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リアード王国

変身の転生者

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「な、ななな…!なんて格好をしてるんですか!!」

叫ぶ私をお構い無しに鑑定を作動させて自身のステータスを確認している。

『ふむ、やはり……ステータスが高いな……。このギフトはもしや……。……体を小さく作ったのは何かの意図があるのかな……?』
『ちょ、ちょっと!ベタベタと人の身体に触らないでくださいよ!』
『今はオレの体だから……。女の子の体はいいなぁ……。』
『やめてーー!!』

思わず飛び出して取り押さえに入る。手を取って関節を極めて動けなく…払われた!?

「ミナ一旦離れて!同性能だと力技じゃ捕らえられないわ!!」

リオさんに言われて一度後ろに飛び退く。その隙にソラちゃんが石を投げるけど躱されてしまう。見えない程の速度なのに当たらない。もう一つ投擲するも、それもヒラリと躱されてしまった。

「悪いけど……あまり遊んでもいられない……。《ブリッツバースト》!」

偽物の私が雷撃魔法を放った!
カウンターマジックリングがあるから跳ね返る……作動しない!?

「くっ……!《マナバリッシュ》!!」

リオさんが咄嗟に防御魔法を展開して何とか防いでくれた。

「悪いね、《テレポー「《ディスペル》!!」

偽物が転移魔法で逃げようとしたけどリオさんが魔法をぶつけて魔法を打ち消した。

「これは参ったな……便利な魔法があったから使おうと思ったのに……。」
「逃さないわよ!」

そうだ、逃すわけにはいかない!
今逃げられたら私の姿で何を仕出かすか分からない。

「仕方ない……《アクセラレーション》!《ファイアーボール》!」

アリソンさんの技能で加速して詠唱を早めた!?今度はリオさんも対応できない!
ユキさんが前に出て大防御を展開。大防御が掻き消えて火球が炸裂、全員に炎が降りかかる。

私も少なからずダメージを負ったけど、まだまだ動ける。他の人達も何とか無事だ。

カウンターマジックリングも大防御もなんで上手く作動しないんだろう?

[ミナの幸運値をそのままコピーしている為、魔法攻撃がクリティカルになっています。異常なまでに高い幸運の影響で、アイテムにも干渉されている様です。]

何それ…反則……って、私か!

「これくらいの詠唱なら対応できないのか……。《アクセラレーション》。《フリー……

これ以上のダメージはみんなの生命に関わる。撃たれる前に近接戦で落とす!

オーバーブーストを敏捷に付与!そのまま偽物に詰め寄ると拳打を浴びせてから首と足を同時にとって後ろに思い切り投げる。変な掴み方をしたから受け身が取れない筈だ!

床に叩き付けられて苦しそうに呻く偽物。殺さないにしても意識は刈り取らないと。

オーバーブーストを幸運に付与!
手加減技能を使いながら無防備なお腹に拳を振り下ろす!

スゴい衝撃音がして、偽物は動かなくなった。
…勝った!!

「皆さん大丈夫ですか?」

みんなの無事を確認する。

「大丈夫です。」
「ん、平気。」
「一体何が起こったの…?」
「何だ今の…?殆ど見えなかったぜ。」
「今の投げ…キャプチュード?いや、エクスプロイダーかしら?ミナがプロレスに詳しいなんて…。」

リオさんはプロレスに詳しいんだね。
私はよく分からないよ?夢中でやっただけなので。

『ミナ!何かあったの!?…って増えてる!?』
『おおお…なんと…。』

フィオレさんとサナトスさんが転移してきた。サナトスさん、あまり見ないでもらえるかな?

『ミナとのリンクが2つになったから何か起こったのかと思って来たんだよ。』
「そんな所までコピーするなんて…。」

フィオレさん達には事の経緯を話して帰ってもらった。

「暫く目覚めないでしょうけど、今の内に拘束しておきなさい。オーバーブーストを使って縛っておけば幸運で逃げられる事は無いと思うわ。」
「これを使って。」

メリルさんからロープを受け取る。
裸の女の子…見た目は私なんだけど、そのまま縛るのは気が引けるので、ベッドからシーツを剥ぎ取ってグルグル巻きにしてから縛っておいた。勿論オーバーブースト付きで。

そういえばウルちゃんとオル君は戦闘に加わってなかったね。

「申し訳ありません。気配も匂いもミナ様そのものだったので戦う事が出来ませんでした。」

…もしかして私、臭うの?

「臭い訳ではありません。人それぞれで匂いは違うのです。私達が獣の姿なので嗅覚が拡大されているだけですのでお気になさらないでください。」

そ、そう…。

「陛下の居場所を聞かなければ…。」
「それなら多分探せます。」

オーバーブースト鑑定とヘルプさんの支援で王様の所在地を確認する。
どうやら北部の廃砦に幽閉されているみたい。

「オッケー。私とソラで助けてくるわ。ミナとユキはここで待ってて。《ハイパークレアボイアンス》、《テレポート》!」

リオさんとソラちゃんが転移魔法で移動する。すぐに王様を連れて戻ってきた。
本物の王様はかなり衰弱していた。

「陛下!」
「メリッサか……。よく無事で戻った。嬉しいぞ。」
「ご自分の心配をなさってください。」

回復魔法を掛けたり、水を飲ませたりしていると、ガチャガチャと複数の足音が近づいてきた。

「陛下!何事ですか!!」

扉の向こうから声が聞こえる。メリルさんが扉を開けると4人の騎士が完全武装で立っていた。寝室の様子を見て驚いている。

王様とメリルさんが今までの事を説明してくれた。

「ではその者の身柄は我等がお預かり致します。」
「ちょっと待った。」

リオさんが待ったをかける。

「色々調べなきゃいけない事があるからまだ引き渡せないわ。」
「何者だ?」
「任務の協力者です。」

メリルさんがフォローしてくれた。

「すまないがその者はメリッサの協力者に預けてくれ。それからベッドで眠っている女官達を保護してやってほしい。」
「畏まりました。」

王様に言われて、騎士達は女性2人にマントを掛けて運んでいった。
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