上 下
279 / 763
平穏

神様の動向

しおりを挟む
リリエンタの修復を終えた私達はリヴェルティア様の事を聞く為にヴェルトラオム様の所にやって来た。

流石に今回はユイさんは一緒に連れて来なかった。
ユイさんは転生させたくれた神様、エリトラシス様に会いたくないだろうし。

ヴェルトラオム様の他には私達4人を転生させてくれた神様と真実を司る神、アルメディオ様が一緒にいた。

「リヴェルティアについては現在も捜索中である。」

ヴェルトラオム様が穏やかな口調で告げてくる。

「主神たる父が見つけられないという事はアスティアにいないのかも知れないね。」

アルメディオ様はそう考えているみたい。

リヴェルティア様は最初期にヴェルトラオム様が創造した神様で、真実のアルメディオ様、運命のアーリアーデ様、時のディルヴェ様と並ぶ力を持っているそう。

ヴェルトラオム様は帝国の転生者達に付けられていたリヴェルティア様の『何か』について、「重大な盟約違反である」と言っていた。

「アスティア以外の世界に干渉って出来るのでしょうか?」
「相当な力を使えば可能である。が、これも重大な盟約違反である。」
「それに消耗が激しすぎて自身も消滅してしまうよ。」

ヴェルトラオム様とアルメディオ様が言う事を踏まえるとただの人を1人陥れるだけにやる事じゃないよね。

「リヴェルティアについては僕達で対処するから、ミナは地上での暮らしを楽しんで。」
「ありがとうございます。」

アルメディオ様もリヴェルティア様をどうにかしようと動いてくれているみたいだし、ここはお任せしておこう。

聞きたい事も聞けたし帰ろうかと思っていたら違う神様がやって来た。
ウェーブの掛かった長い緑髪の女神様だ。アウレリア様達と同じ白いドレスを着ている。

「エルナーダ、何用か?」
「実は…あの子がリヴェルティア様と会ったと言っていて…。」

気まずそうにいうエルナーダ様。
あの子?

「本人はここに来れないのかい?」
「他の神が沢山いる所には行きたくない、むしろ自分の空間から出たくないと言っておりまして…」

アルメディオ様がエルナーダ様に聞いているけど神様らしくない事を言っていた。

「神様なのに引き籠り?」
「日本最古の引きこもりは太陽の神様だったわね。」
「それ何の話ですか…?」

リオさんが言っている話は何の事だろう?いや、それよりもそのリヴェルティア様と会った神様の話を聞きたい。

「彼女は特別な者でね…」
「アルメディオ様、私から話を致します。初めまして、私は森を司る神エルナーダと申します。」

エルナーダ様は私達に丁寧に自己紹介をしてくれた。

「彼女は…私が地球から呼び寄せた転生者なのです。」
「転生者が神様に?なれないんじゃないの?」
「ミナの先輩?」

リオさんとソラちゃんがそれぞれ反応している。

「いえ、彼女…アイは転生を拒否したので仮の神として神界に置いています。」

どうやら普通の神様とは立ち位置が違うらしい。

「前に話していた例外というのはその人の事ですか?」
「そうである。前に話した通り異界の者を神にする方法はない。しかしアイは転生を拒否し、元の世界の輪廻の輪にも還れぬ。特例として私とエルナーダとで仮の神として留め置いている。」

ヴェルトラオム様が言うには、異界の魂を神界に連れてきてしまうと、本人の承諾を無しにアスティアに降す事ができないらしい。

「その子にヴェルトラオム様の後を継いでもらえば良かったんじゃないですか?」

リオさんが尤もな事を言う。

「それは難しいよ。彼女は何もしたくないそうだから世界の運営など到底できない。この世界を正しく運営してもらえる良識ある者に任せたいんだよ。」

アルメディオ様はそう答える。
つまり私は認められたって事かな?

まあそのアイさんについてはこの際置いておいて、何を話したかを聞いておこう。

エルナーダ様が言うには「無理やり連れて来た理不尽な神達に復讐する機会をあげるから協力してほしい。全てが終わったら元の世界に戻す。」と話を持ちかけられたらしい。

それでアイさんは「神界での生活に満足していて恨んでもいないし、元の世界にも戻りたくないし面倒いからやだ」と断ったそう。

「何というか…引きこもりのお陰で加担者が出ずに済んだって事なのね。」
「引きニート万歳。」
「それで、これから何をするとかは言っていませんでしたか?」
「いえ、ただ…異世界に介入する方法を見つけたと言っていたそうですが。」

その方法でアイさんを地球に戻す事を条件に協力を持ちかけたけど断られたと。

これはリヴェルティア様を放っておいたらとんでもない事になりそう。

「リヴェルティアは恐らく地球に行っているのだろうね。僕達もリヴェルティアを捕まえて何をしようとしているのかを確認するよ。」
「これ以上の盟約違反があった場合は排除せねばならぬ。」

世界の創造者だけあって、ヴェルトラオム様は神様を排除する事ができるらしい。

「分かりました。宜しくお願いします。」

その後はアウレリア様達と少し話をした。

「そういえばアウレリア様は何を司る神様なんですか?」
「私は幸運を司る神ですよ。言っていませんでしたね。」

そう聞くと私が運を良くして欲しいと言ったのも運命的なものを感じるね。

「私達が地球から人を呼び寄せる時、主神たる父の定めたルールに則って選定していますが、転生者の者の求めているもので引き寄せ合うそうです。」
「そうだったんですね。ちなみにナーサリア様は何の神様なのですか?」
「私は忍耐を司る神ですよ。」
「私の望むものを与えてくれる神様に引き合わせてくださっていたのですね。」

ユキさんも感心して頷いていた。

なるほど…理解できてきた。

「セルヴェード様、ちょっと聞きたい事があるんですけど。」

リオさんはセルヴェード様とどこかに行ってしまった。多分セルヴェード様の固有空間だろう。

「オッサン、抱っこ。」
「我は神であるぞ…幾らなんでもオッサンはないだろう…。」

そう言いつつもソラちゃんを軽々と抱き上げて肩の上に乗せている。

みんな神様と仲良しだね。

リオさんはすぐに戻ってきた。

「良ければ今すぐに再調整をかけようか?難しい事ではないが…」
「それだと私がズルをしているみたいじゃないですか。いいですよこのままで。」

何の話をしているんだろう?

「君がそれ程までにむ…「わー!わー!
もういいですから!こんな所で話さないで!」

わざわざ部屋を変えてまで聞きたい事だったんだから内緒の話なんだよね。
詮索はしないでおこう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。

亜綺羅もも
ファンタジー
旧題:「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。今更戻って来いと言われても旦那が許してくれません! いきなり異世界に召喚された江藤里奈(18)。 突然のことに戸惑っていたが、彼女と一緒に召喚された結城姫奈の顔を見て愕然とする。 里奈は姫奈にイジメられて引きこもりをしていたのだ。 そんな二人と同じく召喚された下柳勝也。 三人はメロディア国王から魔族王を倒してほしいと相談される。 だがその話し合いの最中、里奈のことをとことんまでバカにする姫奈。 とうとう周囲の人間も里奈のことをバカにし始め、極めつけには彼女のスキルが【マイホーム】という名前だったことで完全に見下されるのであった。 いたたまれなくなった里奈はその場を飛び出し、目的もなく町の外を歩く。 町の住人が近寄ってはいけないという崖があり、里奈はそこに行きついた時、不意に落下してしまう。 落下した先には邪龍ヴォイドドラゴンがおり、彼は里奈のことを助けてくれる。 そこからどうするか迷っていた里奈は、スキルである【マイホーム】を使用してみることにした。 すると【マイホーム】にはとんでもない能力が秘められていることが判明し、彼女の人生が大きく変化していくのであった。 ヴォイドドラゴンは里奈からイドというあだ名をつけられ彼女と一緒に生活をし、そして里奈の旦那となる。 姫奈は冒険に出るも、自身の力を過信しすぎて大ピンチに陥っていた。 そんなある日、現在の里奈の話を聞いた姫奈は、彼女のもとに押しかけるのであった…… これは里奈がイドとのんびり幸せに暮らしていく、そんな物語。 ※ざまぁまで時間かかります。 ファンタジー部門ランキング一位 HOTランキング 一位 総合ランキング一位 ありがとうございます!

異世界転生はうっかり神様のせい⁈

りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。 趣味は漫画とゲーム。 なにかと不幸体質。 スイーツ大好き。 なオタク女。 実は予定よりの早死は神様の所為であるようで… そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は 異世界⁈ 魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界 中々なお家の次女に生まれたようです。 家族に愛され、見守られながら エアリア、異世界人生楽しみます‼︎

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん 愛されることを望んでいた… 神様のミスで刺されて転生! 運命の番と出会って…? 貰った能力は努力次第でスーパーチート! 番と幸せになるために無双します! 溺愛する家族もだいすき! 恋愛です! 無事1章完結しました!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。