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地球
散り散りの仲間達6
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~side リオ~
「コメント送信完了…っと。ありがと、助かったわ」
「いやいや、これくらい気にしなくていいよ」
私は西に向かう大型トラックの助手席に座って、動画サイトにコメントを打ち込んでいた。
隣でハンドルを握っているのは同級生の一ノ瀬京子。一流大学を出て、一流企業に就職した筈の彼女は今、何故か長距離トラックの運転手になっていた。
ーーーー
私が転移させられたのは死ぬ間際まで住んでいたアパートのすぐそばだった。
周囲に敵がいないかの確認と、味方の捜索をしているうちに何処と無く見覚えのある女性とすれ違う。その手には花束。
気になって後をついていくと、私が刺されて死んだ現場の隅っこに花を置いて祈っていた。
これって私の為に祈ってくれてるんだよね?まさか知り合い?
じっとその様子を見ていて思い出した。
高校の時に部活が一緒だった一ノ瀬京子だ。私が受験に失敗してから会いにくくなって、こちらから連絡を取るのをやめてしまった友人だ。
「京子……」
つい名前を口にしてしまった。
声を聞いてこちらを見る京子。
「莉緒?」
「え…何で分かるの…?」
「あなた、やっぱり莉緒なのね!また逢えるなんて…」
そう言って抱きしめられる。
「親友だもの。姿が変わっても分かるわよ」
不思議なもので、彼女は私が異世界に転生した事をアッサリと信じてくれた。
「あなたに逢えたのだから、何でも信じるわ。ずっと後悔していたの…」
京子は私が会わなくなってからずっと心配していてくれてらしい。
順風満帆な彼女の隣にいて比較される事が嫌になって逃げ出した私を、今でも親友と呼んでくれ、彼女はずっと気に掛けていてくれたのだ。
「あなたの為に距離をおこうなんて自分に言い聞かせて、自分の事だけしか見なくなってたの。莉緒が殺されたって聞いて…私は、自然とあなたを避けていたんだって気が付いた。支えてあげられなくてゴメン…」
「そんな…私の方こそゴメン。私が京子を避けていたのはただの嫉妬だよ。悪いのは全部私だよ。謝らないで」
夜の住宅街で女二人で抱き合って、私達は完全に不審者だった。
それから京子の住んでいるマンションに行って、今まであったことを話して、どうしても行かなくちゃいけない所がある事を相談した。
「そう言う事なら力になれるわ。任せなさい!」
ーーーー
彼女は私が死んだ後、悩みに悩んで会社を辞めた。
その後、大型自動車の免許を取得して運輸会社に再就職したらしい。
あの大人しかった京子がこんなワイルドな仕事をしているなんて思わなかったと話すと、「違う自分になろうとしたんだよ」と笑いながら言っていた。
「でも、今の自分があるのもある意味莉緒のお陰だよ。そう思ったら莉緒に会いたくなって…」
「って事はあそこには偶然?」
「そうだよ。もう莉緒が死んで5年もなるけど、あそこに行ったのは事件直後キリだったんだよ」
…こんな偶然があるのだろうか?
こっちに飛ばされる直前までミナの《ソーティリア》のブーストが効いていたからその名残りで幸運を導き出したのかもしれない。
いや、もしかしたら誰かが力を貸してくれたのか?何にせよこの幸運を最大限に利用させてもらう。
トラックは順調に東に進み、夜には手前の県の湖の畔にあるサービスエリアにやって来ていた。
「ここで長めの休憩だよ。ご飯を食べよっか」
「何から何まで助けてもらって悪いわね」
「気にしないで。久し振りに逢えたんだもの。これくらいはさせてよ」
そう言って意気揚々とレストランへと向かう京子。
「楽しそうね?」
後ろから声をかけられてゾクリとする。
聞き覚えのある声、ジュンだった。
「久し振りに親友に逢えたからね」
「そう…それは良かったわ。最期に良い思い出が出来たわね」
「莉緒ー?どうしたの?」
私がついて来ない事に気付いて戻ってくる京子。
「ゴメン、先に入ってて」
「……うん」
異変に気付いた京子は素直に一人でレストランに入って行った。
「優しいのね。友達を巻き込まない様にするなんて」
「当たり前でしょ。それより、ここだと他の人に迷惑が掛かるから場所を変えましょう」
「いいわよ」
そう言って湖を一望できる公園の方へと歩いていくジュン。
私もあとについて行く。
「ジュンはこっちで魔法を使えるの?」
「ええ勿論」
私は地球で魔法が使えるかを一通り試していた。残念ながらこっちにはマナやマナに相当するものがない為、黒魔法は使えなかった。
ジュンはどうやって魔法を使うのだろうか?
「ここでいいかしら?」
幸い公園には人が居なかった。
ただ、魔法を使うのならここでは広さが足りないだろう。
「魔法無しじゃダメかしら?」
「何それ?2人でキャットファイトでもするの?」
「分かってるだろうから言うけど、私は技能も魔法も使えないのよ。魔法を使わなくてもあなたの方が有利でしょ?」
「騙されないわよ。あなた、切り札を持ってるでしょ?」
…バレてたか。
私にはマナタブラウルがある。これからマナを供給できる事は確認済みだ。
「どんな手品か知らないけど、魔法が使えるなら全力でやり合いましょう」
「…仕方ないわね[風の精霊達、私に力を…ただ一時、翼を貸して]!」
風が巻き起こり身体が宙に浮く。
「この世界の精霊と交信したのね。やるじゃない…《フライト》」
ジュンは普通に黒魔法を行使してきた。
マナが無いのにどうやって…?
私は湖の真ん中に向かって飛ぶ。
ジュンはその後を追って来た。
「《エクスカリバー》!」
私に目掛けて真空の刃が飛んでくる。急角度で旋回して何とか避ける事に成功した。
軽々と29位階魔法を行使してくるジュン。彼女もマナタブラウルを持っているのか?
「逃げるだけじゃ終わらないわよ!《バーストフレア》!」
次の魔法も29位階、超広範囲の爆発魔法だ。
「くっ…!《ディストーションバリア》!」
マナタブラウルからマナを供給して最上級の防御魔法で爆発を防いだ。
「黒魔法が使える…?それが本当の切り札ね?」
もう切り札を切らされてしまったか……
「コメント送信完了…っと。ありがと、助かったわ」
「いやいや、これくらい気にしなくていいよ」
私は西に向かう大型トラックの助手席に座って、動画サイトにコメントを打ち込んでいた。
隣でハンドルを握っているのは同級生の一ノ瀬京子。一流大学を出て、一流企業に就職した筈の彼女は今、何故か長距離トラックの運転手になっていた。
ーーーー
私が転移させられたのは死ぬ間際まで住んでいたアパートのすぐそばだった。
周囲に敵がいないかの確認と、味方の捜索をしているうちに何処と無く見覚えのある女性とすれ違う。その手には花束。
気になって後をついていくと、私が刺されて死んだ現場の隅っこに花を置いて祈っていた。
これって私の為に祈ってくれてるんだよね?まさか知り合い?
じっとその様子を見ていて思い出した。
高校の時に部活が一緒だった一ノ瀬京子だ。私が受験に失敗してから会いにくくなって、こちらから連絡を取るのをやめてしまった友人だ。
「京子……」
つい名前を口にしてしまった。
声を聞いてこちらを見る京子。
「莉緒?」
「え…何で分かるの…?」
「あなた、やっぱり莉緒なのね!また逢えるなんて…」
そう言って抱きしめられる。
「親友だもの。姿が変わっても分かるわよ」
不思議なもので、彼女は私が異世界に転生した事をアッサリと信じてくれた。
「あなたに逢えたのだから、何でも信じるわ。ずっと後悔していたの…」
京子は私が会わなくなってからずっと心配していてくれてらしい。
順風満帆な彼女の隣にいて比較される事が嫌になって逃げ出した私を、今でも親友と呼んでくれ、彼女はずっと気に掛けていてくれたのだ。
「あなたの為に距離をおこうなんて自分に言い聞かせて、自分の事だけしか見なくなってたの。莉緒が殺されたって聞いて…私は、自然とあなたを避けていたんだって気が付いた。支えてあげられなくてゴメン…」
「そんな…私の方こそゴメン。私が京子を避けていたのはただの嫉妬だよ。悪いのは全部私だよ。謝らないで」
夜の住宅街で女二人で抱き合って、私達は完全に不審者だった。
それから京子の住んでいるマンションに行って、今まであったことを話して、どうしても行かなくちゃいけない所がある事を相談した。
「そう言う事なら力になれるわ。任せなさい!」
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彼女は私が死んだ後、悩みに悩んで会社を辞めた。
その後、大型自動車の免許を取得して運輸会社に再就職したらしい。
あの大人しかった京子がこんなワイルドな仕事をしているなんて思わなかったと話すと、「違う自分になろうとしたんだよ」と笑いながら言っていた。
「でも、今の自分があるのもある意味莉緒のお陰だよ。そう思ったら莉緒に会いたくなって…」
「って事はあそこには偶然?」
「そうだよ。もう莉緒が死んで5年もなるけど、あそこに行ったのは事件直後キリだったんだよ」
…こんな偶然があるのだろうか?
こっちに飛ばされる直前までミナの《ソーティリア》のブーストが効いていたからその名残りで幸運を導き出したのかもしれない。
いや、もしかしたら誰かが力を貸してくれたのか?何にせよこの幸運を最大限に利用させてもらう。
トラックは順調に東に進み、夜には手前の県の湖の畔にあるサービスエリアにやって来ていた。
「ここで長めの休憩だよ。ご飯を食べよっか」
「何から何まで助けてもらって悪いわね」
「気にしないで。久し振りに逢えたんだもの。これくらいはさせてよ」
そう言って意気揚々とレストランへと向かう京子。
「楽しそうね?」
後ろから声をかけられてゾクリとする。
聞き覚えのある声、ジュンだった。
「久し振りに親友に逢えたからね」
「そう…それは良かったわ。最期に良い思い出が出来たわね」
「莉緒ー?どうしたの?」
私がついて来ない事に気付いて戻ってくる京子。
「ゴメン、先に入ってて」
「……うん」
異変に気付いた京子は素直に一人でレストランに入って行った。
「優しいのね。友達を巻き込まない様にするなんて」
「当たり前でしょ。それより、ここだと他の人に迷惑が掛かるから場所を変えましょう」
「いいわよ」
そう言って湖を一望できる公園の方へと歩いていくジュン。
私もあとについて行く。
「ジュンはこっちで魔法を使えるの?」
「ええ勿論」
私は地球で魔法が使えるかを一通り試していた。残念ながらこっちにはマナやマナに相当するものがない為、黒魔法は使えなかった。
ジュンはどうやって魔法を使うのだろうか?
「ここでいいかしら?」
幸い公園には人が居なかった。
ただ、魔法を使うのならここでは広さが足りないだろう。
「魔法無しじゃダメかしら?」
「何それ?2人でキャットファイトでもするの?」
「分かってるだろうから言うけど、私は技能も魔法も使えないのよ。魔法を使わなくてもあなたの方が有利でしょ?」
「騙されないわよ。あなた、切り札を持ってるでしょ?」
…バレてたか。
私にはマナタブラウルがある。これからマナを供給できる事は確認済みだ。
「どんな手品か知らないけど、魔法が使えるなら全力でやり合いましょう」
「…仕方ないわね[風の精霊達、私に力を…ただ一時、翼を貸して]!」
風が巻き起こり身体が宙に浮く。
「この世界の精霊と交信したのね。やるじゃない…《フライト》」
ジュンは普通に黒魔法を行使してきた。
マナが無いのにどうやって…?
私は湖の真ん中に向かって飛ぶ。
ジュンはその後を追って来た。
「《エクスカリバー》!」
私に目掛けて真空の刃が飛んでくる。急角度で旋回して何とか避ける事に成功した。
軽々と29位階魔法を行使してくるジュン。彼女もマナタブラウルを持っているのか?
「逃げるだけじゃ終わらないわよ!《バーストフレア》!」
次の魔法も29位階、超広範囲の爆発魔法だ。
「くっ…!《ディストーションバリア》!」
マナタブラウルからマナを供給して最上級の防御魔法で爆発を防いだ。
「黒魔法が使える…?それが本当の切り札ね?」
もう切り札を切らされてしまったか……
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