
「今すぐここより立ち去れ!虚空宮ヴォイドパレスにて処遇を伝える。それまで大人しくしていろ!」
「ははぁっ!」

3人は転移で姿を消した。カゼインさんも転移しようとするけど虚空の覇者ヴォイドマスターさんがそれを止める。

「カゼインだったな。お前には他の任を与えるかも知れん。呼び出しを待て」
「はい…」

転移するカゼインさん。

「さて、君達には私の部下が大変失礼した。どうか許して欲しい」

私の前に跪いて頭を下げる虚空の覇者ヴォイドマスターさん。

「いえ…あの人達を止めて下さってありがとうございました」
「いや、こちらこそ礼を言わせて欲しい。部下を1人も殺めなかった事、君の慈悲があったからだと理解しているつもりだ」

この人はレフィさんが言っていた通りの人みたい。

「改めて名乗らせてもらおう。私は虚空の覇者ヴォイドマスター。君達の世界と世界の境界を管理する者だ」
「ミナといいます。アスティアで神をやっていますが、この地球の転生者でもあります」
「神であったか…重ね重ね大変失礼した」
「もういいんです。誰も死んでいないから」

そうだよ。無事に終わったんだ。

「もし宜しければ、我が居城、虚空宮ヴォイドパレスに招待したいが受けていただけるだろうか?」
「はい。でも少しお時間をいただけますか?」
「勿論だとも。では後日、遣いの者を寄越そう。失礼」

そう言って虚空の覇者ヴォイドマスターさんは消えた。
しおりを挟む
感想 1,520

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。