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神様の人形

妨害工作

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孤児院チームの無事を確認して更に巡回をする。
何せフィールドが広いので全てを見て回るのは難しい。

「ミナ、鑑定でおかしな動きをしているのが居ないか見てみたら?」
「そうですね。やってみます。」

オーバーブースト鑑定で、冒険者に対して敵対行動をしている冒険者を調べると、かなり遠くに見つける事ができた。

攻撃をされているのはエルクさん達だ!

「エリストの冒険者パーティが襲われています!」
「助けに行くわよ!ウル!」

ウルちゃんは直ぐに竜の姿になってくれたので全員で乗り込んで急行する。

エルクさん達は6人の冒険者と戦っていた。6人に取り囲まれた3人は密集して防御態勢をとっていた。

空中からリオさんがエルクさん達と6人の間に魔法を放つ。

「ここは冒険者同士で争う場所ではありません!直ちに戦闘をやめて下さい。」

私は6人に警告をする。

「先に敵対してきたのはコイツらだ!」
「ふざけるな!攻撃を仕掛けてきたのはそっちだろ!」

相手の言った事に対してロウさんが反論している。どちらが正しいか分からない感じだ。ウルちゃんに着地してもらって背中から降りる。

「悪いけど3人の方を支持するわ。でも証拠が無いからあなた達を罰したりはしない。このままここを立ち去るなら不問にするけど、どうする?」
「はあ?何言ってんだこのアマ。」
「言った通りよ。証拠がないから不問にする。あ、私達はこの町のオーナーみたいなものよ。」
「何だよ、知り合いへの贔屓かよ?ふざけるなよ!」
「さあ?何で私達が彼らの知り合いだと思ったの?」
「う…迷いなくコイツらを支持したからだよ!」
「ふーん。数的不利の方が先に喧嘩を吹っ掛けるとは思わないじゃない?」
「ぐ……。」
「まあそんな事はどうでもいいわ。あなたの言った通り知り合いだしね。」
「やっぱりそうなんじゃねーか!」
「だから?」
「だからって…」
「あなた達だって知り合いと他人だったら知り合いの言う事を支持するでしょ?」
「オーナーが公平な判断をしなくていいのかよ?」
「いいのよ。私達がルールだから。嫌なら出て行きなさい。」
「ふざけんなよ!ここのオーナーは平気で贔屓をするのかよ!最悪だな!」
「最悪結構。そこまで言うならサッサとこの町から出て行きなさい。あなた達は必要じゃない。」
「いいのかよ?リアードの冒険者を敵に回して。」
「煩いわね。いいから言ってんのよ。これ以上逆らうなら焼き払うわよ。ウル!」

ウルちゃんが大袈裟に咆哮をあげる。
あまりの迫力に6人は身を縮こまらせている。

「言う事を聞かない奴は「あーもういいわ!死にたいみたいね!」

リオさんはワザと面倒臭そうに髪をかき上げてから手をかざしてウルちゃんに合図をする。

「し、信じられねーぜ!みんな帰るぞ!」

逃げ出していく6人。

「ありがとう。」
「助かったよ。」

エルクさん達3人がお礼を言いに来る。

「皆さんお怪我はないですか?」
「はい。本当に助かりました。」

ニアさんが無事を教えてくれる。

「それで、何があったんですか?」
「はい…実は……」

エルクさん達は順調にこのフィールドのモンスターを倒していたのだけど、突然現れた6人にモンスターの先制攻撃を取られてしまって、優先権の主張のし合いになったらしい。

「仕方なくそのモンスターは諦めて他に行こうとしたら『謝罪がない』とか言い出して襲いかかってきたんです。」

余程怖かったんだろう。ニアさんは少し震えていた。

「俺達もダンジョンのマナーとか完全に分かっているわけじゃないし謝ったつもりだったんだけどな。あいつらは誠意がないとか訳のわからない事を言って武器を向けてきたんだ。」

ロウさんは怒りを露わにしながら説明してくれた。

「でも、あんな事を言って良かったのかい?あの連中、ここの悪い噂を流そうとしているんじゃないかな?」
「そうよ。リアードの冒険者が来なくても別に困らないし、人が必要ならルブルスリウムやゼルグラン、神国に要請するわよ。あんな訳の分からない連中なら迷惑よ。」
「そ、そうかい…。」

リオさんってこういう時に思いきりが良くてスゴく頼りになるんだよね。
リアード国の、特に貴族が嫌いって事もあるのだろうけど。

「ニアさん、怖い思いをさせてしまったみたいですけど大丈夫ですか?」

ニアさんの顔色が悪かったので聞いてみる。

「はい…もしあのまま戦闘になったらと思ったら少し…。」

フラついていたので支えてあげる。

「今日はもう帰ろうか。」
「そうだな。無理をしてもいい事はないしな。」

エルクさんとロウさんもこれ以上の探索はやめておくみたい。

「それならみんなで戻りましょう。私達が護衛しますから。」

3人と一緒にウルちゃんに乗ってギルドに戻る。

精算を済ませて宿に帰るまで行動を共にする。

(ミナ、さっきの連中がいるわ。)

リオさんが知らせてくれた。宿に向かう町の中、離れた所からこちらを覗いている。確かにさっきの6人だ。

「エルク達に囮をやってもらってもいい?」
「いいぜ。」「ニアは?」「やります。」

3人が了承してくれたのでここで別れるフリをして路地に誘い込んでもらう。

6人は簡単に引っ掛かってくれた。

「お前ら、さっきはよくもやってくれたなぁ!」

エルクさん達を呼び止めながら武器を抜く男達。エルクさん達は武器は抜かずに身を寄せ合って身構えている。

「そこまでよ。アンタ達、絵に描いたようなバカね。」
「なっ…お前は…!」
「これは現行犯よね?大人しく武器を捨てて投降しなさい。」
「くそ!ハメやがったな!!」
「あーもう、面倒くさいわ。ミナ、やっちゃいなさい。」
「え?私?」
「よろしく。」
「分かりました。」

裏路地とはいえ2人が並んで武器を振っても戦えるくらいの広さがある。

「何だよ、こんなチビ1人でやるってか?ナメめられたもんだぜ!」

ムカ。

ナメてるのはそっちの方だからね?

ラッキーシュートを敏捷に付与して格闘で瞬殺してみた。きっと何が起こったのかすら分からなかったと思う。

…殺してないからね。一応。

「お疲れミナ。あとはこっちでやるわね。」

あとはリオさんにバトンタッチして誰の依頼で動いているのかを聞き出す。初めはトボけていたけど、リオさんに魔法で脅されたら素直に話してくれた。
やっぱり貴族の手の者だった。

「あなた達には代官の前で証言してもらうから一緒に来てもらうわよ。正直に全てを話すなら拘束はしないけど、どうする?」
「わかった…従う。」

それからは素直に全てを話してくれた。
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