転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

文字の大きさ
316 / 828
竜人族の島

指名依頼

しおりを挟む
訓練も終わり夜になってしまったのでエリストに帰って夕食を取りその日は解散。
次の日は朝から皇帝陛下に会いに行く事にした。

マサルさんに取り次いで貰ってスムーズに謁見の準備が整った。

謁見するのは昨日の掃討戦に参加した冒険者全員。結構な人数だね。

「ミナよ、レクタールの捕縛、大儀であった。そしてアフターギフトの殲滅もお主がいなければ成す事が出来なかっただろう。重ねて礼を言う。」
「もったいなきお言葉、冒険者の仕事をしたまでです。」

こんな感じでいいのかな?
挨拶はそれくらいにして本題に入りたい。

「この恩には報いねばならん。何か欲するものはあるか?」
「それでしたら1つ、お願いしたい事がございます。」

しかしここで説明はしない。私はマサルさんを通して陛下にのみ希望を伝える事にした。

私の希望はレア皇女の護衛をさせて貰いたいという事。ただし他の部下には私達に指名依頼をしたと公表せずに、冒険者を護衛に付けるとだけ話しておいてもらおうというのだ。

これはリオさんの提案で、刺客を捕えて雇い主を聞き出し、レア皇女を暗殺しようとする一派を掃討しようという考えだ。
因みに刺客が1人も現れなかった場合は陛下を疑う事になるらしい。
その日はそれだけで帰る事に。

ーーーー

次の日、私の所にレア皇女から連絡があった。

『ミナさん、早速陛下にお話をしてくださったのですね。ミナさん達に指名依頼をする事に決まりました。ありがとうございます。』
「それは良かったです。」
『それで、秘密裏に指名依頼をするという事はつまり…』

レア皇女は察しが良い。私はリオさんが描いたシナリオを説明した。

『そこまで気を遣っていただいて、ありがとうございます。』
「出発はいつになりますか?」
『飛空艇の準備がありますので3日後になります。』

飛空艇で行くんだね。船よりはずっと早いし当然かな。

帝国を出発するまでに襲われたりしたら目も当てられないので、光竜王のアルフィミアさんにお願いして身代わりを用意してもらい、レア皇女にはエリストの私の家に来てもらう事にした。

しっかりおもてなししないとね。

今回レア皇女に化けてくれる竜はアルメイアさんという方で、竜の中でも珍しく家事全般が得意らしい。長めの金髪の美人さんだ。

「まさか趣味でやっていた人間の家事がお役に立つ日が来るとは夢にも思いませんでした。」

趣味だったんだ…。

「よろしくお願いします。暗殺者に気をつけてくださいね。」
「畏まりました。人間の暗殺者など敵ではありません。生け捕りにしてミナ様に献上致しましょう。」

献上されても困るんだけど。

「何かあれば私がミナ様に報告する。」
「はい。お願いしますね。」

アルフィミアさんも監視していてくれるそうだから、魔王か神様でも来ない限り大丈夫だろう。

どうせだからレア皇女にはエリストを見て回ってもらおう。
いつもの4人と2匹にテュケ君、マサキさん一家も一緒だ。

商店を巡ってみたり、露店でフォレストボアの串焼きを食べたりして楽しんだ。

あとは久し振りに穴熊亭に行ってご飯を食べた。

「ミナ!元気だったか?」
「はい!ご無沙汰してました。ちょっと人数が多いんですけど大丈夫ですか?」
「勿論だよ!」

おじさんと奥さんが大歓迎で出迎えてくれた。

「おー!お久しぶりっす!」
「お元気でしたか?」

ウエイトレスをしているティターニアの姉妹、ラナさんとマナさんも出てきてくれた。

「はい!お二人も元気そうで何よりです。」

レア皇女…というのは良くないね。
レアさんを紹介して、シチューをいただく。
やっぱりここのシチューが一番だよ。

マサキさん達は私が半年間眠っていた間に何度か来ていたらしい。
みんなここのご飯が大好きな様子で嬉しくなった。

「ミナさん、1つ相談したい事があるのですが…」

そう言ってきたのはお姉さん、ラナさん。

「何かあったんですか?」
「私達ではないんですけど…」

そう前置いて話してくれたのは以前に姉妹と同じタイミングで助けたティターニアの女の子の事らしい。

「あの子…ラミが今どこで働いているか知っていますか?」
「いいえ。」
「病院なんです。それも回復の見込みのない傷病者の。」

それは…スゴい事だよ。普通できる事じゃない。

「ミナさんに話すのは違うかもしれないですけど…その患者さんはあの森で出会った兵士なんです。」

あの森で会った兵士…?
それってつまりラミさんを捕まえていた人達って事?
あの人達って確かウルちゃんの一件のあと、ここに私を捕まえに来て、おじさんやお客さんにボコボコにされた挙句、応援に来た他の部隊の馬に蹴られたり馬車に轢かれたりしたっていう…?

まさかその時の後遺症で病院にいるの?
しかもその人を看病しているのがラミさん…?

なんでまたそんな事に?

「私達も気になって聞いてみたんスけど、『何だか放っておけない』だそうで、なんで自分を襲った人の看護なんてしてるんだかサッパリ分からないんすよ。」

うーん…気になるなぁ。
様子を見に行ってみようかな。

「住み込みで働いているので、病院のほうに行けば会えますよ。」
「分かりました。行ってみます。」

美味しくご飯もいただいて穴熊亭を出ると、そのまま病院に行ってみる事に。途中、事情を知らないみんなには、そのティターニアの子と会った時の話と兵士の横暴を説明した。

「それは…助ける価値は無いと思うわ。」
「自業自得。」
「だな。」
「残念だが救いようの無い愚か者もこの世にはいる。」

みんな同じ意見だった。

その病院は町の外れにある廃屋を少し直しただけの建物で、昼間なのにヒッソリとしていた。

中に入るとベッドがいくつも置いてあって、どのベッドも男の人が寝ていた。

この人達、あの時の兵士達だ…。
後遺症で普通の生活が送れなくなってしまったのだろう。皆生きる気力もなく身動き一つしていない。
衛生環境もかなり悪く、空気も淀んでいた。

こんな所にラミさんが?

更に奥の部屋にラミさんはいた。1人のの男性の食事の世話をしていた。その人は殆ど身体を動かす事が出来ないみたいで、ラミさんがスプーンを口に近づけると何とかそれを飲んでいる状態だった。

「もう…いらない…」
「もっと食べないと元気が出ませんよ。」
「いいんだ…もう…これ以上生きていたくない。アンタに迷惑を掛けるのも嫌なんだ。」
「私は好きでやってるだけだから…」

うーん…どうしようかな。私は治してあげたいと思ってるんだけど…。
しおりを挟む
感想 1,520

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

公爵令嬢やめて15年、噂の森でスローライフしてたら最強になりました!〜レベルカンストなので冒険に出る準備、なんて思ったけどハプニングだらけ〜

咲月ねむと
ファンタジー
息苦しい貴族社会から逃げ出して15年。 元公爵令嬢の私、リーナは「魔物の森」の奥で、相棒のもふもふフェンリルと気ままなスローライフを満喫していた。 そんなある日、ひょんなことから自分のレベルがカンストしていることに気づいてしまう。 ​「せっかくだし、冒険に出てみようかしら?」 ​軽い気持ちで始めた“冒険の準備”は、しかし、初日からハプニングの連続! 金策のために採った薬草は、国宝級の秘薬で鑑定士が気絶。 街でチンピラに絡まれれば、無自覚な威圧で撃退し、 初仕事では天災級の魔法でギルドの備品を物理的に破壊! 気づけばいきなり最高ランクの「Sランク冒険者」に認定され、 ボロボロの城壁を「日曜大工のノリ」で修理したら、神々しすぎる城塞が爆誕してしまった。 ​本人はいたって平和に、堅実に、お金を稼ぎたいだけなのに、規格外の生活魔法は今日も今日とて大暴走! ついには帝国の精鋭部隊に追われる亡国の王子様まで保護してしまい、私の「冒険の準備」は、いつの間にか世界の運命を左右する壮大な旅へと変わってしまって……!? ​これは、最強の力を持ってしまったおっとり元令嬢が、その力に全く気づかないまま、周囲に勘違いと畏怖と伝説を振りまいていく、勘違いスローライフ・コメディ! 本人はいつでも、至って真面目にお掃除とお料理をしたいだけなんです。信じてください!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。