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地球

散り散りの仲間達4

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~side テュケ~

「ちくしょう…ちくしょう…!」

激しい怒りに、悔しさに涙が溢れる。
俺はまた、置いてい行かれてしまった。

ねーちゃんが消えてからアイツらは『ミナが死ねばお前など取るに足らない存在だ』と言って姿を消した。

『テュケ、冷静になりなさい。泣く事はいつだって出来ます』
『その通りだ。眷属たるお前が生きている以上ミナ様は無事な筈だ。今は我らが出来る事をするのだ』

同じく取り残されたウルとオルが俺を励ましてくれる。

「そう…だな。ゴメン、今すぐエリストに戻ろう」

ウルとオルが動物形態に戻ったのを確認して、俺は《テレポート》を使ってエリストに戻る。

屋敷の部屋に直接転移すると、まだみんな残っていた。俺を見て全員が動きを止めていた。どうやら緊急事態だという事を察してくれたようだ。

「ねーちゃん達が、みんな消された…」
「落ち着いて、まずは状況を説明して」

カオリが険しい表情で言ってくる。

状況を説明すると大騒ぎになるかと思ったけど、意外と全員冷静だった。

「消えた皆さんは何処かに転移させられたのだと推測します。それも《テレポート》で帰って来られない所ですね」
「同意見だ。あれだけのメンバーが容易くやられたりはしないだろうが、こちらから支援する必要があるはずだ」

レアとシンが意見を交わしている。

「でも、どうするんですかい?居場所も分からない、ミナちゃんでもどうしようもない所に連れていかれているんだとしたら俺達じゃどうする事も出来ないでしょう?」

ウェスターは随分と弱気だ。

「ティナさん、あなたはどう見ますか?」

レアがティナに聞く。全員が少女に注目していた。

「お姉ちゃん達が無事なのは確かだよ。帰ってくる未来はまだ見えないけど、これは私達の行動次第だと思うの」
「分かりました。まずはこちらも神に対抗する為の力を集めます」

ティナの言葉を聞いてレアが宣言する。

「具体的に策があるのかい?」

シゲルが聞く。

「はい。まだ可能性の段階ですが、ミナさんと同等の者の力を借りましょう」
「なるほど…彼女を連れてくるのか」

レアの言葉に納得するマサル。誰の事かと思ったら、クリエイトアバターリングで作成して、アスピドケロンと共に居るミナの事だった。

「その手があったか!直ぐに会いに行こう!」

ナオトが言うがそれをレアが制する。

「彼女の居場所は私達では分かりません」
「ふむ。ダンジョンマスター同士の通信にもあのアバターは反応しないぞ」

サチは直ぐに試してくれたらしく、結果を教えてくれた。

「私達も主従の関係から位置が探せないかやってみましたが特定出来ませんでした」

ウルがそう言いオルも頷いていた。

暫く考えてレアが話し始める。

「まずはミナさんのアバターを探します。オル様は眷属達を総動員してアスピドケロンを探してください」
「分かった」

「皆さんはお手数ですが各国の動静を見ていてください。もしミナさん達が居ない事を前提とした行動がある場合は教えてください。その国はリヴェルティアと接触した可能性があります」

転生者達が頷いている。

「もし良からぬ事を考えている国があったらどうするつもり?」

カオリがレアに聞く。

「ティナさんに牽制してもらいます。この半年間、様々な事で助言をしてきたそうですね。一度ならハッタリが通用する筈です」
「お姉ちゃん達は必ず帰って来るって予見を伝えればいいんだね。分かりました」

レアの答えにティナも続いて話している。頭の回転が早い。

「いざとなれば私の《教戒》でねじ伏せよう。だが、あれは使い過ぎると…」
「私達が不審に思われてしまう、ですね。シンさんの力は切り札にとっておきましょう」

これからの行動方針を具体的に、的確に決めていくレア。
ひと段落した時に気になった事を聞いてみた。

「レアさんはどうしてそんなに冷静なんだ?俺はねーちゃん達の事を考えると落ち着かないよ…」
「良策を練って、伝えていく者が取り乱していてはみんなに不安が広がってしまいますからね。…とは言っても私だって動揺しているんですよ」

そう言うレアは両手を握っているけど、その手は震えていた。

「それでも希望があるから。テュケさん、あなたが無事という事がみんなの支えになっているんです。無事に帰ってきてくださってありがとうございます」

優しく笑いかけてくれるレアは、俺の為に出まかせを言っている訳ではなさそうだった。

そうだ、みんな不安なんだ。でもそれで俯いていたら何も出来ない。

今度は俺がねーちゃん達を助けるんだ!
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