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エルジュ王国
野盗
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1日の行程を終えて野営の準備に入る。
大体どの馬車も同じくらいしか進まないので、自然と野営地が同じになり、集まっていた方が安全という理由もあるため、みんなで寄り集まって野営をする。
「ギルドマスター達と一緒なら心強い!」
「ご馳走しますから警備をお願いできませんか?」
「構わないが、私達もやれる事は限られる。各隊1人ずつ見張りは出してくれよ。」
馬車が5台。総勢27名。ワイワイと食事の準備が始まる。
私も食事の準備に回る。ユキさんはアリソンさんと薪を集めに行っている。
テキパキと料理を作ってみんなで楽しくご飯を食べた。私達以外はみんな商人らしく、こういった場は情報交換の機会として使われるそう。
「アルオベイト聖国で聖王様が奇跡を行使したらしい。」
「砂漠に大粒の雨が降り注いで、民は歓喜に沸いたそうだ。」
「しかし喜んでいたのもつかの間、未だに雨は降り止まず、フィーリア大砂漠が洪水に見舞われているとか。」
…天変地異かな?
私達からも冒険者として最近どうだとか世間話の様な事を色々聞かれた。
「何が商売に繋がるか分からないからね。商人にとって情報は武器であり財産なのさ。」
ルーティアさんはそう言っていた。
私達は3交代で見張りをする事になった。ダキアさんとクロウさんとイクスさん、アリソンさんとエリーゼさん、私とユキさんとルーティアさんの順で交代する。
私達は夜明け前まで寝ていて良いという事で早めに就寝。
「ミナちゃん、起きて。」
アリソンさんに起こされた。
「向こうから様子のおかしい馬車が向かってきているの。今エリーに偵察に出てもらったから。一応装備を整えておいて。」
ユキさんは既に起きていて装備を終えている。私も急いで準備をする。ユキさんが手伝ってくれた。
全員が警戒態勢の中、その馬車はこちらに目掛けて走ってきた。幌に火がついていて殆ど焼け落ちている。
御者台には1人乗っているけどグッタリとしている。気を失っている様だ。
エリーゼさんが馬車に取り付いて御者台に乗り込むと、手綱を引いて速度を落とす。馬車は野営地の手前で止まった。
私とユキさん、アリソンさんは馬車に近づく。念の為ダキアさん、クロウさん、ルーティアさんは周囲を警戒してくれている。
エリーゼさんが御者の人の様子を見ている。
「駄目です。既に亡くなってます。」
矢が何本も刺さっていた。
「矢の質が良いし、魔物じゃなさそうだねー。」
「乗合馬車だったみたいですね。夜間も走るタイプかな。」
ダキアさんが来てくれて御者の人を馬車から降ろしてくれた。
「この男見たことあるぜ。よく酒場で会う奴だ。確かに乗合馬車の御者をやっているって言ってたな…。」
エリーゼさんが祈りを捧げている。
ダキアさんが身内はいないと聞いていたので、野営地から少し離れた所に埋葬する事になった。
馬車を検分する。
幌が焼け落ちたのは火矢みたいなものではなく魔法を撃ち込まれた可能性が高いらしい。
荷台では争われた形跡はない為、一度は投降したのではないかと推測している。
しかし状況が変わり隙をついて馬車を発進、その際に魔法や弓矢での攻撃を受けた。矢を受けた御者はそれが致命傷になり馬は混乱して走り続けていた。
…というのがルーティアさん達の見解らしい。
「野盗や山賊なんてここ数年あった事ありませんよ。」
商人のおじさんは身を震わせながら話している。
「乗合馬車が襲われた事をエリストに報告しなければならないのだが、エリーに行ってもらおうと思う。」
「緊急事態ですからね。私が行ってきますよ。皆さんは先に進んでいてください。」
「とりあえず同じ方向に行く連中は俺達が護衛するか。」
「足は遅くなるがやむを得ないだろう。」
「私達は急いでいる訳じゃないからね。これも何かの縁さね。」
「ありがとうございます。報酬はお支払い致しますので宜しくお願いします。」
確か同じ方向に行くのは2組。2組はエリスト行きだ。
隊列については朝に確認するとして、取り敢えず眠る事になった。
明け方、交代の時間になったので警戒しながら手が空いた時間で朝ごはんの準備をしておく。
みんなが起き出してきたので、準備しておいたスープやパンを出していく。商人のおじさん達はすごく喜んでくれた。
出発の時間になり、エリーゼさんとエリスト行きの組みを見送ってから隊列を組む。
先頭は私達の馬車、御者はイクスさんでアリソンさんと私とユキさんが乗り、2台目の荷馬車にはルーティアさんとダキアさん。3台目の荷馬車にはクロウさんが乗っている。
ルーティアさんは護衛にしては人数が少ないから、もしも襲われたら多少の損害は覚悟しておいてほしいと商人さん達に伝えていた。
私とユキさんも気を引き締めて周囲の警戒をする。
隊列は山間の道をゆっくりと進んでいく。横には小川。逆側は急斜面の坂道を登っていく。
登り切って森の中のなだらかな道をしばらく進むと、馬車が横倒しになっているのを見つけた。
「分かりやすい通せんぼだねー。馬車を止めてー。」
イクスさんがアリソンさんの指示で馬車を止めると、木の陰からゾロゾロと男達が出てくる。手には武器をそれぞれ持っていた。
「大人しく投降すれば命まではとらねぇ。積荷は全部いただく、人も全員だ!」
「それは無理かなー。」
馬車から降りながら答えるアリソンさん。私達も続いて降りる。ウルちゃんも着いてきた。
「なかなかの美人じゃねえか!3人は高く売れそうだぜ!」
後ろの馬車からもダキアさん、ルーティアさん、クロウさんが降りている。どうやら後ろにも男達の仲間がいるらしい。
ウルちゃんが毛を逆立てて低い唸り声をあげている。
戦闘は避けられそうに無いようだ。
大体どの馬車も同じくらいしか進まないので、自然と野営地が同じになり、集まっていた方が安全という理由もあるため、みんなで寄り集まって野営をする。
「ギルドマスター達と一緒なら心強い!」
「ご馳走しますから警備をお願いできませんか?」
「構わないが、私達もやれる事は限られる。各隊1人ずつ見張りは出してくれよ。」
馬車が5台。総勢27名。ワイワイと食事の準備が始まる。
私も食事の準備に回る。ユキさんはアリソンさんと薪を集めに行っている。
テキパキと料理を作ってみんなで楽しくご飯を食べた。私達以外はみんな商人らしく、こういった場は情報交換の機会として使われるそう。
「アルオベイト聖国で聖王様が奇跡を行使したらしい。」
「砂漠に大粒の雨が降り注いで、民は歓喜に沸いたそうだ。」
「しかし喜んでいたのもつかの間、未だに雨は降り止まず、フィーリア大砂漠が洪水に見舞われているとか。」
…天変地異かな?
私達からも冒険者として最近どうだとか世間話の様な事を色々聞かれた。
「何が商売に繋がるか分からないからね。商人にとって情報は武器であり財産なのさ。」
ルーティアさんはそう言っていた。
私達は3交代で見張りをする事になった。ダキアさんとクロウさんとイクスさん、アリソンさんとエリーゼさん、私とユキさんとルーティアさんの順で交代する。
私達は夜明け前まで寝ていて良いという事で早めに就寝。
「ミナちゃん、起きて。」
アリソンさんに起こされた。
「向こうから様子のおかしい馬車が向かってきているの。今エリーに偵察に出てもらったから。一応装備を整えておいて。」
ユキさんは既に起きていて装備を終えている。私も急いで準備をする。ユキさんが手伝ってくれた。
全員が警戒態勢の中、その馬車はこちらに目掛けて走ってきた。幌に火がついていて殆ど焼け落ちている。
御者台には1人乗っているけどグッタリとしている。気を失っている様だ。
エリーゼさんが馬車に取り付いて御者台に乗り込むと、手綱を引いて速度を落とす。馬車は野営地の手前で止まった。
私とユキさん、アリソンさんは馬車に近づく。念の為ダキアさん、クロウさん、ルーティアさんは周囲を警戒してくれている。
エリーゼさんが御者の人の様子を見ている。
「駄目です。既に亡くなってます。」
矢が何本も刺さっていた。
「矢の質が良いし、魔物じゃなさそうだねー。」
「乗合馬車だったみたいですね。夜間も走るタイプかな。」
ダキアさんが来てくれて御者の人を馬車から降ろしてくれた。
「この男見たことあるぜ。よく酒場で会う奴だ。確かに乗合馬車の御者をやっているって言ってたな…。」
エリーゼさんが祈りを捧げている。
ダキアさんが身内はいないと聞いていたので、野営地から少し離れた所に埋葬する事になった。
馬車を検分する。
幌が焼け落ちたのは火矢みたいなものではなく魔法を撃ち込まれた可能性が高いらしい。
荷台では争われた形跡はない為、一度は投降したのではないかと推測している。
しかし状況が変わり隙をついて馬車を発進、その際に魔法や弓矢での攻撃を受けた。矢を受けた御者はそれが致命傷になり馬は混乱して走り続けていた。
…というのがルーティアさん達の見解らしい。
「野盗や山賊なんてここ数年あった事ありませんよ。」
商人のおじさんは身を震わせながら話している。
「乗合馬車が襲われた事をエリストに報告しなければならないのだが、エリーに行ってもらおうと思う。」
「緊急事態ですからね。私が行ってきますよ。皆さんは先に進んでいてください。」
「とりあえず同じ方向に行く連中は俺達が護衛するか。」
「足は遅くなるがやむを得ないだろう。」
「私達は急いでいる訳じゃないからね。これも何かの縁さね。」
「ありがとうございます。報酬はお支払い致しますので宜しくお願いします。」
確か同じ方向に行くのは2組。2組はエリスト行きだ。
隊列については朝に確認するとして、取り敢えず眠る事になった。
明け方、交代の時間になったので警戒しながら手が空いた時間で朝ごはんの準備をしておく。
みんなが起き出してきたので、準備しておいたスープやパンを出していく。商人のおじさん達はすごく喜んでくれた。
出発の時間になり、エリーゼさんとエリスト行きの組みを見送ってから隊列を組む。
先頭は私達の馬車、御者はイクスさんでアリソンさんと私とユキさんが乗り、2台目の荷馬車にはルーティアさんとダキアさん。3台目の荷馬車にはクロウさんが乗っている。
ルーティアさんは護衛にしては人数が少ないから、もしも襲われたら多少の損害は覚悟しておいてほしいと商人さん達に伝えていた。
私とユキさんも気を引き締めて周囲の警戒をする。
隊列は山間の道をゆっくりと進んでいく。横には小川。逆側は急斜面の坂道を登っていく。
登り切って森の中のなだらかな道をしばらく進むと、馬車が横倒しになっているのを見つけた。
「分かりやすい通せんぼだねー。馬車を止めてー。」
イクスさんがアリソンさんの指示で馬車を止めると、木の陰からゾロゾロと男達が出てくる。手には武器をそれぞれ持っていた。
「大人しく投降すれば命まではとらねぇ。積荷は全部いただく、人も全員だ!」
「それは無理かなー。」
馬車から降りながら答えるアリソンさん。私達も続いて降りる。ウルちゃんも着いてきた。
「なかなかの美人じゃねえか!3人は高く売れそうだぜ!」
後ろの馬車からもダキアさん、ルーティアさん、クロウさんが降りている。どうやら後ろにも男達の仲間がいるらしい。
ウルちゃんが毛を逆立てて低い唸り声をあげている。
戦闘は避けられそうに無いようだ。
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