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特別編2:神様はじめました

救援者

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──〔human side〕──

旅館に戻ると浴衣姿の美咲お姉さんが出迎えてくれた。

「お姉さん、観光とか行かなかったんですか?」
「美奈ちゃん達がいつ帰ってくるか分からないからほとんど旅館にいたよ。エステのコースとかあったから利用してたけどね」

お姉さんはお姉さんでのんびり過ごせてたみたいで安心したよ。

「それで、隕石は何とかなったの?」
「はい」

他の世界からの侵入者だった事と撃退した事を話しておく。

「ああそういえば…今ネットで話題になってるけど、これ」

スマホに映した動画を見せてくれる。

…うわぁ、ヴォーグタンルーが映ってるー。

「やっぱり美奈ちゃん達絡みだったんだね」
「はい…バッチリ映っちゃってますね」
「おー、ヴォーグたん映ってる~」

ソラちゃん…変な略し方だね。

「あんな神に親しみやすい呼び方は要らないわよ。もう滅したし」
「神様を滅ぼしたの…?」
「ええ。他所の世界の神だけどね」

リオさんが答えると美咲お姉さんはコメカミを押さえていた。

「スケールが違い過ぎてついていけないわ」
「それで、この映像は世間的にはどう言われてるのですか?」
「まあ大抵はCGだとか映画の撮影だとか言われているけど、一部のオカルトマニア達からは古代の生物の復活だとか宇宙からの侵略者だとか好き放題言われているわね」

最後のは殆ど合ってるね。
まあ、放っておいても大丈夫かな?そのうち話題から消えるよね。

「取り敢えず飯にしようぜ」

ダキアさんはお腹が空いたみたい。
確かにもう日が落ちかけていてお昼を抜いちゃったし、お腹が空くのもしょうがないよ。

マサキさん達はご両親の所に帰るそうなので、一旦お別れ。むしろみんなと仲良くなったみたいだし、こっちに呼んでみたらどうかな?

「話してみる。まあ、来るとしたら明日だな」
「了解。旅館には話しておくわ」

美咲さんが手配してくれるそうなので一安心。

温泉に浸かって一日の疲れを癒す。

「あ~身体に染みる感じがする~」
「ミナさんかなり無理をしましたからね」

露天風呂に肩まで浸かりながら伸びをする。筋肉痛じゃないけど、あちこち痛かったり怠かったりでクタクタだ。
アスティアでもここまで疲労はしないと思うけど、やっぱり地球ではあまり無理は出来ないみたいだ。

さっきまではもう大丈夫だと思っていたけど、意外とフラフラで今はユキさんが側にいてくれる。

「今日はのんびり休んで、明日からは観光でもしましょう」
「ん、いい運動になった。明日からはいっぱい遊ぶ」

リオさんとソラちゃんが隣にやって来る。

「そうだね。折角地球に来てるんだから遊ばないと…」

湯船に揺られていたら眠たくなってきちゃった。

「ミナ、こんな所で寝ると溺れるわよ」
「はい~…」

ーーーー

目が覚めたら真っ暗だった。
ここは…部屋?隣でユキさんとソラちゃんが寝ている。

そっか…お風呂で寝ちゃってここまで運んでくれたんだね。しっかり浴衣まで着せてくれて。

時間は…1時。
ご飯食べ損なっちゃった。

もう一度寝ようと思ったけど眠れそうにない。
身体を起こして周りを見ると、枕元にお盆が置いてあって、その上にはサンドイッチとオレンジジュースが。

私が起きた時の為に用意してくれてたんだね。
…でもこんな時間に食べるのは良くないよね。

どうしようかな?
うーん、ちょっとだけなら……

『ミナお姉さん!』
「はいっ!ごめんなさい!」
『…なんで謝るの?』

ビックリしたー…。
これは念話だよね?

〈ドゥームを中継して異世界間の念話を送って来ているようです〉

そ、そうなんだ…。で、声の主はティナちゃんだよね?

『お姉さん、今すぐハルさんの所に行ってほしいの』
(お婆ちゃんの所に?)
『神界側がおかしいの。レアお姉さんに相談したらハルさんに手伝ってもらうべきだって…』
(うーん、分からないけど。ティナちゃんとレアさんが言うなら…)

みんなは…寝てるから私だけで行ってこよう。

(それで、何をお願いすればいいの?)
『お姉さんが持ってる泉の水よりずっと強力な水を貰うといいみたい』

やや曖昧なのは、ティナちゃんが手当たり次第未来を見たからなんだと思う。
そこまでしてくれたのなら言う通りにしてみよう。

浴衣を着替えて装備を整えてイルメイアに転移する。

綺麗な泉の畔は木漏れ日がキラキラと差していてとてもキレイだ。

時間はお昼前くらいかな。
お婆ちゃん、近くにいればいいけど…。

『ミナ様ではないですか』

畔の隅の穴から顔を出している超巨大蛇、ヤトさんが声を掛けてくる。

「こんにちは。お婆ちゃんいますか?」
『はい。今はそちらの家に居られますよ』
「ありがとうございます」

ログハウスに向かうと、丁度お婆ちゃんが出てきた。

「あら美奈じゃない。どうしたの慌てて」
「お婆ちゃん、泉の水のもっと強力なものって作れる?」
「作れるわよ。必要なの?」
「うん。とにかく強力なのが必要みたい」
「分かったわ」

お婆ちゃんは私のそばまで来て手から水を出している。

「これでいいのかしら?」
「ちょっと待ってて…」

水を水筒で受けつつ鑑定しながらティナちゃんと念話で話す。

(ティナちゃん、貰えたけど未来は変わった?)
『それだとまだダメみたい』

となるとお婆ちゃんにオーバーブーストを付与してみるしかないか。

「お婆ちゃん、もう一回いい?」
「ええ。幾らでも大丈夫よ」

お婆ちゃんが水を出す前にオーバーブーストを付与してみる。

「あら…?いつもと違う感じね。美奈が何かしたの?」
「うん。お婆ちゃんの水が強力になる様に能力を使ったんだよ」

これならどうかな?

[ティナの説明と状況を踏まえてある程度の結論に達したので説明します]

アウラさんは色々な状況から分析をしてくれてたみたい。

[ライオアールの神々はファクティスを取り込んで自身を強化しているのかも知れません。泉の水を使用する事で好転する未来なら、その可能性は高いでしょう]
〈私もアウラの推測を支持します。ファクティスは単体で使用するよりも、変異結合させた方が力を発揮するものだと思います〉

つまり、リヴェルティア様達ライオアールの神様達はファクティスを取り込んで強化しているから、有効だった泉の水の強化版をぶつければ弱らせる事が出来るかも知れないって事なんだね。

「美奈、私にも分かる様に説明して」
「うん。実は……」

お婆ちゃんを巻き込みたくはなかったけど、嘘をつくのはもっと嫌だったから全部話した。

「そういう事なら協力するわ。私を戦場に連れて行きなさい」
「うん!ありがとうお婆ちゃん!」

私達は神界の戦場になっている所へと転移した。
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