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戦争

内戦

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今日はその日の内に近くの領地へ移動して同じ様な話をさせてもらうことになっている。
ラフィミアさんの書状と、ミリシアさん達竜騎兵が同行してくれる。

ラフィミアさんにお礼を言ってお城を後にして砦まで移動する。
オル君に竜の姿になって貰って移動を開始。

ミリシアさんの案内で次の町、バランへと向かう。
バランという町はウロエステ男爵が治めていて、リアード王国との国境が近い。実際交易路があるので侵攻しようと思えば容易だろう。
バランは国が混乱状態にある事から、万一リアード王国が侵攻してきても対応できる様に交易路を一時的に封鎖。国境線に守備隊を展開する等しているらしい。

そういった事情から町から逃げ出す民間人も多く、少なからず経済にダメージを受けているらしい。

オル君の背に乗って飛ぶこと1時間、大きな町が見えてきた。
どうやらあそこがバランの町らしい。
ミリシアさんの誘導で町の外に着地した。

すぐに騎士が駆けつけてくる。

ミリシアさんが騎士の人に話をつけてくれて、すぐに馬車が用意された。
馬車に乗って領主の館へ。

「ようこそおいでくださいました。私がウロエステ領、領主代行のマハットと申します。」

入り口で出迎えてくれたのは口髭をたくわえた騎士の格好をしたおじさんだった。

「本来の領主は現在大病を患い、治療の為当領地から離れております。」

それぞれ自己紹介をする。

(前ディルーン侯爵派なんでしょうね。)
(汚職政治家と一緒。)

リオさんとソラちゃんが小声で話しているけど、マハットさんにも聞こえちゃってるよ。

「お恥ずかしながらその通りです。ミナ様が来る前に尻尾を巻いて逃げ出した次第です。」

笑いながら答えるマハットさん。
それでいいの?

「お陰で国境線の防衛指揮が容易になりました。」

まあいいなら気にしないけど…。
今朝の演説の話をさせてもらって、この町でも必要かを確認する。

「このバランにおいてはそこまでしなくとも大丈夫です。話が必要な者は既に町にはおりませんからな。ただ、防衛戦力をお貸しくださるのなら是非ともお願いしたいです。」

守護が必要だということなのでオル君の部下を呼び寄せることにした。

「父よ、ただいま参りました!」

今度は青い竜がやってきた。
着地すると人の姿に変身する。背の高い青髪の青年だ。

「人に変身する竜…。この方を守護にお貸しくださると…?」
「はい。基本的にはマハットさんの指示に従います。ただし、侵攻するのはやめてくださいね。」
「勿論です!本当にありがとうございます。」

マハットさんは私達をもてなしてくれるというけど、丁重にお断りして次の町に向かう事にした。

バランの町から北東に進むとニベリスという町があり、そこはカンバー伯爵が治めているらしい。

そろそろ町が見えてくるというところで異変に気付いた。
町が燃えている…?

「何かあったみたいね。」
「リアード王国の攻撃?」
「様子を見ますか?」

「どうなさいますか?」

ミリシアさんが聞いてくる。

「近づいてみましょう!」
「分かりました!」

高度を落として町を目指す。その間にラッキシュートを掛けた鑑定で町を調べてみる。

民間人、兵士…人の内訳が出てくる。
その中にあってはいけない項目があった。

悪性変異者85名。

これは…マズい。
みんなに伝えて戦闘の準備をする。

変異した人をテュケ君の様に治療する事は出来ないかな?

[テュケの場合は変異してすぐに治療をしたので成功しました。時間が経てば因子核から伸びた枝葉が全身に行き渡ってしまいスティールで因子核を取り除いても死亡するでしょう。]

無理なら仕方がない…やろう。

「私達は地上で戦います。オル君行くよ!」
「はい!」

町はエリストと同じ様に堅牢な石壁に囲まれていて、空から見た限り入り口は2箇所。私達は西側の門の目の前に着地した。門の所には悪性変異した人が3人、道を塞ぐ様に背を向けて立っている。装備からして兵士だろうか?

「初撃いきます!」
「突っ込みます。」
「ん、行く。」
「援護は任せなさい。《ヴァイスシルト》!」

リオさんが防御魔法を全員に付与してくれた。
私はダブルアローで兵士2人の頭に矢を突き立てて倒した。

もう一人は振り返るとこちらに向かって突進してくる。武器は持っておらず、長く鋭い爪でユキさんに襲い掛かる。
ユキさんが盾で難無く防ぐと、すぐ横をソラちゃんがすり抜けてハルバードで首を跳ね飛ばした。

「周りに敵はいません。」
「オッケー。じゃあ町に入りますか。」

と、町の方から人が次々と門に向かって走ってくる。どうやら私達が変異した兵士達を倒すのを見ていたみたい。

「あなた方は冒険者ですか?」
「はい。」
「おおお!助かった!奴らが門に陣取っていて逃げられなかったんだよ。」
「ありがとう!」

人は次々と集まってきた。この人達をそのままにしておく事はできない。

「ミリシアさん、竜騎兵の皆さんで逃げてきた町の人を守ってください。」
「わかりました!」
「オル君もここに待機で。眷属は呼んでくれてる?」
「はい。直ぐに到着するでしょう。」
「来たら一緒にここを守って。私達は町に入るから。何かあったら連絡して。」
「分かりました。お気をつけて。」

4人と1匹で町の中に突入する。
あちこちで悲鳴や怒声が聞こえてくる。
助けを求めている声も…。

「ミナ、手が足らないわ。応援を呼びましょう。」

一度止まってダンジョンマスター達に念話をする。

『はーい!来たよー!!』
『何なりとご命令を。』
『やっと呼んでくれたわね。』
『俺の力が必要ですか?』
『戦闘なら任せとけ!』

「この町で悪性変異した人が他の人を襲っているんです。助けるのを手伝ってください。西門の外が暫定で避難所になってますからそこに誘導してください。」

『オッケー!そんじゃみんな、バラバラで行くよ!』

5人のダンジョンマスター達は散り散りに町に消えていった。

『清らかなる水の大精霊アプサラス。私の願いを聞いて。私達を助ける力になって!召喚、《アプサラス》!』

リオさんが水の大精霊アプサラスを召喚して燃えている建物の消火を始める。

正面から5体。変異体がやってきた。全員兵士だ。今度は槍や剣を持っている。

「前に出ます。」
「詫び石投げる。」
「援護しますね。」

距離があったのでエイミングアローで確実に一体を倒す。
ソラちゃんは帰巣石を一体に投げつけて頭を吹き飛ばし、貯留石をグルグル回してから投げつける。
衝撃波と共に変異体に衝突して粉々に吹き飛んだ。残りの2体も衝撃波を受けて壁に叩きつけられている。
そこにユキさんがショートスピアで体当たりをして2体とも倒すことができた。
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