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アスティア
一般人
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私達は農村の近くまで飛んで行き、例の男性2人がいる所までは歩いて行く事にした。
警戒はするけど武器は収めておく。
森が近くにあり、広大な畑もある。畑の中では点々と人がいて、農作業をしている様だ。私は意を決して話し掛ける。
「あのー…」
「ん?どうしたんだいお嬢ちゃん」
「お、おい…見てみろよ背中…」
「翼が生えている…?」
2人は20歳位の青年で、オーバーオールに麦わら帽子、いかにも農夫といった服装だ。
彼らは私達を見て信じられないと言った様子だ。
言葉が通じると思ったら《アドラステア》の能力で翻訳してくれているらしい。
「あなた方は天使様ですか?」
「そんなものよ。こっちは女神だけどね」
「ちょ、ちょっとリオさん!」
突然のカミングアウトに驚いて声を上げてしまう。
「いいじゃない。敵でも味方でも今の情報はどうせ役に立たないわ」
「そうですけど…」
私達が侵入した事はレナトゥスが知らない訳が無いし、仮にこの人達が囚われている人達だったとしても今の話に意味は無い。
「この様な場所に何用で…?」
「ちょっと聞きたいんだけど、あなた達はレナトゥスに捕まっているの?」
「レナトゥス…?何だそりゃ?」
「聞いた事ないな…」
リオさんの質問に首を傾げる青年達。
そのやり取りを見ながら私は2人を鑑定していた。
名前はマティとソロン、種族は人間。年齢はマティさんが24でソロンさんは22。特に変わったところはないけど…。
[彼らには魂がありません]
えっ…?
アウラさん、それってどういう事?
[魂とは神界における存在力と同じものですが、それが彼らには欠片もありません]
死んでるって事?
[分かりません。想定できるのは存在力を全て奪われ何らかの方法で生かされているか、レナトゥス内で創造された擬似人間かです]
そんな事をする理由が分からない。
「ありがとう。どうやら私達の勘違いだったみたい。仕事中に悪かったわね」
「いいや、気にせんでいいですよ。女神様方はこれからどちらに?」
リオさんがそう言うとソロンさんが聞いてくる。
「まだ決めてないわ」
「それでしたら村にお越し下さい。女神様にお会い出来る機会なんてもうないかも知れない。村の者にも是非会っていただきたいのです」
そう言ってマティさんは深々と頭を下げる。
「まあ…いいんじゃない?」
「歓迎の宴を開きましょう。大した物はありませんが食事も」
「うん、行こう」
ソラちゃんはいつも通り食べ物に反応している。
まあ、リオさんもいいと言っているし招待されてみようか。
「分かりました。お世話になります」
「おお…良かった!おーい!みんなー!女神様と天使様達がお越しになられたぞー!」
作業をしている他の人達に大声で伝えるとみんなゾロゾロとこちらにやって来た。
「このお方が女神様か。有り難や有り難や…」
祈り出す年配の男性。
「随分と幼い女神様だな…お越し下さりありがとうございます」
そう言って来たのは14~5歳の少年。
幼いは余計だけど歓迎されてるみたいだね。
「さあ、村はこちらです」
マティさんが案内してくれて、私達はそれについていく。
一緒に歩いている人達にも魂は無いらしい。
普通の人にしか見えないのだけど。
「ここが俺達の村、ソルビアです」
村は小規模だった。木で造られた囲いがあるもののちょっと叩けば倒れてしまいそうな程弱そう。
家屋は見た感じ10軒。全て木造だ。
門を潜り一番奥の大きな家へと向かう。
どうやらマティの家の様だ。
「うちは代々村長を務めているんです」
「そうでしたか」
村の中には農作業に出ていなかった女性や子供がいて、早速集まって来た。
この人達にも魂は無いらしい。
どう見ても普通の人なんだけどね。
念の為凶星石の反応も調べたけど無し。
何の為に居るのだろう?
村の人達は私達を本当に歓迎してくれているみたいだ。このまま宴が始まる。
(彼らについて詳しく聞いてみましょう)
(そうですね)
リオさんと念話で打ち合わせておく。
私達は彼らの生い立ちについて詳しく聞いてみることにした。
主に年配者から様々な事を聞いたけど、村を興したのは50年位前の事らしい。当時、今の国は無くて他の国からの流れ者が集まって集落が出来たのだとか。
歴史もしっかりしているし本当にここに住んでいるみたいだけど…。
「最後に、最近おかしな事件は起きてない?」
「そうだなぁ…何人かが森で魔物に襲われた位ですかねぇ」
それくらいは普通に起こる事件だね。
(どう思います?)
(情報が足らないわ。他の街でも調べてみましょうか)
ここの人達はずっとここで暮らしている位しか情報を得られなかった。
「それよりも今年は小麦の収穫量が悪くてなぁ…女神様、何とかならねぇかなあ?」
「同じ物を同じ農地で作り続けると獲れが悪くなるわ。同じ栄養ばかり吸い上げて土地が痩せてしまうのよ。土地を交互に休ませてあげれば解決するわ」
リオさんが淡々と説明していく。
「そうですか!ありがとうございます!」
相談してきた農夫はリオさんの説明で納得したらしく大喜びだった。
(本当なんですか?)
(多分、ね。正直適当に言ったけど)
訝しんでリオさんに聞くユキさん。
リオさんはシレッと答えたけど。
(リオ、酷くない?)
(悪いけど土地を調べて検証したり、魔法小麦で高速収穫をやってみせてる暇はないのよ。こうしている間にもアスティアは攻撃されてるんだから)
ソラちゃんの抗議にリオさんは正論で答える。
確かに、私達はここでのんびりしている暇はない。
食べ物を振る舞われるけど、食べて大丈夫かな?鑑定でおかしな所が無いか調べてみよう…って!ソラちゃん、まだ食べないで!
「ん、美味しいよ?」
「あはは…良かったね」
どうやら食べ物にもおかしな所は無いみたい。何も無くて良かったよ…。
村では歓迎を受けてしまったけど、程々にしてもっと人の多い所に行かなくちゃ。
マティさん達にお礼を言って私達は村を後にする。
「何だか調子が狂うわね」
「ここって本当にレナトゥスの中なのでしょうか?」
ため息を吐きながら言うリオさんに疑問を口にするユキさん。
「何処かに飛ばされたって事?」
「そういえばあの黒い壁、ダンジョンのゲートみたいだったよな」
私が聞くとテュケ君が言う。そういえばそうだったかも…
「ダンジョンの中に街なんて…あるわね」
うん。私、結構作ったよ。
警戒はするけど武器は収めておく。
森が近くにあり、広大な畑もある。畑の中では点々と人がいて、農作業をしている様だ。私は意を決して話し掛ける。
「あのー…」
「ん?どうしたんだいお嬢ちゃん」
「お、おい…見てみろよ背中…」
「翼が生えている…?」
2人は20歳位の青年で、オーバーオールに麦わら帽子、いかにも農夫といった服装だ。
彼らは私達を見て信じられないと言った様子だ。
言葉が通じると思ったら《アドラステア》の能力で翻訳してくれているらしい。
「あなた方は天使様ですか?」
「そんなものよ。こっちは女神だけどね」
「ちょ、ちょっとリオさん!」
突然のカミングアウトに驚いて声を上げてしまう。
「いいじゃない。敵でも味方でも今の情報はどうせ役に立たないわ」
「そうですけど…」
私達が侵入した事はレナトゥスが知らない訳が無いし、仮にこの人達が囚われている人達だったとしても今の話に意味は無い。
「この様な場所に何用で…?」
「ちょっと聞きたいんだけど、あなた達はレナトゥスに捕まっているの?」
「レナトゥス…?何だそりゃ?」
「聞いた事ないな…」
リオさんの質問に首を傾げる青年達。
そのやり取りを見ながら私は2人を鑑定していた。
名前はマティとソロン、種族は人間。年齢はマティさんが24でソロンさんは22。特に変わったところはないけど…。
[彼らには魂がありません]
えっ…?
アウラさん、それってどういう事?
[魂とは神界における存在力と同じものですが、それが彼らには欠片もありません]
死んでるって事?
[分かりません。想定できるのは存在力を全て奪われ何らかの方法で生かされているか、レナトゥス内で創造された擬似人間かです]
そんな事をする理由が分からない。
「ありがとう。どうやら私達の勘違いだったみたい。仕事中に悪かったわね」
「いいや、気にせんでいいですよ。女神様方はこれからどちらに?」
リオさんがそう言うとソロンさんが聞いてくる。
「まだ決めてないわ」
「それでしたら村にお越し下さい。女神様にお会い出来る機会なんてもうないかも知れない。村の者にも是非会っていただきたいのです」
そう言ってマティさんは深々と頭を下げる。
「まあ…いいんじゃない?」
「歓迎の宴を開きましょう。大した物はありませんが食事も」
「うん、行こう」
ソラちゃんはいつも通り食べ物に反応している。
まあ、リオさんもいいと言っているし招待されてみようか。
「分かりました。お世話になります」
「おお…良かった!おーい!みんなー!女神様と天使様達がお越しになられたぞー!」
作業をしている他の人達に大声で伝えるとみんなゾロゾロとこちらにやって来た。
「このお方が女神様か。有り難や有り難や…」
祈り出す年配の男性。
「随分と幼い女神様だな…お越し下さりありがとうございます」
そう言って来たのは14~5歳の少年。
幼いは余計だけど歓迎されてるみたいだね。
「さあ、村はこちらです」
マティさんが案内してくれて、私達はそれについていく。
一緒に歩いている人達にも魂は無いらしい。
普通の人にしか見えないのだけど。
「ここが俺達の村、ソルビアです」
村は小規模だった。木で造られた囲いがあるもののちょっと叩けば倒れてしまいそうな程弱そう。
家屋は見た感じ10軒。全て木造だ。
門を潜り一番奥の大きな家へと向かう。
どうやらマティの家の様だ。
「うちは代々村長を務めているんです」
「そうでしたか」
村の中には農作業に出ていなかった女性や子供がいて、早速集まって来た。
この人達にも魂は無いらしい。
どう見ても普通の人なんだけどね。
念の為凶星石の反応も調べたけど無し。
何の為に居るのだろう?
村の人達は私達を本当に歓迎してくれているみたいだ。このまま宴が始まる。
(彼らについて詳しく聞いてみましょう)
(そうですね)
リオさんと念話で打ち合わせておく。
私達は彼らの生い立ちについて詳しく聞いてみることにした。
主に年配者から様々な事を聞いたけど、村を興したのは50年位前の事らしい。当時、今の国は無くて他の国からの流れ者が集まって集落が出来たのだとか。
歴史もしっかりしているし本当にここに住んでいるみたいだけど…。
「最後に、最近おかしな事件は起きてない?」
「そうだなぁ…何人かが森で魔物に襲われた位ですかねぇ」
それくらいは普通に起こる事件だね。
(どう思います?)
(情報が足らないわ。他の街でも調べてみましょうか)
ここの人達はずっとここで暮らしている位しか情報を得られなかった。
「それよりも今年は小麦の収穫量が悪くてなぁ…女神様、何とかならねぇかなあ?」
「同じ物を同じ農地で作り続けると獲れが悪くなるわ。同じ栄養ばかり吸い上げて土地が痩せてしまうのよ。土地を交互に休ませてあげれば解決するわ」
リオさんが淡々と説明していく。
「そうですか!ありがとうございます!」
相談してきた農夫はリオさんの説明で納得したらしく大喜びだった。
(本当なんですか?)
(多分、ね。正直適当に言ったけど)
訝しんでリオさんに聞くユキさん。
リオさんはシレッと答えたけど。
(リオ、酷くない?)
(悪いけど土地を調べて検証したり、魔法小麦で高速収穫をやってみせてる暇はないのよ。こうしている間にもアスティアは攻撃されてるんだから)
ソラちゃんの抗議にリオさんは正論で答える。
確かに、私達はここでのんびりしている暇はない。
食べ物を振る舞われるけど、食べて大丈夫かな?鑑定でおかしな所が無いか調べてみよう…って!ソラちゃん、まだ食べないで!
「ん、美味しいよ?」
「あはは…良かったね」
どうやら食べ物にもおかしな所は無いみたい。何も無くて良かったよ…。
村では歓迎を受けてしまったけど、程々にしてもっと人の多い所に行かなくちゃ。
マティさん達にお礼を言って私達は村を後にする。
「何だか調子が狂うわね」
「ここって本当にレナトゥスの中なのでしょうか?」
ため息を吐きながら言うリオさんに疑問を口にするユキさん。
「何処かに飛ばされたって事?」
「そういえばあの黒い壁、ダンジョンのゲートみたいだったよな」
私が聞くとテュケ君が言う。そういえばそうだったかも…
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