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リアード王国

変身と不明のギフト

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「さてミナ、ミームスギフトで《変身》をコピーして使ってみて。」
「はい。」
「嬢ちゃんが変身?服を着たままで変身できるのか?」
「ウェスターさん、グーでいいですか?」
「冗談だって!」

拳を握りしめ睨みつけたら怯えられた。

偽物にミームスギフトを使用してみる。私の持っているギフト以外には《変身》しか持っていないみたい。取り敢えずソラちゃんに《変身》してみよう。

[いくつか条件を満たしていません。それから例のポーズが必要です。]

えぇ…。

「あー、無理に変身しなくていいわよ。その状態でヘルプに解析してもらいなさい。」

良かった…。なんかあの格好するのは恥ずかしいし。
ヘルプさんに調べてもらったけど、まず相手に自己紹介をさせなければいけないらしい。
次に1分間見つめ合うか、5秒以上見つめ合って相手から目を逸らすのどちらかをしなければならない。
最後にあの変身ポーズ…。

かなり面倒くさい手順があるけど変身してしまえばステータスどころか気配や匂い、契約までもコピーしてしまうトンデモない能力だ。

それで、解除方法は…。

[自らの意志で解除しなければ変身は解けません。ただし、変身元が死亡した場合は強制的に解除されます。]

それで王様を見つからない所に幽閉していたんだね。

「さて、これで能力解析は終了、と。後は尋問ね。」

その前に王様を休ませてあげないと。
メリルさんが後のことはやってくれるそうなので、彼女に行き先を伝えて私達は一度スラムへ転移する事にした。

「本当は樹海の迷宮にでも隔離して、じっくり色々聞きたいけど、メリルも立ち合わせたいからここでやりましょう。」

深夜なので宿も受け付けてもらえないので、スラムに野営する事になった。
まだ敵対する人達もいるだろうから、オーバーブースト建設ビルディングで建物を作って休む事にした。

ーーーー

次の日、お昼くらいにメリルさんがやって来た。
偽物は未だに目を覚さないので、回復魔法を掛けて無理矢理起こした。

「……取引きしないか?」

目を覚まして言ったのは取引きを持ちかけるセリフだった。

「あなた自分の立場分かってる?生かすも殺すも私達次第なのよ。取引きなんてできる立場じゃないわ。」
「帝国の情報を知っている限り全て話そう。……その代わりオレを保護してほしい。逃げたりはしない……奴隷紋で縛ってくれていい。」
「何を恐れているの?」
「リアードで処刑される事。帝国の連中に始末される事だ……。失敗したオレを奴等は必ず消しに来る……頼む!」

「どうします?」
「まず、やりにくいから元の姿に戻りなさい。」
「……分かった。」

リオさんに素直に従うシゲルさん。

「じゃあ何から聞こうかしら?メリル、聞きたいことは?」
「色々あるわ。」

メリルさんの質問に素直に答えていく。
彼が王に成り代わってから国内でアフターギフトの実験施設を建設。また、南部の貴族達がリリエンタに侵攻を開始した。
つまり本物の王様の時は表立った動きは何とか抑えていたけど、入れ替わった事によりブレーキが無くなって、それぞれが好き勝手に動き始めたという事らしい。

「オレは侵攻についてもアフターギフトについても命令はしていないんだ……。」
「止める役割だった国王にすり替わって何も言わなかったのなら、命令したのと変わらないわ。あなたのせいで国内外が混乱しているのよ。今更ムシのいい事を言って自分だけ助かろうなんて最低ね。」
「オレは命令されて国王役をやっていただけなんだ……。」
「だから…それが罪だって言ってるのよ。」

この人の所為でどれだけの人が苦しんだか。許される事ではないと思う。

「な、ならとっておきの情報がある……。これはアンタ達にとって重要な事だ……。」
「何?」
「約束してくれ……オレを保護すると。」
「なら聞かなくていいわ。」
「いや……!本当に価値のある情報なんだ……!ミナ、アンタについてだ!」

私のこと?

「どうするミナ?」
「一応聞いておきたい…かな。」
「じゃあ……約束してくれ!」
「罪を許す訳じゃないわよ。キッチリ償ってもらうから。」
「あ、ああ……!それでいい!」
「じゃあ話しなさい。」
『アンタのギフトによく分からない物があるだろう……?帝国の奴ら……今の帝国を操っている奴らが探しているのはそのギフトだ。』
『根拠は?』

シゲルさんが帝国を経つ時に言われたのだそうだ。探しているものは間違いなくエルジュにあって、それは一見すると何の役にもたたないギフトの形をしている。この世界に住まうものに先天的に備わっているが、転生者に引き継ぐ事ができると。

間違いない。アロンソさんが持っていた『憫然なる生命LV20』の事だ。

『その顔は……当たりだな?』
『…はい。』
『答えなくていいのよ。これで少なくともあなたを逃すわけにはいかなくなったわ。』

この情報が帝国の者にもたらされれば私は全力で狙われる。そしてシゲルさんも複製を作る事ができる貴重な人材だ。放って置くわけはないだろう。

『そういう訳だから……保護の件、宜しく……。』

「メリル、悪いんだけどさ…この男の身柄を私達に預けてくれないかな?」
「陛下はあなた方に任せると言われていました。強行な手段にまで及ぼうとしていたせめてものお詫びという事です。」
「この男をもらってもお詫びにはならないんだけど…。」
「オレの情報、役に立っただろう?」
「まあいいわ。帝国の事についてまだ詳しく聞かなくちゃいけないし。その前に奴隷紋を打ち込んでしまいましょう。」

シゲルさんにはギフト禁止、許可なく1キロ以上移動禁止、人に危害を加えるのも禁止で奴隷紋の強度は最強に設定しておいた。
ついでにリオさんが《カース》の魔法で奴隷紋の禁止事項と同じものを対象にした呪いも与えておいた。

「ここまで厳重にやらなくても……。」
「念には念を入れておかないとね。」

取り敢えず完全隔離された空間をダンジョン内に構築してそこに住んでもらおう。
既に隔離施設はあるけど、ワンルームだと快適過ぎてダメだという事で独居房の様な質素な部屋を作っておいた。
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