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特別編2:神様はじめました

対策

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泉の水も大量にもらったし、そろそろアスティアに戻ろう。

「お婆ちゃん、また来てもいい?」
「もちろんよ。いつでもいらっしゃい。私達は寿命で死んだりしないから」

お婆ちゃんは精霊だから寿命は無いらしい。
まあ、私も神様だから寿命んだよね。

「美奈と仲良くしてくれてありがとう。これからもお願いします」

一人ずつ手を取って言っていた。

「美奈は大変でしょう?あなたも分かっていると思うけど、あの子は鈍感なだけだから、よろしくお願いね」
「え、あ…はい」

テュケ君にだけ何か言う事が違ったけど…テュケ君も困惑してるし。リオさんとソラちゃんは横目で私を見て笑ってるし。

「それじゃ、また来るね!今度はもっと色んな人を連れてくるよ」
「ええ、楽しみにしているわ。何かあったら頼ってくれていいわよ。いつでも力になるから」

アウラさんに空間を開いてもらってそこを通って神界に帰る。

「いいお婆ちゃんね。私もまた会いたいわ」
「うん。お婆ちゃん好き」
「そうですね。私もです」

初めはメトさんトコヤミさんと闘っちゃってどうなる事かと思ったけど、無事に水も貰えたしお婆ちゃんと再会できたから良かったよ。

[インベントリは分離した魂の者と共有しているので、神側のミナが水を使います]

そうなんだね。
って、早速使うんだ…。神様側は他所の世界から色々攻めて来てるみたいだから忙しいんだよね。

私達はティナちゃんの所に行って報告とお礼をして一度屋敷に戻る事にした。

ご飯を食べて、これから何をするかを相談だ。

──〔god side〕──

私は防衛の仕事に戻って、尚も迫り来る侵入者を撃滅していた。

「確かに数は減ったけど、まだまだ結構な勢いね」
「リソース稼ぎにはなるけど、こんなに来るのはちょっと面倒い」
「そうですね。キリがありません」

リオさんソラちゃんユキさんと互いをフォローし合いながら迎撃する。

地上からの手伝いも合流して、今は安定して戦線を維持できていた。

各世界に連絡を取ってから白クジラの様な動物型は殆ど来なくなっていた。
今襲来しているのは金属質の丸い球と人の形をした影が多い。
時折見るカラフルな人型はオネエ神…マリージョア様の世界の者じゃないかな?

(ミナお姉さん、もうすぐフリースフィアの神様が来るよ)

ティナちゃんが念話で教えてくれる。

(ありがとう、規模は?)
(神様クラスが5体。その他さっきから来てるのと同じっぽいのが沢山だよ)

本当にマリージョア様自身が来る気なんだ…。あの神様を倒しちゃったらフリースフィアはどうなっちゃうんだろう?

[神が残っていれば引き継ぐでしょう。いなければ滅びます]

それって関係のないフリースフィアに住んでいる人達まで巻き込んじゃうって事だよね。

どうしよう…。

(お姉さん、フリースフィアの神様達はドゥームを着装して来るから、インベントリの水を使って)
(水…?)

人間側の私がイルメイアに行って、例の泉の水を手に入れてくれた。

…泉の精ってお婆ちゃんなの!?

人間側の私の記憶をフィードバックして驚いてしまった。

元気にやっていて良かったよ。これでいつでも会えるしね。

その為には侵略者に負けるわけにはいかない。

防衛についてくれている全員に連絡して、泉の水を凍らせた物を渡しておく。
それから武器防具にも付与しておいた。

「これはティナの指示か?マジで助かるな!」
「そうだな。こちらが着装して戦っても五分が精々だろうからな」

マサキさんとルーティアさんが言っていた。
今は全てのエリアを竜達に任せて全員に集まってもらっている。

防衛に出てもらっている全員の武具は新調おいた。
前までの武具にはドゥームで強化されているものがあるから、お婆ちゃんの水を付与すると壊れてしまう。

なので重オリハルコンをベースにした新しい物になっている。

本当は神界の物質を使おうと思ったけど、性能の解析が出来ていないのでそれはまた今度になった。

魔法使いのみんなには氷を大量に渡しておいて、それを使って魔法を発動してもらう。広範囲に撃ち出して一度に大量のドゥーム装着者を無力化するのが狙いだ。

あちらの神様がどれほど強いか分からないけど、撃破する前に説得できるものならやっておきたい。マリージョア様を倒してしまって世界ごと消滅なんてのは絶対ダメだ。

「ミナ得意のオハナシだね」
「そう、お話するんだよ」

ソラちゃんの『お話』のイントネーションが何か変だけど、まずは相手の勢いを削いでから話し合いに持ち込もう。

(お姉さん、来るよ!)

ティナちゃんの声がしたすぐ後に、大きな光の球がこちらに向かって飛んでくるのが見えた。

それは私達の手前で弾けて、中から沢山の人型が飛び出してくる。
先頭を飛んでくるのは4体。見た目はカラフルな全身タイツに身を包んだ人で、身長は普通の人間の倍くらい。
頭はそれぞれ形…ヘアスタイル?が違う。

「ヒャッハー!この世界はいただくわー!」
「全てを喰らって新しい世界に書き換えるのよー!」

…言葉遣いが何か変。

後続にはカラフルな人型が大量に続いていた。

「世紀末的なノリなのかオネエなのか…」
「何だか気が抜けるわね」

ソラちゃんとリオさんが微妙な表情をして呟いた。

[ドゥームを装着しています。攻撃を]

まさかあの全身タイツが?
あれ無力化したら脱げたりしないよね?

「と、とにかくやるぞ!『氷の大精霊よ、我が敵を氷で討て!《アイスレヴィッジ》!』」
「そうだったわ。《マナイグジスベイト》、《ヘイルフリージング》!」

ルーティアさんとリオさんが広範囲に氷魔法を撃ち出して突撃してくるオネエさん達を攻撃する。

「なによこれ!?私達の装甲が剥がれて…!」
「なんて事をするのよー!」

恥ずかしそうにクネクネ動いているオネエさん達。

…やっぱり全身タイツがドゥームだったんだ。
その下は金属質のマネキンみたいなボディだったので、目のやり場に困る事は無かった。

「ミナ~…キモチワルイよう」

涙目になって抱きついてくるソラちゃん。

うん、分かるよ。うん…。

「あらやだ。対策済みなのね」

ネットリとした男性ボイスが聞こえてくる。大群が2つに分かれて中央を悠々と飛んでくるのはマリージョア様だ。

「折角用意してもらったのに台無しになっちゃったじゃないのよ~」

やっぱり誰かがフリースフィアの神様達を扇動しているんだ。
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