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竜人族の島

決戦の火蓋

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「ミナ、あの攻撃なんだけど、迎撃できる?」
「分かりました!」

あんな高いところから物を落としたら怪我では済まないよね。
《デスペラシオンラディウス》で全部破壊してしまおう。

かなりの数だけど全てロックオンする事ができた。
魔法を発動すると小さな無数の光条が次々と小さな金属の塊を撃ち抜いていく。

ついでにフェヴェスの戦士達の翼も撃ち抜いて墜としておく。

「飛んで火にいる夏の虫」
「大きな虫が落ちて来るわよ」

ソラちゃんとリオさんは落ちて来るフェヴェス氏の戦士に追い討ちを掛けるべく構えている。

「フェヴェスの総戦力ってどれくらいいるんだろう?」
「どうだろうね?いくら来ても撃ち落とすだけだけど」

テュケ君も武器を構えて空を睨みながら聞いてきたので答えながら空の様子を見る。

数人は完全に制御を失って落下速度を制御しきれない。
このままじゃ地面にぶつかっちゃう。

『風の精霊王ヴィエトさん、落ちて来る竜人族ドラゴニュートを助けてあげてください』
『容易い』

ヴィエトさんが即座に現れて勢いを殺せないフェヴェス達を次々と風で絡めとって捕まえていく。

何とか体勢を整えて着地してきたフェヴェスも制圧されて捕らえる事ができた。

「あなた達はハウト氏に言われて来たのですか?」
「貴様らニンゲンに答えるつもりはない!」

ヴィエトさんに自由を奪われたフェヴェス氏の戦士に聞いてみたけど教えてはくれなかった。

「生意気な蜥蜴はオシオキしよ?」

ソラちゃんは少し苛立ちながら私に言ってくる。
この町の外れに幽閉しておいても戦場になったら危ないかもしれないし、人間に対する考えを改めてもらえるかも試してみようか。ついでに今まで捕まえてきた竜人族ドラゴニュート達も連れて行っちゃおう。

鉄格子越しに何かされたら可哀想だしね。

オシオキ部屋に放り込んでおいた。

「そっちの方が可哀想だとは思わないの?」
「死んでも生き返るしいいかなと思って」

リオさんに聞かれたので思った事を素直に答える。

「ミナって時々スゴい残虐になるわよね」

それを聞いていたネネさんに言われた。

そんな事は無いと思いますけど。

それ以降は特に襲撃もなかったので打ち合わせ通り準備をする事に。
夜には私とウルちゃんとオル君、レアさんとメルドガルビルさんで鉱山に転移して中に潜んでいた鉱夫の皆さんと打ち合わせをする。

ここで働いていた竜人族ドラゴニュートさん達も様々な氏族が混ざっていて、武器も用意されていた。
一部の人はラストモンスターの被害で武器を失っていて、ツルハシを持っていたので武器を作って渡しておいた。

「皆、今日までよく耐えてくれた。明日がいよいよ我等の力を示す時だ。敵はハウトの軍勢、弱い訳はない。諸君の奮闘に期待する」

メルドガルビルさんの呼び掛けに全員が雄叫びを上げて答えていた。

鉱山の中だから凄い響くよ。ビックリして耳を塞いでしまう。

私とレアさんを讃える声もあちこちから上がる。

「ここの竜人族ドラゴニュートさん達は人間に対しての偏見はないのですか?」
「長年の教育の成果だ。人間は我らと共に生きていく事が出来る対等な種族だと教えてきた」

鉱山で働く竜人族ドラゴニュート達は町で働く竜人族ドラゴニュートよりも1段階上げて人間との付き合い方を教えてきたのだとか。

「あなたの強さは見せてもらった。共に戦える事を誇りに思う」
「あ、ありがとうございます」

近くにいたドラーク氏の竜人族ドラゴニュートにそんな事を言われて正直少し驚いた。

それからはレアさんが作戦と部隊編成を細かく指示していった。
私達への偏見も無いのでみんなすなおにきいてくれた。

「ミナさんには《ソーティリア》で全員を支援していただきたいです」

《フォルトゥナ》から変異した《ソーティリア》は幸運を私並みに付与するのではなく、均等に全てのステータスに割り振る様に変異していた。単純に考えても全てのステータスに1万以上を付与するのだから反則だろう。

「直接戦わなくていいのですか?」
「はい。それはエジダイハンの者の仕事です。私は作戦指揮を、ミナさんは全員の支援で役に立ちましょう」
「分かりました」

そして次の日。

予想通りハウト氏はやって来た。
鉱山にも侵入を試みていたけど、グラートさんにお願いして入り口をしておいた。
そこを暴いたら偽の坑道に入っていくだろう。その間に入り口を塞いで私達は出陣する。

「よし、予定通りかかったぞ。皆、出陣だ!」

本物の偽装をしていた坑道の入り口から雄叫びを上げながら飛び出していく。

近くに中隊規模の敵がいたのでそのまま押し潰していく。
こちらは二個中隊、80人だ。しかも《ソーティリア》で強化されているので戦闘力は段違いに高い。
あっという間に制圧すると偽装坑道の入り口を塞いで固めてしまう。

レアさんは周囲を確認して行動方針を即座に決めていた。

「一度部隊を2つに分けます。メルドガルビルさんの部隊はこの東ルートを使って移動を。敵はいない筈ですが、もしも接触しても戦わず合流ポイントへ向かってください。私の部隊は反対側から、3個小隊と接敵しますが、全て殲滅して合流ポイントに向かいます」
「了解した」

レアさんが事前に打ち合わせたルートやポイントで指示をするとメルドガルビルさんは何を聞くこともなく頷いて行動を開始する。全員何の疑いもなく動き始める。

私はレアさんと一緒に行動して敵部隊の撃破の支援をする。メルドガルビルさんにはウルちゃんとオル君が護衛について行った。

「さあ行きましょう」
「はい!」

私達は森の中を駆け抜ける。《ソーティリア》の支援で全員の動きが良くなっていて凄い行軍速度だ。

レアさんの読み通り、小隊に3度接触したけど全てをほぼ瞬殺して合流ポイントにたどり着いた。

「総員迎撃準備をお願いします。メルドガルビルさんの隊が1個中隊を連れて来ます」

隊列を整えて待っていると、メルドガルビルさんの部隊が敵部隊に追われてやって来た。

「予想より間を詰められていますね……総員突撃してください。分隊規模で敵を各個撃破です。私達が敵の勢いを止めればメルドガルビルさんの部隊が援護してくれます」

レアさんは次々と竜人族ドラゴニュート達に指示を出していく。動きが乱れている隊があれば檄を飛ばしてすぐに足並みを揃えさせていく。

これが戦術指揮、レアさんって凄い。
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