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地球

潜伏

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コンビニで人集りから逃れて移動する。

「取り敢えず服を変えましょう。ていうか武器防具を外しましょうか。それだけでも大分変わると思いますので」
「分かった。ミナの言う通りにしよう」

全員の装備をインベントリにしまっておく。

服装については何とかなるかな。
でも外国人の様な容姿をしているダキアさん達はどうしても目立ってしまう。
むしろ私達も日本人には見えないみたいだから気を付けないとね。

みんなを連れて美咲お姉さんの所には寝泊まりできないから他の方法も探さないとね。
森を通って元の駅に戻ろうかと思ったけど矢島さんを連れて移動していたら時間も掛かってしまうし、いっその事この辺りに住んでしまおうか。

「私に考えがある」

そう言ってきたのはソラちゃん。
うろ覚えらしいけど、案内してくれたのは団地の様な所。フェンスがしてあって人が入れない様になっていた。

「合流する前はここで寝泊まりしてたんだよ」
「取り壊し予定の所ですね。ここなら人は殆ど来ないみたいなので良さそうです」

ユキさんが周囲を見ながら言っている。
使われなくなって随分立つみたいで中はかなり汚れていたけど《洗浄クリーン》を使って綺麗にして、老朽化していた部分は《修復リペアー》で直しておいた。

「こっちの人達は随分と狭い所に住んでいるのだな」
「私達の住んでいた日本という国は土地が少ないからこんな感じの集合住宅が多いんです」

ルーティアさんは珍しそうに色々な所を見ながら言う。

「3人ともこう言う所に住んでいたのか?」

ダキアさんが聞いてくる。
アリソンさんは畳の感触が面白いらしく、座り込んでサワサワと手で撫でていた。

「私は一軒家でしたよ。ユキさんとソラちゃんは?」
「私もです。家で暮らしていた記憶は殆どありませんけど」
「私は団地暮らしだった。外国の人が多かったよ」

そういえばこう言う話ってみんなとした事無かったね。

みんな出身地もバラバラだもんね。
因みにソラちゃんはこの辺りらしい。

「親戚の人とか居ないの?友達とか会いたい人は居ない?」
「んー、私が死んでもう5年も経ってるみたいだし今更いいかなぁ」

ソラちゃんはこういう所結構アッサリしているよね。
ユキさんはご両親に会ってみたいと言っていたけど、遠くから元気な姿が見られれば良いと言っていた。

「もう新しい生活を始めているのだから、今更私が現れたら今の生活を壊してしまうかも知れませんから」
「うん、そうだね。私もそう思うよ」

私もお父さんとお母さんに会いたいって思ったけど、私達はこっちの世界ではもう死んでるんだ。

元気ならそれでいいよね。

「ミナ、これからどうするんだ?」
「ここを拠点にして、帰る方法を探すんだよねー?」

クロウさんとアリソンさんが聞いてくる。

「そうですね、まずは全員の合流…は今すぐにでも出来ますね。《ハイパークレアボイアンス》と《テレポート》で直ぐなので」
「それなんだが、魔法はマナタブラウルがあれば使えるそうたが、一つでどれくらい使えるんだ?」

ルーティアさんに聞かれて私もハッとなる。マナタブラウルの補充は出来ないからこれが無くなれば魔法は使えなくなる。

「インベントリの中に大量に入っているので暫くは大丈夫だと思いますけど、あまり不用意に魔法を使わない方がいいですよね」
「一つでどれくらいもつのかを検証してみた方が良いだろうな」

この中で魔法を使えるのは私とルーティアさんだけだ。ルーティアさんが使うのは精霊魔法だけなのでマナタブラウルは使わなくて済む。

「そういえば精霊ってどうなんですか?こっちの世界の人は精霊に頼って魔法とか使えないんですけど」
「向こうの世界とあまり変わらないと思うぞ。ただ人間を随分と嫌っているな。大地や水を汚して、空気を淀ませているから当然かも知らないが」

仲良くなるのに時間が掛かったのはそのせいなんだね。
私もコミュニケーションをとっておいて、何時でも使える様になっておいた方がいいかな。

「白魔法はどうなんだ?こっちにも神はいるだろう?」
「居るとは思うんですけど、そもそも魔法を使えないので分かりませんね」

[神が協力的であれば行使は可能かも知れません。この地球という世界の神は地上に暮らす者に力を貸すつもりは無い様です]

そうなんだ…。

「天啓とか出来ないの?」
「どうだろう?地球の神様の所に行けるのかな?」

アスティアでは教会で祈って神界に行っていたからこっちではお寺や神社で祈れば行けるのかな?

[天啓はアスティアのシステムなのでこちらでは不可能でしょう]

じゃあ地球の神様に協力をお願いする事も出来ないんだね。

「帰る方法にあてはあるのか?」
「いえ、今の所ないです」

ダキアさんに答えながら考える。

ヴェルトラオム様ならもしかしたら何とか出来るかもしれない。
リヴェルティア様を説得する為にこっちに来ていた筈だから、どこかにいるかも知れない。
生きていればの話だけど。

あとはリヴェルティア様に帰してもらうという手も考えられる。
あの神様は私を殺そうとしているから協力してくれるとは到底思えない。

力尽くで何とかする事も出来そうにない。やっぱりヴェルトラオム様を探す方が帰れる可能性があるだろう。

「じゃあリヴェルティアを倒してヴェルトラオム様を探すのですね」
「そうだね。これを使えば倒せるって言ってたからね」

《シャイターン》の私がくれた長剣をインベントリから取り出して確認する。
鑑定ではディエスヘレスブリンガーと表示されている。

ギフトも戻ったし、この剣もあればリヴェルティア様を完全に殺す事は出来るだろう。

説得出来ないかとも思ったけど、みんなにあんな事までするんだ。もう交渉の余地はないだろう。次にあったら確実に倒さないと。

それからあの石、あれは何だったんだろう?

[あれはアスティアの物ではありません]

つまり、リヴェルティア様が言っていた地球でもアスティアでもない所の物かも知れない。

そういえばあの石、拾ってこなかったけど大丈夫だったかな…。

「あの石は何だか気持ち悪かったよ」
「どんな風に?」
「生き物っぽい、触ると脈打っている感じがして嫌な感じがした」

ソラちゃんは思い出して身震いしていた。
あれについて詳しく知っている人がいるかも知れないね。あとでリュウさんの所に戻って聞いてみようか。

「じゃあまず全員の合流が優先で、次が女神リヴェルティアの討伐。それから主神ヴェルトラオムの捜索だな」

ルーティアそんが取り纏めてくれて行動方針が確定した。
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