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ゼルグラン

レアドロップ報告

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ダンジョンマスターの話は置いておいて、私達もギルドに入ってレアドロップの報告をしよう。

「よおロック、もう戻って来たってことはモンスターの大量発生に巻き込まれたんだな?怪我はねえか?」

話しかけて来たのは冒険者風の人間の男性。革の鎧に長剣とオーソドックスな装備だ。歳はロックさんと同じくらいかな。知り合いかな?

「ああ、大丈夫。みんな怪我はないよ。」
「今日は一人じゃないんだな。って随分とべっぴんさんを連れているじゃねえか。紹介しろよ?」
「彼女達は僕の武器で出場してくれる人とその関係者だよ。」
「おお!良かったじゃねえか!俺はロイドだ宜しくな。で、誰がロックの装備を使うんだ?」

ソラちゃんが前に出る。

「ほぉ…お前さんがか。」
「ん。ソラ。これが大会で使う予定の武器。」

ハルバードを手渡すソラちゃん。

「って、メチャクチャ重いな!さっき片手で持ったなかったか?」
「これが重いっていうなら鍛え方が足らない。」
「見た目に騙されたぜ。これならいい線いくんじゃねえか?」
「ああ。でも僕としては彼女には怪我をして欲しくないから、勝ち負けは二の次だよ。」
「む、そんな弱気じゃつまらない。狙うは優勝。」
「ははは。分かったよ。頑張るね。」

ソラちゃんのやる気がすごい。
みんなそれぞれ自己紹介をしておいた。

「それで、あなたはロックの装備を使って大会には出ないの?」
「俺?無理無理。お嬢さんの言う通り鍛え方が足らないからな。」
「以前出てくれたけど予選落ちだったね。」
「言うなよ恥ずかしい!まあ、そう言うわけだ。今回も観客として応援させてもらうぜ。」

見た目は強そうなんだけど。もしかしてこの大会ってかなりレベル高いのかな?
今更やめますとは言えないし、やれるだけやってみよう。

気を取り直して受付にレアドロップの報告をしに行った。

「は?一階でレアドロップ??ちょっとお待ちください!」

受け付けてくれたのはちょっと化粧の濃いお姉さん。奥に引っ込んで直ぐに戻ってきた。

「ギルドマスターが話を聞きたいそうなのでこちらにどうぞ。」

そう言って奥に案内される。奥には上りの階段があって2階に上がって一番奥の部屋に通された。

「儂がゼルグラン冒険者ギルドのマスターのグレアスだ。一階でレアドロップが出たというのは本当か?」

挨拶もそこそこにレアドロップの話を聞いてきたのは物凄く長い髭を蓄えたドワーフさん。唾の無い帽子、ワッチキャップを被っている。
ドワーフの人ってグから始まる名前が多いね。偶然かも知れないけど。それはさておき、

「はい。こちらが今回入手したレアドロップです。」

そう言って、食料袋、矢筒、杖、鍋、薬瓶を取り出した。一つずつ説明していく。

「で、最後の薬ですけど…鑑定したら毛生え薬と「何!?それは本当か!?」

何か凄い食いついてきた。

「は、はい。」
「それは幾らで売ってくれる?」
「えぇ…どうなんでしょう?普通に売っている物があるんじゃ…?」
「効かんのだ。」
「え?」
「いや、とにかく効果を試したいからソイツだけでも売ってはくれないか?」
「はい。使い道もありませんし良いですよね?」

みんなに確認をしたけど反対はなかった。

「よし!それじゃあ10万レクスで売ってくれ。もし効果が確実なら追加で払おう。」

そう言って引き出しからお金を取り出して渡して来たので薬と交換した。

「うむ。効果の確認をするので数日後また来てくれ!」
「はい。でも私、大会に出場するので、期間中に来れるか分からないです。」
「うむ、終わってからで良いぞ!」
「分かりました。」

後は特に話を聞かれなかったし、他のレアドロップ品の買取交渉も無かったので、新規発見の褒賞金50万レクスを貰ってそのまま帰ることに。

「ギルマス、絶対ハゲだわ。」
「お髭は立派なのだから頭に分ければ良い。」

リオさんハッキリ言っちゃダメです。ソラちゃんそれは無理があるよ。

「何にせよ思わぬ利益になりましたね。他の品は興味を示しませんでしたけど。」
「他のものもかなり良い物だと思うんだけどね。」
「クッション以外はね。」

まだ夕方には時間があったけど、ダンジョンに入るのは危なそうだし、帰ることになった。

「じゃあ装備の調整は明後日、大会当日で大丈夫そうだから明日はゆっくりと体を休めておいてね。」
「ん。宜しく。」

ロックさんはソラちゃんの装備を受け取って工房に戻っていく。重量度外視の強度重視なので凄く重そう。結局みんなで運ぶのを手伝った。

ーーーー

宿に帰るとルーティアさんは帰ってきていた。ダンジョンであった事とレアドロップの件を報告しておく。

「暇さえあればトラブルを起こしているね君は。」
「大したトラブルじゃないと思うんですけど。」
「普通の人が起こせないトラブルは大したトラブルだと思うよ?ここのダンジョンマスターに目を付けられてしまったんならもう入らない方がいいだろうね。それからレアドロップだったね。グレアスにも困ったもんだ。他のレアの方が有用だろうに、自分の頭の事を優先するとは…。今度会った時に一言言っておくよ。」

「ところでルーティアさんは何をしていたんですか?」
「ああ、ジジイの所に行っていたんだ。大会のエキシビジョンで戦えって煩くてね。武具大会のエキシビジョンで魔法戦主体の私が出ても仕方ないだろう?なので気が済むまで相手をしてきたんだよ。」

つまりグレードンさんとルーティアさんは今日一日お城で戦っていたと。それにしては疲れてもいないみたいだけど。

「私は昔のままだけどグレードンはだいぶ弱って来ているからね。全力で相手をするまでもなかったんだよ。」

ルーティアさんの戦闘力はマサキさん達と旅をしていた時のままって事かな。
そういえば聞きたい事があったんだった。

「ルーティアさんは魔王の呪いを受けたんですか?」
「ああ。私の容姿な事を言っているのかい?それなら違うよ。呪いを放った時、マサキとネネが庇ってくれたから。私が普通のエルフより成長が少しだけ遅いだけさね。」

そういえば呪いを受けるとギフトや技能を失っていたからよく考えれば分かる事だった。

「心配してくれていたんだね。ありがとう。」

そう言ってルーティアさんは微笑んでいた。
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