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平穏

恋話

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神界から帰ってきた。
時間はもう夜。エリストに戻って夕飯を食べよう。

教会から帰ってくるとご飯の用意をしている最中だった。
神界に行く前に屋敷に置いてきたユイさんも手伝ってくれていた。

「何もしないで待っているのは落ち着かなくて…。」
「分かります。私もみんなが働いている時にじっとしていられなくて。」

ユイさんも私と同じなんだ。親近感が湧くなぁ。

「そうだ、今のうちにサチさんの所に行ってきます。ついでに2人をご飯に誘っても大丈夫でしょうか?」
「勿論です。2人分追加しておきます。」

近くに控えていたメイドさんがすぐに答えてくれた。
年配の方で名前はリラさん。みんなからはメイド長と呼ばれている。一見怖そうだけど見習いの子達にも丁寧に仕事を教えていて優しい人だ。

「それじゃ、ちょっと行ってきます。」
「私達は夕飯の支度を手伝ってるわね。」
「ご飯~。」

一旦3人と別れてウルちゃんとオル君と一緒にサチさんのダンジョンのマスタールームに転移した。

「やあミナ、もう来たのか?」
「はい。話の続きとご飯一緒にどうかなって。」
「もうそんな時間か…ここにいると時間の間隔が無いからな。喜んで招待されよう。」
「ありがとうございます。ここにいると何でも揃うし作れるけど、地上の食べ物も大好きです。」

マリさんは食べる事が好きで、よくエスペランサの屋台を巡っているのだとか。

…大丈夫かな?

「ダンジョンマスターって幾ら食べても太らないんですよ。大丈夫です。」

心配しているのはそこじゃないんだけどなぁ。

と、もう一つの用事を済ませてしまおう。

私が死んだ後、この世界の主神ヴェルトラオム様の後を継ぐという事を伝えた。

「それなら私達と同じでほぼ永遠に生きていられるって事ですね。」

嬉しそうに言うマリさん。2人はダンジョンマスターだから寿命とか無いんだね。

「それならば人としての時間を謳歌しなくちゃな。結婚したり子供を産んだり…ミナは好きな人とかいないのか?」

サチさんが唐突に聞いてくる。

「それって恋愛対象の話ですよね?特に居ないですよ。」

聞かれて思ったけどそういう好きはまだ無いんだよね。

「まあまだお子さまだし、ゆっくりやればいいさ。一生独身でも文句を言う者もいないだろうし。」
「それってサッちゃんのお母さんの事?会う度に『見合いしろ~』って言ってたよね。」
「ああ、まだ22だぞ?もっと遊んでいたいだろう普通は。」

マリさんとサチさんは懐かしそうに笑いながら話している。

どうせ私はお子さまですよー。

と、前世のお母さんの話なんだ。私のお母さんも年頃になったら言ったのかなぁ…。

「まああれだ。ミナの人生はミナのものだから、誰に何を言われても自分の好きな様に生きればいい。」
「そうですね。しっかり楽しみます。」

一通り話も終えたので2人と共にエリストの家に移動して、お夕飯をいただいた。

今日の献立はスパイスがふんだんに使われたタンドリーチキンとチーズたっぷりのミルクスープ。具はキノコとタマネギとクルトン。フルーツと野菜のサラダに挽き肉の入った春巻きみたいなものだった。

タンドリーチキンは結構辛かったけど、ミルクのスープが辛味を中和してくれて美味しく食べる事ができる。

「ミナは辛いのは苦手なのか?」

そう言うサチさんはお酒を嗜むそうで、メイドさんが用意してくれた赤ワインを飲みながらチキンを食べている。

「あまり得意じゃないけど、美味しくてクセになりそうです。」
「そっかー。まだまだお子さまかと思ったら育っているんだな。」

辛いのに弱いのはお子さまとは関係…あるのかな?

「なんの話?」
「ミナがまだまだお子さまって話だよ。」
「ん、ミナはお子さま。」

リオさんに答えるサチさん。
…ソラちゃんの方がお子さまだよ?

「まだ恋愛もした事がないって話をさっきしていたんだよ。」
「ミナは興味はないの?」
「んー考えた事なかったです。恋ってどうやってするんでしょう?ユキさんは好きな人いる?」

突然ユキさんに振ったからか、咳き込んでいる。

「ご、ごめん…大丈夫?」
「…はい。聞かれるとは思っていなかったのでむせてしまいました…。」

背中をさすって謝ると涙目になりながらも微笑んでくれた。

「私も…気になる男性はいないですね。どうしても警戒心の方が先に来てしまうので。」

ユキさんはこっちに来たばかりの時から男の人に襲われたりしたからね。王都のダンジョンでもよく絡まれたし。

「エリストの冒険者の人達や黒鉄の刃のメンバーに気になる人はいないの?ダキアさんとかいいじゃない。」

「そう言われても…」

ダキアさんにはアリソンさんがいるし、恋愛対象っていうかおじ…お兄さんって感じなんだよ。イクスさんもクロウさんもお兄さんなんだよなぁ。

「じゃあテュケ君はどうです?あの子はミナさんの眷属なんですよね?」

マリさんも興味津々で聞いてくる。

「テュケ君は私が人生を狂わせちゃった子だから責任は取らないとって思ってるけど、違うんですよね。保護者的な?」
「テュケ残念。」

ソラちゃんは3皿目のタンドリーチキンをお代わりしていた。辛いのは全然平気みたい。

「そういうソラちゃんはいないの?」
「美味しいご飯を沢山食べさせてくれる人なら?」

あはは…それは恋愛じゃないよね。

「リオさんはどうなんですか?」
「今のところダキアさんが一番ね。あの筋肉の締まり具合が最高だわ。」

リオさんはリオさんで何か違う気がするんだけど…。

「ダメですよ。ウェスターさんはどうですか?」
「そこで何でウェスターの名前が出てくるよ。」
「シブい人が好みだって言ってたじゃないですか。」
「あれはシブいというか、ただのお調子者のオッサンよ。」

どう違うんだろう…?結構いい人だと思うんだけど。

「サチさんとマリさんはどうですか?」
「どうって言われてもな…私達はダンジョンマスターだから人を恋愛対象で見ない方がいいと思うんだ。」

永遠に生きられると、いずれ別れなくちゃいけない日が来るって事かな。それとも利用されたり、大切な人を人質にとられて言う事を聞かされたりするとか…。

何か悪い事を聞いてしまった。

「ダンジョンマスター同士ならお付き合いできるんじゃないですか?紹介しますよ!私が紹介できるのはサナトスさんだけですけど。」
「お爺ちゃんじゃないか…。」
「しかも骨ですよ。」

ですよねー。
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