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特別編2:神様はじめました
ユキの実家
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転移で移動したのは拠点にしていた廃墟。
さて、美咲お姉さん達を迎えに行かないと。今どこにいるのかな?
《鑑定》で位置を確認して《ハイパークレアボイアンス》で様子を見ると、お姉さんの家の近くのファミレスでご飯を食べていた。
そういえばお金の事は全部お姉さんにお願いしたままだった。
お礼に渡すものを用意しておいたのだけど忘れていたよ。
「夕飯はまだだし、みんなの所に行ってご飯食べようか」
「賛成!」「そうね」「いいですね」
「ファミレスって何だ?」
「レストランだよ。ご飯食べるトコ」
という訳で《テレポート》で人目のない所に移動。
お店に入るとみんなのいる所が一目で分かった。
店員さんに「あそこの人達の連れです」と説明して近くの席に案内してもらう。
「美奈ちゃんおかえり」
美咲お姉さんが気付いて声を掛けてくれる。
「ただいま。お姉さん、矢島さん1日ありがとうございました。皆さん観光はどうでした?」
「こっちは凄いんだな。アスティアとはまるで違う。ミナ達が色々な事に詳しい理由が分かったよ」
美咲お姉さんにお礼を言いつつみんなに感想を聞くと、ルーティアさんが興奮気味に話をしてくれた。
今日は大通りのテレビ塔の展望台に行って美術館と科学館に行ったそう。
科学館ってあまり大人が行くところじゃない気がするけど、みんなスゴく楽しんで来たらしい。
まあルーティアさんは子供に見えるからはしゃいでる姿は微笑ましいと思う。
「何か失礼な事を考えていないかい?」
「い、いえいえ!楽しんでいただけて良かったです」
…顔に出てたみたい。
明後日まで矢島さんが休みなので、引き続き観光案内をしてくれるそう。
そうだ、お金…。
「日本円はあまり無いのでこれを渡しておこうと思って」
インベントリから1キログラムで成型した金の延べ棒を取り出して二本ずつ2人に渡す。
「ちょっ…えっ?これ金??」
「初めて触った…」
「一本はお礼で、もう一本は経費として取っておいてください」
「いやいやいや、貰いすぎでしょ…」
「これ、いくらになるんだろう…?」
いくらかな?相場は知らないけどこれで足りる筈。
「そんな大きな物じゃ換金しづらいでしょ。100グラム毎に分けた方がいいわよ」
「そうなんですか。じゃあ…」
2人から延べ棒を回収してインベントリで均等に100グラムのインゴットにして返す。
「ま、まって。こんなに貰えないわよ」
「貰っておいて下さい。これからも何かとお世話になるかもしれませんし」
「そう…」「じゃあ…」
戸惑いながら鞄に入れる美咲お姉さんと矢島さん。
明日は動植物園に行くらしい。楽しんで貰えるといいな。
「美奈ちゃん達は明日は誰の実家に行くの?」
「ユキさんの所です」
ユキさんの実家は日本海に面した日本三名園がある近くらしい。
遠くから見るだけでいいと言っていたけど、会って少しでも話して来た方が良いと思う。私達は付き添いかな。
ファミレスではみんなに感想を聞いたり、逆にこの世界の事をたくさん訊かれたりでかなり長時間滞在しちゃった。
歴史的な事とか、科学や文化についても沢山訊かれたけど、私の分からない事はユキさんやリオさん、矢島さんが答えてくれていた。
物知りさんが沢山いてくれると助かるね。
大人数でワイワイしていると他のお客さんに迷惑だと思ったけど、写真を撮らせてほしいと言われたり話しかけられたりで意外とフレンドリーな感じで良かったと思う。
矢島さんと美咲お姉さんを家に送って拠点に戻る。
マサキさん一家は暫く実家の方に滞在するらしい。あっちも楽しくやっているそうなので邪魔しない様に連絡は控えよう。
私達も流石にここに長居するのはあまり良くないので、矢島さんが温泉旅館を予約してくれたそう。
お隣の県の山あいの有名な温泉街だ。明日はそちらに移動する。
ちょっと楽しみ。
ーーーー
翌朝、いつも通り矢島さんを迎えに行って、みんなを動植物園近くまで送り届けてから私達はユキさんの実家に出発!
まあ転移だからすぐに着くんだけどね。
朝のひんやりした空気が気持ち良い。
ユキさんの記憶と同期して《鑑定》を使ってご両親のいる所を探すと、お母さんは家にいて、お父さんは出かけていた。
多分仕事に行っているんだと思う。
そっか。平日だもんね。
「あの…お父さんも出かけてますし、まだ心の準備が出来ていないので、少し観光でもしませんか?」
ユキさんは消え入りそうな声で言う。
「うん。ユキさんが決心出来たら会いに行こう」
という訳で庭園を見学したり、お城の跡地をみたりしてみた。
前世でも来たことのない所だから新鮮で、久しぶりの日本を満喫する事ができた。
お昼ご飯も近くのレストランで済ませて、のんびりと色々な話をして過ごす。
散歩をして近くの美術館を見て回って、カフェでまたおしゃべり。
話題は主にユキさんの前世の話。
病院生活だったユキさんは実家で暮らしていた記憶がほとんど無いらしい。
でも、病院にはお父さんとお母さんが必ず来てくれて、色々な話をしてくれたり、本を持って来てくれて毎日が楽しかったそう。
「私が病気で沢山迷惑を掛けてしまって、お父さんとお母さんは辛かったんじゃないかと思うんです。あの頃の事を思い出したくないって思ってるんじゃないかなって…」
「それは違うよ。ユキと過ごした時間は短かったかも知れないけど、お父さんとお母さんは今でも大切な思い出にしてくれている筈だよ。だって実の娘なんだから」
ソラちゃんがユキさんに笑顔で言う。
ユキさんは瞳を潤ませながら頷いていた。
「大丈夫よ。勇気を出して会いに行きましょう」
「はい…!」
リオさんの後押しに涙を拭いながら頷くユキさん。
時間はもう夕方に差し掛かっていた。
ユキさんのご両親の位置を確認すると、近所の公園を散歩している様だ。
ここからなら歩いて行ける。
ユキさんも決心できたみたいなのでそこに向かう事にした。
公園を歩く2人をかなり離れた所から確認する事ができた。
ベビーカーを押している。
「…やっぱりやめておこうかと。今の2人には新しい家族がいるみたいですし…」
「ダメよ。行きなさい。遠慮なんかしないで、さあ!」
リオさんがユキさんの背中を押す。
「大丈夫?一緒に行こうか?」
「はい…お願いします」
私が聞くとユキさんは小さな声で返事をした。
さて、美咲お姉さん達を迎えに行かないと。今どこにいるのかな?
《鑑定》で位置を確認して《ハイパークレアボイアンス》で様子を見ると、お姉さんの家の近くのファミレスでご飯を食べていた。
そういえばお金の事は全部お姉さんにお願いしたままだった。
お礼に渡すものを用意しておいたのだけど忘れていたよ。
「夕飯はまだだし、みんなの所に行ってご飯食べようか」
「賛成!」「そうね」「いいですね」
「ファミレスって何だ?」
「レストランだよ。ご飯食べるトコ」
という訳で《テレポート》で人目のない所に移動。
お店に入るとみんなのいる所が一目で分かった。
店員さんに「あそこの人達の連れです」と説明して近くの席に案内してもらう。
「美奈ちゃんおかえり」
美咲お姉さんが気付いて声を掛けてくれる。
「ただいま。お姉さん、矢島さん1日ありがとうございました。皆さん観光はどうでした?」
「こっちは凄いんだな。アスティアとはまるで違う。ミナ達が色々な事に詳しい理由が分かったよ」
美咲お姉さんにお礼を言いつつみんなに感想を聞くと、ルーティアさんが興奮気味に話をしてくれた。
今日は大通りのテレビ塔の展望台に行って美術館と科学館に行ったそう。
科学館ってあまり大人が行くところじゃない気がするけど、みんなスゴく楽しんで来たらしい。
まあルーティアさんは子供に見えるからはしゃいでる姿は微笑ましいと思う。
「何か失礼な事を考えていないかい?」
「い、いえいえ!楽しんでいただけて良かったです」
…顔に出てたみたい。
明後日まで矢島さんが休みなので、引き続き観光案内をしてくれるそう。
そうだ、お金…。
「日本円はあまり無いのでこれを渡しておこうと思って」
インベントリから1キログラムで成型した金の延べ棒を取り出して二本ずつ2人に渡す。
「ちょっ…えっ?これ金??」
「初めて触った…」
「一本はお礼で、もう一本は経費として取っておいてください」
「いやいやいや、貰いすぎでしょ…」
「これ、いくらになるんだろう…?」
いくらかな?相場は知らないけどこれで足りる筈。
「そんな大きな物じゃ換金しづらいでしょ。100グラム毎に分けた方がいいわよ」
「そうなんですか。じゃあ…」
2人から延べ棒を回収してインベントリで均等に100グラムのインゴットにして返す。
「ま、まって。こんなに貰えないわよ」
「貰っておいて下さい。これからも何かとお世話になるかもしれませんし」
「そう…」「じゃあ…」
戸惑いながら鞄に入れる美咲お姉さんと矢島さん。
明日は動植物園に行くらしい。楽しんで貰えるといいな。
「美奈ちゃん達は明日は誰の実家に行くの?」
「ユキさんの所です」
ユキさんの実家は日本海に面した日本三名園がある近くらしい。
遠くから見るだけでいいと言っていたけど、会って少しでも話して来た方が良いと思う。私達は付き添いかな。
ファミレスではみんなに感想を聞いたり、逆にこの世界の事をたくさん訊かれたりでかなり長時間滞在しちゃった。
歴史的な事とか、科学や文化についても沢山訊かれたけど、私の分からない事はユキさんやリオさん、矢島さんが答えてくれていた。
物知りさんが沢山いてくれると助かるね。
大人数でワイワイしていると他のお客さんに迷惑だと思ったけど、写真を撮らせてほしいと言われたり話しかけられたりで意外とフレンドリーな感じで良かったと思う。
矢島さんと美咲お姉さんを家に送って拠点に戻る。
マサキさん一家は暫く実家の方に滞在するらしい。あっちも楽しくやっているそうなので邪魔しない様に連絡は控えよう。
私達も流石にここに長居するのはあまり良くないので、矢島さんが温泉旅館を予約してくれたそう。
お隣の県の山あいの有名な温泉街だ。明日はそちらに移動する。
ちょっと楽しみ。
ーーーー
翌朝、いつも通り矢島さんを迎えに行って、みんなを動植物園近くまで送り届けてから私達はユキさんの実家に出発!
まあ転移だからすぐに着くんだけどね。
朝のひんやりした空気が気持ち良い。
ユキさんの記憶と同期して《鑑定》を使ってご両親のいる所を探すと、お母さんは家にいて、お父さんは出かけていた。
多分仕事に行っているんだと思う。
そっか。平日だもんね。
「あの…お父さんも出かけてますし、まだ心の準備が出来ていないので、少し観光でもしませんか?」
ユキさんは消え入りそうな声で言う。
「うん。ユキさんが決心出来たら会いに行こう」
という訳で庭園を見学したり、お城の跡地をみたりしてみた。
前世でも来たことのない所だから新鮮で、久しぶりの日本を満喫する事ができた。
お昼ご飯も近くのレストランで済ませて、のんびりと色々な話をして過ごす。
散歩をして近くの美術館を見て回って、カフェでまたおしゃべり。
話題は主にユキさんの前世の話。
病院生活だったユキさんは実家で暮らしていた記憶がほとんど無いらしい。
でも、病院にはお父さんとお母さんが必ず来てくれて、色々な話をしてくれたり、本を持って来てくれて毎日が楽しかったそう。
「私が病気で沢山迷惑を掛けてしまって、お父さんとお母さんは辛かったんじゃないかと思うんです。あの頃の事を思い出したくないって思ってるんじゃないかなって…」
「それは違うよ。ユキと過ごした時間は短かったかも知れないけど、お父さんとお母さんは今でも大切な思い出にしてくれている筈だよ。だって実の娘なんだから」
ソラちゃんがユキさんに笑顔で言う。
ユキさんは瞳を潤ませながら頷いていた。
「大丈夫よ。勇気を出して会いに行きましょう」
「はい…!」
リオさんの後押しに涙を拭いながら頷くユキさん。
時間はもう夕方に差し掛かっていた。
ユキさんのご両親の位置を確認すると、近所の公園を散歩している様だ。
ここからなら歩いて行ける。
ユキさんも決心できたみたいなのでそこに向かう事にした。
公園を歩く2人をかなり離れた所から確認する事ができた。
ベビーカーを押している。
「…やっぱりやめておこうかと。今の2人には新しい家族がいるみたいですし…」
「ダメよ。行きなさい。遠慮なんかしないで、さあ!」
リオさんがユキさんの背中を押す。
「大丈夫?一緒に行こうか?」
「はい…お願いします」
私が聞くとユキさんは小さな声で返事をした。
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