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孤児
教師
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一悶着あったけど竜達も素直になって孤児院の運営に協力してくれる事になった。
…ホントごめんなさい。
竜は4人ずつ一週間交代で詰めてくれるらしい。基礎教育だけならダンジョンマスター達でもできるので今の所人数は足りている。
できれば今後の事も考えて人間の教師にもお願いしたい。
4人と2匹で学校に行って、ギュンター伯爵の所にお邪魔する。応接間に通されて話を聞いてくれる事になった。私からは学校の運営に差し障りの無くて、基礎教育ができる人材がいないかを聞いてみた。
「何人か候補は出せますが、難ありの者でも宜しいですか?」
「難ありというのはどういった事でしょうか?」
流石に体罰が激しい先生とかは遠慮したい。
「1人目は学術面では優秀なのですが、人見知りが激しくて授業が上手くできない者です。次に研究熱心過ぎて、一つの事に打ち込み過ぎてカリキュラムが消化できない者。最後に生徒に教えるのが苦手過ぎる者です。3人は現在臨時講師として雇い入れていますが、このままだと次回は契約を打ち切る事になります。」
「宜しければ会って話を聞いてみたいのですが。」
「わかりました。こちらに呼びましょう。」
ーーーー
「「「失礼します。」」」
入ってきたのは気の弱そうな若い女性、ボサボサ頭のやる気のなさそうな青年、眼鏡を掛けた如何にも真面目そうな女性の3人だった。
「なんですかね?いよいよクビですか?」
「確かにその話もしなくてはならないのですが…君達の力を借りたいと言っている方がおられましてね。」
ギュンター伯爵と3人は短くやり取りをして3人が席についた。
「初めまして。ミナと言います。一応孤児院の経営者をやっています。」
「初めまして……マーシャです。」
「ローイです。」
「タチアナです。宜しくお願いします。」
3人に孤児院の子供達の基礎教育をお願いできないかを聞いてみた。
「ここを切られたら生活できなくなってしまうので、頑張らせていただきます…。」
「まぁ、条件次第ですねぇ。」
「基礎教育のみですか?」
「始めは、ということです。伸びしろのある子には専門的な事まで教えていただいて構いません。」
「わかりました。」
あとは給料とかだね。
基本は住み込みで週5日、休みの日は帰っていただいても良い。食事等は全部こちらで出して、給金は1日3万レクス。日払い可。
3人は目を輝かせて「是非お願いします!」と言ってくれた。
直ぐにでも始めたいと言ってくれたので、樹海の迷宮の孤児院に案内する。
「ダンジョンに…孤児院…?」
「はい。うちは樹海の迷宮に孤児院を作っています。」
「孤児って人ですよね?」
「そうですけど。」
「おお!なんだソイツらは?」
「喜びなさい。あなた達の同僚です。」
「ならコキ使っていいんだな!おい!お前ら!」
「違う。まだ分からないのか?お前達は彼らよりも下だ。この者達はミナ様と雇用契約を結んでここに来ているのだ。何かしたら許さんぞ。」
「…はい。」
ウルちゃんとオル君が竜達の管理はしてくれているので大丈夫そう。私も一応「何かあったら私が責任をとります。」と言ったら竜達が平伏し始めた。
なんで?
「きっと処分されるのだと勘違いしたのでしょう。」
なるほど…。て、私は恐怖の大王みたいな立ち位置なんだね…。
「獄炎の魔神様に逆らったら消されてしまう…。」
「違います!獄炎の魔神はこっちです!」
「何言ってるのかなこの口は!私は救世の女神なんだけど!」
「い、いひゃいれふ……」
リオさん思い切りほっぺを抓らないでください。
「ミナ様には首狩り少女という素晴らしい二つ名がついております。」
「な、なななんで言っちゃうのかなっ!?」
オル君空気読んでよ…。
「へぇ~。いい名前じゃない?」
「殺人鬼?」
リオさんはニヨニヨしながら言ってるし、ソラちゃんは何気に私から距離を取るし…。もう帰ろうかな。
「あの!私達ってここに騙されてきたんじゃないですよね?」
「騙してなんていませんよ!」
「本当ですか?」
「はい。その二つ名は勘違いから付いただけなのでご安心ください。」
…なんでユキさんに聞き返すの?
もうやだ。
「ミナ、冗談だから。拗ねないで。」
ソラちゃんに頭を撫でられる。
…なんか余計に悲しくなってきた。
「ミナのキャラが分かってきたところで、3人には今日からここで働いてもらうけど、宿泊は例のワンルームに泊まってもらおうか。リンクは繋いでおいてね、ミナ。」
「はい。」
「それじゃ、この3人を案内して、具体的な教育のカリキュラムを作りましょう。」
リオさんが仕切ってくれて、3人と竜達との連携もしっかり打ち合わせできた。
ワンルームの方も使い方を一通り説明したら3人とも大喜び。契約が切れても賃貸させて貰えないかと言い出した。
まだ打ち切る話は無いからね。
ーーーー
「あ、ミナおねーちゃんとネコちゃん。」
孤児院に戻ってきた私達を出迎えてくれたのはティナちゃんだった。
「もうここの暮らしには慣れたかな?」
「うん!とってもかいてき!ありがとう!」
「よかった。」
「それでね、るぶるすりうむがね、またもえちゃうかもしれないの。」
「またミナ様が燃やしているのか?」
またって何かな?ウルちゃんが燃やしちゃうところだったんじゃないの?
「ちがうよ。しらないへいたいさん。」
「まさか侵略…?」
ミームスギフトでティナちゃんの未来視をコピーして見てみる。
燃え盛る町、逃げ惑う人々。倒れていく兵士。明らかにこの国の兵士ではない人達が大勢ルブルスリウムに攻め込んできている。
…映像がブレる。
視点が変わった気がする。
同じように燃える町、逃げ惑う人々、ただ違ったのは攻め込んで来ているのは魔物達だった。
この違いは何?同時に攻め込まれている訳ではなさそう。
もしかして、未来が2つ見えた?
…ホントごめんなさい。
竜は4人ずつ一週間交代で詰めてくれるらしい。基礎教育だけならダンジョンマスター達でもできるので今の所人数は足りている。
できれば今後の事も考えて人間の教師にもお願いしたい。
4人と2匹で学校に行って、ギュンター伯爵の所にお邪魔する。応接間に通されて話を聞いてくれる事になった。私からは学校の運営に差し障りの無くて、基礎教育ができる人材がいないかを聞いてみた。
「何人か候補は出せますが、難ありの者でも宜しいですか?」
「難ありというのはどういった事でしょうか?」
流石に体罰が激しい先生とかは遠慮したい。
「1人目は学術面では優秀なのですが、人見知りが激しくて授業が上手くできない者です。次に研究熱心過ぎて、一つの事に打ち込み過ぎてカリキュラムが消化できない者。最後に生徒に教えるのが苦手過ぎる者です。3人は現在臨時講師として雇い入れていますが、このままだと次回は契約を打ち切る事になります。」
「宜しければ会って話を聞いてみたいのですが。」
「わかりました。こちらに呼びましょう。」
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「「「失礼します。」」」
入ってきたのは気の弱そうな若い女性、ボサボサ頭のやる気のなさそうな青年、眼鏡を掛けた如何にも真面目そうな女性の3人だった。
「なんですかね?いよいよクビですか?」
「確かにその話もしなくてはならないのですが…君達の力を借りたいと言っている方がおられましてね。」
ギュンター伯爵と3人は短くやり取りをして3人が席についた。
「初めまして。ミナと言います。一応孤児院の経営者をやっています。」
「初めまして……マーシャです。」
「ローイです。」
「タチアナです。宜しくお願いします。」
3人に孤児院の子供達の基礎教育をお願いできないかを聞いてみた。
「ここを切られたら生活できなくなってしまうので、頑張らせていただきます…。」
「まぁ、条件次第ですねぇ。」
「基礎教育のみですか?」
「始めは、ということです。伸びしろのある子には専門的な事まで教えていただいて構いません。」
「わかりました。」
あとは給料とかだね。
基本は住み込みで週5日、休みの日は帰っていただいても良い。食事等は全部こちらで出して、給金は1日3万レクス。日払い可。
3人は目を輝かせて「是非お願いします!」と言ってくれた。
直ぐにでも始めたいと言ってくれたので、樹海の迷宮の孤児院に案内する。
「ダンジョンに…孤児院…?」
「はい。うちは樹海の迷宮に孤児院を作っています。」
「孤児って人ですよね?」
「そうですけど。」
「おお!なんだソイツらは?」
「喜びなさい。あなた達の同僚です。」
「ならコキ使っていいんだな!おい!お前ら!」
「違う。まだ分からないのか?お前達は彼らよりも下だ。この者達はミナ様と雇用契約を結んでここに来ているのだ。何かしたら許さんぞ。」
「…はい。」
ウルちゃんとオル君が竜達の管理はしてくれているので大丈夫そう。私も一応「何かあったら私が責任をとります。」と言ったら竜達が平伏し始めた。
なんで?
「きっと処分されるのだと勘違いしたのでしょう。」
なるほど…。て、私は恐怖の大王みたいな立ち位置なんだね…。
「獄炎の魔神様に逆らったら消されてしまう…。」
「違います!獄炎の魔神はこっちです!」
「何言ってるのかなこの口は!私は救世の女神なんだけど!」
「い、いひゃいれふ……」
リオさん思い切りほっぺを抓らないでください。
「ミナ様には首狩り少女という素晴らしい二つ名がついております。」
「な、なななんで言っちゃうのかなっ!?」
オル君空気読んでよ…。
「へぇ~。いい名前じゃない?」
「殺人鬼?」
リオさんはニヨニヨしながら言ってるし、ソラちゃんは何気に私から距離を取るし…。もう帰ろうかな。
「あの!私達ってここに騙されてきたんじゃないですよね?」
「騙してなんていませんよ!」
「本当ですか?」
「はい。その二つ名は勘違いから付いただけなのでご安心ください。」
…なんでユキさんに聞き返すの?
もうやだ。
「ミナ、冗談だから。拗ねないで。」
ソラちゃんに頭を撫でられる。
…なんか余計に悲しくなってきた。
「ミナのキャラが分かってきたところで、3人には今日からここで働いてもらうけど、宿泊は例のワンルームに泊まってもらおうか。リンクは繋いでおいてね、ミナ。」
「はい。」
「それじゃ、この3人を案内して、具体的な教育のカリキュラムを作りましょう。」
リオさんが仕切ってくれて、3人と竜達との連携もしっかり打ち合わせできた。
ワンルームの方も使い方を一通り説明したら3人とも大喜び。契約が切れても賃貸させて貰えないかと言い出した。
まだ打ち切る話は無いからね。
ーーーー
「あ、ミナおねーちゃんとネコちゃん。」
孤児院に戻ってきた私達を出迎えてくれたのはティナちゃんだった。
「もうここの暮らしには慣れたかな?」
「うん!とってもかいてき!ありがとう!」
「よかった。」
「それでね、るぶるすりうむがね、またもえちゃうかもしれないの。」
「またミナ様が燃やしているのか?」
またって何かな?ウルちゃんが燃やしちゃうところだったんじゃないの?
「ちがうよ。しらないへいたいさん。」
「まさか侵略…?」
ミームスギフトでティナちゃんの未来視をコピーして見てみる。
燃え盛る町、逃げ惑う人々。倒れていく兵士。明らかにこの国の兵士ではない人達が大勢ルブルスリウムに攻め込んできている。
…映像がブレる。
視点が変わった気がする。
同じように燃える町、逃げ惑う人々、ただ違ったのは攻め込んで来ているのは魔物達だった。
この違いは何?同時に攻め込まれている訳ではなさそう。
もしかして、未来が2つ見えた?
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