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ギフト

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「フィオレよ、リソースとやらは負の感情でも良いのだろう?」
『うん。むしろそっちの方が還元効率がいいんだよね。』
「ならばリソースは幾らでも用意できるぞ。」

そういうとウルちゃんは大きく息を吸い込む。ウルちゃんの毛が真っ黒に変わっていく。

「いくぞ。」
『いくぞって?』

ウルちゃんはひと鳴きすると真っ黒な球を地面に落とした。

『なにこれ!?すごい!!ニャンコ凄いよ!』

確かにとんでもないリソースの量だ。今までの総量の100倍は超えている。

「これでリソースに困る事はありませんよね。あとフィオレ、私はニャンコではない。ウルだ。」
「ウルちゃんスゴい!」
「お役に立てて光栄です。」

ウルちゃんの禍の還元先が出来て一石二鳥だ!
リソースも沢山手に入ったのでワンルームは400室用意した。
使わなければそのまま消去すればいいからね。
ちなみに排水とかゴミとかは全部ダンジョンが吸収してくれるそう。
地上より便利なんじゃないかな?

照明については魔力灯を使っていて、時間で明るさを変える様にしておいた。

試しにテュケ君に部屋に入ってもらっている。
「どうかな?」
「この部屋を一人で使っていいのか?魔法の道具がいっぱいだ!水もいくらでも出てくるし!ベッドもフカフカだ…。俺が使ったら汚しちゃうよ。」
「汚したら自分で掃除したりすればいいんだよ。」

最悪使い捨てても大丈夫。この際だから毎日お風呂に入って清潔な生活をしてもらおう。
 テュケ君は設備の良さに戸惑っていたけどすぐに慣れてくれた。孤児の仲間達がきた時は道具の使い方の実演をしたりと指導を手伝ってもらう。本人もアフターギフト持ちなのでユキさんが一緒に付くけどね。

設備の使い方の説明もそうだけど、暫くこの施設で暮らす人がかなりいるはずなので管理をする側もそれなりに必要だ。
有り難い事にノスフェランさんもルサルカさんも手伝ってくれるそう。ノスフェランさんはちゃんと人間の姿に変身してもらう。人の良さそうな老人に変身していた。

「ミナ様、私も手伝わせていただきます。」
「嬉しいけど、猫の姿じゃ大変なんじゃない?」
「ご安心を。人の姿にもなれます。」

そう言って変身する。
姿を現したのは私にそっくりな女の子。髪が白いのはウルちゃんの毛並みと一緒だ。それより…

「な、なんで服着てないの…?」
「私は生物に変身は出来ますが衣服等は創造できません。」

急いで私の服を出して着させる。

「ね、ねえウルちゃん。まさか今までにその姿に変身した事ってないよね?」
「一度だけあります。」
「誰かに見られた?」
「はい。」
「……お願いだからこれからは服を着られる状況にない場合はその姿にはならないでね。」
「はい。分かりました。」

誰に見られたかは怖くて聞けない…。
全裸の私が徘徊していたなんて噂は聞いてないから多分大丈夫だと思うけど…。

ウルちゃんもノスフェランさんも時折人間の常識から外れた行動をとるから気をつけないと…。

気を取り直して。

部屋の準備は整った。次はギルド側だ。

フィオレさんに中央ギルドに転移してもらって、状況を確認する。
ギフト持ちだと分かった孤児達は既に何十人と集まっていた。
ラッキーシュート付き鑑定でルブルスリウム全体のアフターギフト持ちをヘルプさんの支援で表示、私とユキさん、ウルちゃんにルーティアさん達、ダンジョンマスターの3人にも共有してもらう。

アフターギフト持ちの総数は245人。
ルーティアさん達を使ってしまって悪いけど、各区に行ってもらってアフターギフト持ちの人を確実に連れてこれる様にする。
そして運ばれてきた人を樹海の迷宮に用意した部屋に入れて行く。途方も無い作業かもしれないけど、放っておいたら大惨事になりかねない。みんなに頑張ってもらおう。

輸送については各ギルドが馬車を用意してくれて、順次東のダンジョンに運んでくれている。

私にはもう一つやる事があった。
ここからはユキさん、ウルちゃんとも別行動。

「アフターギフトですか。」
「はい。調べてください。とにかく情報が欲しいです。」
「分かりました。他ならぬミナ様の頼みならどんな事よりも優先してやりましょう。」
「ありがとうございます。」

学園のアロンソさんの所に行って、アフターギフトについての資料を探してもらう事にした。
それから伯爵にはこの事態を国王様に伝えてもらって、こちらの対応のバックアップをしてほしいと伝えてもらう。

正直国には期待はしていない。最低限、ギフト、アフターギフト持ちの人を無闇に傷つけたり迫害したりしないようにしてもらうだけだ。

あともう一つ、発生源の男。彼を捕まえなければ。
テュケ君の教えてくれた情報を可能な限り当てはめて鑑定で絞り込んで見たけど、王都には居ない様だ。

一通りやるべき事を終えて、私は樹海の迷宮に戻ってきた。既に孤児の子達がワンルームに入っている様だ。

『ミナ~手伝って~。転移のリンクの繋ぎ換えが多すぎてムリ~。』

もしもの場合に被害が拡がらないように、各部屋を繋ぐ通路は設けていない。全部転移で移動させる事にしていた。

「負担をかけてごめんなさい。私が引き継ぎます。」

と言ってもヘルプさんにやってもらうんだけどね。
私は各部屋の様子や案内に行ってくれているユキさん、ウルちゃん、ノスフェランさん、ルサルカさんを見たりして異常が無いかを監視する。部屋に入った子達は魔法の道具に驚いて戸惑っていたけど、すぐに慣れて快適に暮らしている。
案内も特には問題は無さそうだ。

そして今の所変異した人の報告はない。
もし魔物化してしまったら、今のままだと殺さなくてはいけないんだ。治療法も探さないと。

暫く転移の繋ぎ換えをやって、ひと段落したところでフィオレさんに代わってもらい一度外に出る事に。日は完全に沈んでいてギルドの周りの酒場や食堂からは賑やかな声が聞こえてくる。

そういえばご飯を食べてなかった。ユキさんを誘ってご飯にいこうか。

「ミナ様でございますね?」
「えっ?はい。」
「私、アロンソ様の使いの者でございます。アフターギフトの事について重要な事が分かったので大至急来て欲しいとの事でございます。」

もう分かったんだ。さすがギフト専門の研究者。

「分かりました。すぐに行きます。」
「近くに馬車を用意してございます。ご案内致します。」
「ありがとうございます。」

(フィオレさん、私、アロンソさん…学園の人の所に行ってくるね。何かあったら教えてくださいね。)
(はいは~い!)

私はフィオレさんに一言連絡を入れてから使いの人の案内で馬車に乗り込んだ。
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