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特別編1:ドゥーム・セントラルコア決戦

突入

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[《アルスアドラステア》をここにいる全員にかけましょう]

出発前にアウラさんから提案される。

そういえば使ってなかったね。アウラさんが言うならここにいる全員にはかけられると言う事だろう。

早速かけてみると《イクシードラスール》の方は消えて《アルスアドラステア》に置き換わった。

「何だこれは…」
「スゲェ…力が漲るぜ」

更に能力が向上して初めて掛けられた人達は驚いていた。

「これならやれそうだな。ミナの力、貸してもらうぞ」
「よし!早く行こう!」

ルーティアさんは安堵と勝利の確信を、マサキさんは早く試したい様子だ。

みんなでミサイル…じゃなかった揚陸船に乗り込む。

「アレだな、飛行機の中みたいだ」
「ひこうきとは何だ?」

マサキさんの言葉にハナちゃんが聞き返している。

「地球にある空を飛ぶ乗り物よ。鳥よりもずっと早く飛ぶ事ができるわ」
「そうなのか…地球人はすごいのだな」

ネネさんに教えてもらって感心しているハナちゃん。

「機会があれば見せてやれるかも知れないな。ミナ、地球には行き来できないのか?」
「多分出来ると思います」
「じゃあ、これが終わって落ち着いたら地球に連れて行ってくれよ」
「そうですね。みんなで行きましょう」

美咲お姉さん達にもお礼を言いたいし、お父さんとお母さんがどうしているかも気になる。

「この戦いが終わったら、地球に行ってアニメを観るんだ」
「死亡フラグっぽく言わないの。でもアニメ観に地球に行くなんてソラらしいわ」

リオさんがソラちゃんにツッコミを入れている。

「私も、両親がどうしているかを知りたいです。直接会わなくてもいいから、遠くから一目姿が見られれば…」

ユキさんも地球に行きたいみたいだ。
希望者を募って里帰りしよう。

その為にも全員無事で帰るんだ。

窓は無いから外の様子は見えないけど、動き出したのが分かる。

「防御魔法を多重展開して突撃をかける。衝撃は無い筈だが、念の為気を付けておいてくれ」

声が聞こえてきて全員が身構える。

小さな振動は感じるけど加速で座席に押し付けられる様な事もなく数分が経過した。

「セントラルコアの防衛線を突破した。追撃はランディアの艦隊が引き受けてくれた。もうすぐ表面部に接触する」

そういえばどういう風に着陸するんだろう?勢いよく接地したらひっくり返ったりしないのかな?

少し大きめの振動がして「到着した」と告げられる。

扉が開いたので、外に飛び出すと、白い無機質な大地が広がっていた。

「ここがセントラルコアか…」

周囲を見渡しながらルーティアさんが呟く。

本当に何もない白い大地が広がっているだけだ。何か生えている訳でもなく、起伏がある訳でもない。ただの平面。

「それで、どうやって内部に入るんだ?」

ダキアさんが揚陸船のドゥームに聞く。

振り返って驚いた。
揚陸船の外部はボロボロになっていた。
中はあんなに普通だったのに…。

「このあと人型に変形してついて行くつもりだったがダメージが大き過ぎて無理の様だ」

申し訳なさそうに言う揚陸船。

「送り届けてくれてありがとうございました。あとは私達だけで大丈夫です」
「内部に入る為の通用孔この先に空いている。そこを目指せ。防衛部隊がすぐにやってくる。気を付けて向かうんだ」
「はい!」

揚陸船はそのまま何も言わなくなった。

「よし、全員出発だ!」

ルーティアさんの号令で全員動き始める。空を飛んで移動だ。

「防衛部隊って普通初めから展開してるものじゃない?」

飛びながらリオさんが聞いてくる。

「そうですよね。何でだろう?」
「私達を誘い込む罠とか?」

ソラちゃんの言った事が正しかったら私達は罠の中に飛び込んだ事になっちゃうね。

「いや、それは無いだろう。ミナの様な厄介な相手を急所に近付ける様な真似はしない筈だ。私なら近付けずに艦隊戦に持ち込むぞ」

ルーティアさんが自分の考えを口にする。

私ってそんなに厄介ですか…?

「確かにな。味方がいるのにリスクを負う必要はない」

クロウさんは冷静に言っている。

それならなんで防衛戦力の展開が遅いんだろう?
何にせよ今のうちに内部に入ってしまった方がいい。

「何だ…敵だらけだと期待してたのになぁ」

マサキさんはマイペースだね。

少し飛ぶと巨大な縦穴を見つけた。

「よし、突入するぞ!ミナ達は私達の後ろをついて来い!」
「はい!」

ルーティアさん達が先に飛び込んでいく。

縦穴をまっすぐ降りて行く。
壁面も白く、ぼんやりと発光しているため周りはよく見える。

暫く進むと大きな空間に出た。

一面真っ白な広大な空間だ。どこを見ても真っ白で遠近感が無くなりそう。

「あそこに何かいるよー」

アリソンさんが差した方を見ると、光沢のある黒色の人型が立っていた。サイズは人間くらいでアンヘルの様だ。

「ようこそアスティア主神。我々は全てのドゥームの祖。皆はセントラルコアと呼んでいる」

口や目は無い。しかし私達を知覚し声を発している。
名前を見たら【ドゥーム・セントラルコア=ルト】と表示された。

少し離れた所に着地して聞いてみる。

「あなたは何故変化を望まないのですか?」
「不要であるから…と言いたいところだが、君達のお陰で我々の新たな可能性を知る事ができた」

おや?セントラルコアは変化を肯定している?これなら戦わずして彼らの組成を変えられるんじゃないかな?

「それならすぐに戦闘を停止してください。私達はあなた方が他の生物を吸収しなくても生きていけるようになってもらいたいだけです」
「勘違いをしているな」
「え?」
「我らをより高い次元に引き上げてくれた事を感謝しているのだ。その礼として君達を我々の中で生かしてやろう」

…何を言ってるんだろう?

〈吸収しても個として保存すると言っています〉

なるほど。根本的に生き方を変える気はないと。

「全然話にならないわね。さっさと倒してしまいましょう」
「新たな次元へと進んだ我々を今までと同じに思うな」

ルトがそう言うと地面から次々と同じ黒い人型が出てくる。

「来るぞ!」
「全員各個で当たれ!充分に気を付けろよ!」

魔法使いは後退して、前衛は一斉にルト達と衝突する。

前衛と後衛の中間距離に待機して攻守のバランスを取る為に様子を見る。

ルトの言い方だと今までのドゥーム達とは違う筈だ。
注意して当たろう。
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