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平穏
就職
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お城から帰ってきて、レギウスさんの部屋に戻ってきた。
「すまなかった。」
「謝らないでください。普通は断らない事ですよね。でも私達は冒険者をやっていたいので。」
まあ、最近は冒険者の仕事やってないんだけどね。
「ランクアップに興味があるのならおぬしらは既にSランク相当の実力と実績を持っておる。推挙する事はできるぞ?」
「戦闘力には自信がありますけど、冒険者はそれだけではないですよね?もう少し地道にやってみようと思います。」
「そ、そうか…」
レギウスさんはひきつりながら短く返事をしてきた。
変な事言っちゃったかな?
「レギウスさんのお話を断っておいて申し訳ないのですけど、孤児院の子達の事宜しくお願いします。」
「それとこれとは別の話だ。良い条件を見つけておくので楽しみにしておいてくれ。」
今度何かお礼をしなくちゃね。
ーーーー
孤児院に行ってユイさんと合流すると、今度はリアードに移動した。
リアード国にはシンさんとシゲルさんが詰めている。確かマサキさん一家も防衛時に一緒に行動していた筈だ。
帝国との戦争は終了して、今は捕虜の引き渡しについて指揮をとっていると聞いている。
リオさんが聞いていたシンさん達の詰所は使われなくなった貴族の屋敷で、兵士の人が忙しなく出入りしていた。
入り口には衛兵の人がいたので名前を言って中に入れてもらう。
一階の大広間ではシンさんとシゲルさんが書類と格闘しているところだった。
「ミナさん達か。すまないけどもう少しで片付くから隣の部屋で待っていてもらえるかな?」
「お手伝いしますよ。」
「大丈夫。本当にもうすぐ終わるので。」
シンさんは私達をチラリと見てそう言うと、テキパキと書類を捌いていく。
隣の部屋に入ってソファーに座って待っていたらシゲルさんがティーセットを持ってやって来た。
「お待たせ。お茶も出さなくて申し訳ない。」
「いえいえ、お気遣いなく。」
シゲルさんはティーカップを並べてお茶を淹れ始める。
その姿は何となく様になっていた。
「何であんなに書類があるの?」
「まぁ…いろいろあってね。」
カップを受け取りながら聞くリオさん。
突然やってきて防衛についてアレコレと口出しをする2人と軍部は幾度となく衝突し、最後は王様が出てきて軍特別顧問というポストを与えて作戦指揮をとりやすくしてくれたらしい。
これには軍部も反対する事はできず大人しくなったかと思われたけど、今度は事務的な手続きまで2人に任せるようになっていた。
「ていうか、特別顧問って…リアード国の思うつぼじゃない。このままリアードに取り込まれる気?あなた達がそうしたいなら止めはしないけど。」
「いやいや…今の仕事が終わったら引きあげさせてもらうよ。書類と向き合っていると前世を思い出して嫌になる。」
シゲルさんは地球にいた時にこういう仕事をしていたんだそう。
「待たせたね。」
話をしていたらシンさんもやってきた。
「良いように利用されていたけど、かえってここにいて良かったかも知れない。」
シゲルさんからお茶を受け取りながら言うシンさん。
リアードは捕らえた帝国兵を自国で奴隷として使い潰す気だったらしい。
リオさんが捕虜返還の話を2人にしていてくれたのでそれを王様に伝えて方針を変えさせてくれたそう。
返還についてはネネさんが《リージョナルテレポート》で迅速にやってくれたので混乱なく終えられた。
「色々ありがとうございました。」
「いや、君達に味方をすると決めたのだからこれも私の務めだよ。」
「お2人はもう自由にしてもらっても良いと思うのですけど、どうですか?」
シンさんとシゲルさんは互いに顔を見合わせて固まっている。
「ミナはあなた達の仕事ぶりを評価して、待遇を良くしようとしているのよ。」
「ああ…そうか。」
「俺はてっきり用済みと言われたのかと…」
えぇ…私そんな事を言ったつもりは無いんだけど。
「それなら俺達を孤児院の教師として雇ってくれないか?いつまでも竜王達に任せておくのも良くないだろう。」
「そんな事でいいんですか?」
「どの道俺は地上にいるつもりはないんだ。もう命を狙われるような事は無いだろうけど帝国が怖い。どうだろうか?」
そういう事なら私に異論は無いけど。
みんなの方を見る。
「いいんじゃない?」
「私も良いと思います。」
「奴隷紋で縛ってあるからおかしな事はできない。」
ソラちゃんが言っている奴隷紋は本人が希望して付けたものだけど、外してあげてもいい様な気がするんだけど。
「いや、そのままでいい。その方が安心できる。」
そういうものなの…?
「私も教師として雇ってくれるとありがたい。」
「分かりました。宜しくお願いします。」
「あの…良かったら私も雇ってもらえませんか?あとマイケルさんとユウキちゃんにもこの話をしてあげられないでしょうか?」
さっきから静かに聞いていたユイさんが提案をしてきた。
「それはもちろん…私達はありがたいですけど、ユイさん達は自由にしてもらっていいんですよ?」
「ミナさんのやっている事を手伝いたいと思ったんです。お願いします。」
こうして孤児院の教師を3人確保する事ができた。
「マサキさん達はどうしてますか?」
「ここでの役目は無くなったから、一度自分達の家を見に行ってから竜人族の村に行くと言っていたよ。」
「竜人族の村、ですか。」
過去の世界で会った印象が強すぎて良い風に見られないんだよね…。
「帝国の強襲部隊がリアード北部に現れた時に彼らが撃退してくれたんだ。そのお礼に行っているんだと思う。」
「そうだったんですか。」
そういえばマサキさんが温厚な人達だと言っていたね。
「私達も行ってみようか?」
「竜人族見てみたい。」
リオさんとソラちゃんは竜人族を見たいらしい。
「じゃあ行ってみましょう。」
次の目的地は竜人族の村に決まった。
その前にシゲルさんとシンさんとユイさんを孤児院に連れて行って3人の教師の人達に新しく雇う事になったと説明する。
3人は人間の同僚が出来て喜んでくれていた。
やっぱり属性竜王ともなると気を遣ってしまってやりにくいらしい。
シンさんとシゲルさんは2日後に、ユイさんはもう少し私達と行動を共にしてから赴任する事に決まった。
「すまなかった。」
「謝らないでください。普通は断らない事ですよね。でも私達は冒険者をやっていたいので。」
まあ、最近は冒険者の仕事やってないんだけどね。
「ランクアップに興味があるのならおぬしらは既にSランク相当の実力と実績を持っておる。推挙する事はできるぞ?」
「戦闘力には自信がありますけど、冒険者はそれだけではないですよね?もう少し地道にやってみようと思います。」
「そ、そうか…」
レギウスさんはひきつりながら短く返事をしてきた。
変な事言っちゃったかな?
「レギウスさんのお話を断っておいて申し訳ないのですけど、孤児院の子達の事宜しくお願いします。」
「それとこれとは別の話だ。良い条件を見つけておくので楽しみにしておいてくれ。」
今度何かお礼をしなくちゃね。
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孤児院に行ってユイさんと合流すると、今度はリアードに移動した。
リアード国にはシンさんとシゲルさんが詰めている。確かマサキさん一家も防衛時に一緒に行動していた筈だ。
帝国との戦争は終了して、今は捕虜の引き渡しについて指揮をとっていると聞いている。
リオさんが聞いていたシンさん達の詰所は使われなくなった貴族の屋敷で、兵士の人が忙しなく出入りしていた。
入り口には衛兵の人がいたので名前を言って中に入れてもらう。
一階の大広間ではシンさんとシゲルさんが書類と格闘しているところだった。
「ミナさん達か。すまないけどもう少しで片付くから隣の部屋で待っていてもらえるかな?」
「お手伝いしますよ。」
「大丈夫。本当にもうすぐ終わるので。」
シンさんは私達をチラリと見てそう言うと、テキパキと書類を捌いていく。
隣の部屋に入ってソファーに座って待っていたらシゲルさんがティーセットを持ってやって来た。
「お待たせ。お茶も出さなくて申し訳ない。」
「いえいえ、お気遣いなく。」
シゲルさんはティーカップを並べてお茶を淹れ始める。
その姿は何となく様になっていた。
「何であんなに書類があるの?」
「まぁ…いろいろあってね。」
カップを受け取りながら聞くリオさん。
突然やってきて防衛についてアレコレと口出しをする2人と軍部は幾度となく衝突し、最後は王様が出てきて軍特別顧問というポストを与えて作戦指揮をとりやすくしてくれたらしい。
これには軍部も反対する事はできず大人しくなったかと思われたけど、今度は事務的な手続きまで2人に任せるようになっていた。
「ていうか、特別顧問って…リアード国の思うつぼじゃない。このままリアードに取り込まれる気?あなた達がそうしたいなら止めはしないけど。」
「いやいや…今の仕事が終わったら引きあげさせてもらうよ。書類と向き合っていると前世を思い出して嫌になる。」
シゲルさんは地球にいた時にこういう仕事をしていたんだそう。
「待たせたね。」
話をしていたらシンさんもやってきた。
「良いように利用されていたけど、かえってここにいて良かったかも知れない。」
シゲルさんからお茶を受け取りながら言うシンさん。
リアードは捕らえた帝国兵を自国で奴隷として使い潰す気だったらしい。
リオさんが捕虜返還の話を2人にしていてくれたのでそれを王様に伝えて方針を変えさせてくれたそう。
返還についてはネネさんが《リージョナルテレポート》で迅速にやってくれたので混乱なく終えられた。
「色々ありがとうございました。」
「いや、君達に味方をすると決めたのだからこれも私の務めだよ。」
「お2人はもう自由にしてもらっても良いと思うのですけど、どうですか?」
シンさんとシゲルさんは互いに顔を見合わせて固まっている。
「ミナはあなた達の仕事ぶりを評価して、待遇を良くしようとしているのよ。」
「ああ…そうか。」
「俺はてっきり用済みと言われたのかと…」
えぇ…私そんな事を言ったつもりは無いんだけど。
「それなら俺達を孤児院の教師として雇ってくれないか?いつまでも竜王達に任せておくのも良くないだろう。」
「そんな事でいいんですか?」
「どの道俺は地上にいるつもりはないんだ。もう命を狙われるような事は無いだろうけど帝国が怖い。どうだろうか?」
そういう事なら私に異論は無いけど。
みんなの方を見る。
「いいんじゃない?」
「私も良いと思います。」
「奴隷紋で縛ってあるからおかしな事はできない。」
ソラちゃんが言っている奴隷紋は本人が希望して付けたものだけど、外してあげてもいい様な気がするんだけど。
「いや、そのままでいい。その方が安心できる。」
そういうものなの…?
「私も教師として雇ってくれるとありがたい。」
「分かりました。宜しくお願いします。」
「あの…良かったら私も雇ってもらえませんか?あとマイケルさんとユウキちゃんにもこの話をしてあげられないでしょうか?」
さっきから静かに聞いていたユイさんが提案をしてきた。
「それはもちろん…私達はありがたいですけど、ユイさん達は自由にしてもらっていいんですよ?」
「ミナさんのやっている事を手伝いたいと思ったんです。お願いします。」
こうして孤児院の教師を3人確保する事ができた。
「マサキさん達はどうしてますか?」
「ここでの役目は無くなったから、一度自分達の家を見に行ってから竜人族の村に行くと言っていたよ。」
「竜人族の村、ですか。」
過去の世界で会った印象が強すぎて良い風に見られないんだよね…。
「帝国の強襲部隊がリアード北部に現れた時に彼らが撃退してくれたんだ。そのお礼に行っているんだと思う。」
「そうだったんですか。」
そういえばマサキさんが温厚な人達だと言っていたね。
「私達も行ってみようか?」
「竜人族見てみたい。」
リオさんとソラちゃんは竜人族を見たいらしい。
「じゃあ行ってみましょう。」
次の目的地は竜人族の村に決まった。
その前にシゲルさんとシンさんとユイさんを孤児院に連れて行って3人の教師の人達に新しく雇う事になったと説明する。
3人は人間の同僚が出来て喜んでくれていた。
やっぱり属性竜王ともなると気を遣ってしまってやりにくいらしい。
シンさんとシゲルさんは2日後に、ユイさんはもう少し私達と行動を共にしてから赴任する事に決まった。
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