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邪なる者
傷跡
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私達は邪竜ウルディザスター改めウルちゃんを連れて下山する事になった。
流石に邪竜とかウルディザスターとか呼ぶのはマズい。猫にさん付けをするのもどうだろうとなって呼称は『ウル』『ウルちゃん』で決まった。
瀕死レベルまでダメージを与えたけど、回復速度が早いらしく、もう普通に動けるし戦う事だってできると本人は言っていた。流石に全快するには数日かかるらしいけど。
今は私の腕の中に収まっている。
転移陣でゴブリンの巣前まで戻る。
そこにはゴブリンさんとハイオークさんが待っていた。
『終わったのか?』
『はい。』
私は2人に経緯を説明した。
『そうか。人間と戦争にならなくて良かった』
『そうだな。これで我らも静かに暮らせる。』
『色々お世話になりました。』
『それはこちらの方だ。…今度こそお別れだな』
『はい。お二人ともお元気で。』
いつか普通に交流する事ができたらいいのにな…。
『それでは私もダンジョンに帰ります。何かありましたらいつでもお呼びください。』
「はい。ありがとうございました。」
ノスフェランさんは地面に沈んで帰っていく。このまま着いてきたら大騒ぎになっちゃうからね。
それからは歩きながらマイアス山の中で起こった事をどう説明するかを話し合った。
「ゴブリンの魂を使って邪竜を蘇らせようとしたが何かの手違いがあったらしく、邪竜の怒りを買って山が吹き飛んだ。でいいんじゃねえか?」
「それだと邪竜はまだ山にいる事になるね。父…辺境伯が興味本位で探しに行くかも知れない。」
「探させておけばいいんじゃないですか?どうせ居ない訳ですし。」
ここにいるって誰も分からないだろうしね。
いや、鑑定されたらマズいんじゃないかな?ウルちゃんに聞いてみた。
「それなら大丈夫だと思いますよ。私のギフトに情報撹乱LV35があります。このギフトはパッシブです。人間にはこのギフトを看破できる者はいないかと思います。」
その説明だと私が人間じゃないみたいだよ…。
「じゃあそれでいいんじゃないー?。」
アリソンさんが同意する。
ルーティアさんもそれでいいと言っている。未知のものが関わった事については曖昧な位が丁度いいのだそう。
報告についてはとりあえずこれでいいけど、残ったのは謎ばかりだ。
まずゴブリンをあそこで殺していたのは誰だったのか?
ウルちゃんに確認したら、本人はやっていないという。
眠っている間に誰かがあそこにゴブリンを集めて、凄惨な行為を行っていた筈だ。
それは恐らく山の鑑定をした時に居た人間とティターニアの仕業なのだろう。
やっぱり聖国の関係者なのだろうか?
だとしたら何故私達が来る前に居なくなっていたのか?
私達の情報量では真実は分からない。
聖国に問い合わせたら自国にまで色々聞かれてしまいそうだから、こちらからリアクションを起こす事は出来ない。
今後も聖国が何かしてくるかも知れない。注意が必要だ。
ーーーー
エリストに着く頃には夜が明けていた。
門の所には冒険者のみんなや衛兵隊の皆さん。一部町の住人も私達を待っていてくれていた。
私達を見つけると歓声が上がって、大勢が駆け寄って来てくれた。
「ミナさん!ユキさん!」
「ギルマスもサブマスも無事だぞ!」
「ダキアの兄貴!アリソンの姉御!」
「クロウ様!」
「全員無事だ!」
「エリストの英雄達が戻って来たぞ!!」
エルクさん、ロウさん、ニアさんが駆け寄って来てくれた。レイアさん達パーティを組んでいたみんなも私とユキさんの所に来て無事を喜んでくれた。
ニアさんとリーシャさんには抱き着かれて散々撫で回された。凄く心配していたらしく、涙を浮かべていた。
穴熊亭のおじさんと奥さんもいた。2人はユキさんを労っている。
「出迎えは嬉しいけど、取り敢えずギルドに戻ろうじゃないか。報告やらする事がまだたくさん残っているからね。」
ルーティアさんはそう言っているが、みんなが出迎えてくれて嬉しいみたい。
ぞろぞろとみんなと一緒に冒険者ギルドに向かう。
「ミナ、ユキ、後の事は私達がやっておくから今日は宿に帰って休むんだ。疲れているだろう?」
そういえば夜通し動き続けていたんだっけ。お言葉に甘えて休ませてもらおう。
「ありがとうございます。」
「今日1日はゆっくり休んで、明日ギルドで話をしよう。」
「「はい。」」
おじさんと奥さんとクランの女性陣と一緒に宿屋に帰る。
「その猫はどうしたの?」
「森で保護しました。えと、宿に連れていったらマズいでしょうか…?」
「大丈夫よ。うちの宿はビーストテイマーも泊まる事があるし慣れているからね。」
「よかったです。」
「にゃぉん。」
「あら、カワイイ!」
「毛並みが綺麗ね!」
「真っ白で素敵ね。神の御使いかしら。」
いいえ、邪竜です。
流石に邪竜とかウルディザスターとか呼ぶのはマズい。猫にさん付けをするのもどうだろうとなって呼称は『ウル』『ウルちゃん』で決まった。
瀕死レベルまでダメージを与えたけど、回復速度が早いらしく、もう普通に動けるし戦う事だってできると本人は言っていた。流石に全快するには数日かかるらしいけど。
今は私の腕の中に収まっている。
転移陣でゴブリンの巣前まで戻る。
そこにはゴブリンさんとハイオークさんが待っていた。
『終わったのか?』
『はい。』
私は2人に経緯を説明した。
『そうか。人間と戦争にならなくて良かった』
『そうだな。これで我らも静かに暮らせる。』
『色々お世話になりました。』
『それはこちらの方だ。…今度こそお別れだな』
『はい。お二人ともお元気で。』
いつか普通に交流する事ができたらいいのにな…。
『それでは私もダンジョンに帰ります。何かありましたらいつでもお呼びください。』
「はい。ありがとうございました。」
ノスフェランさんは地面に沈んで帰っていく。このまま着いてきたら大騒ぎになっちゃうからね。
それからは歩きながらマイアス山の中で起こった事をどう説明するかを話し合った。
「ゴブリンの魂を使って邪竜を蘇らせようとしたが何かの手違いがあったらしく、邪竜の怒りを買って山が吹き飛んだ。でいいんじゃねえか?」
「それだと邪竜はまだ山にいる事になるね。父…辺境伯が興味本位で探しに行くかも知れない。」
「探させておけばいいんじゃないですか?どうせ居ない訳ですし。」
ここにいるって誰も分からないだろうしね。
いや、鑑定されたらマズいんじゃないかな?ウルちゃんに聞いてみた。
「それなら大丈夫だと思いますよ。私のギフトに情報撹乱LV35があります。このギフトはパッシブです。人間にはこのギフトを看破できる者はいないかと思います。」
その説明だと私が人間じゃないみたいだよ…。
「じゃあそれでいいんじゃないー?。」
アリソンさんが同意する。
ルーティアさんもそれでいいと言っている。未知のものが関わった事については曖昧な位が丁度いいのだそう。
報告についてはとりあえずこれでいいけど、残ったのは謎ばかりだ。
まずゴブリンをあそこで殺していたのは誰だったのか?
ウルちゃんに確認したら、本人はやっていないという。
眠っている間に誰かがあそこにゴブリンを集めて、凄惨な行為を行っていた筈だ。
それは恐らく山の鑑定をした時に居た人間とティターニアの仕業なのだろう。
やっぱり聖国の関係者なのだろうか?
だとしたら何故私達が来る前に居なくなっていたのか?
私達の情報量では真実は分からない。
聖国に問い合わせたら自国にまで色々聞かれてしまいそうだから、こちらからリアクションを起こす事は出来ない。
今後も聖国が何かしてくるかも知れない。注意が必要だ。
ーーーー
エリストに着く頃には夜が明けていた。
門の所には冒険者のみんなや衛兵隊の皆さん。一部町の住人も私達を待っていてくれていた。
私達を見つけると歓声が上がって、大勢が駆け寄って来てくれた。
「ミナさん!ユキさん!」
「ギルマスもサブマスも無事だぞ!」
「ダキアの兄貴!アリソンの姉御!」
「クロウ様!」
「全員無事だ!」
「エリストの英雄達が戻って来たぞ!!」
エルクさん、ロウさん、ニアさんが駆け寄って来てくれた。レイアさん達パーティを組んでいたみんなも私とユキさんの所に来て無事を喜んでくれた。
ニアさんとリーシャさんには抱き着かれて散々撫で回された。凄く心配していたらしく、涙を浮かべていた。
穴熊亭のおじさんと奥さんもいた。2人はユキさんを労っている。
「出迎えは嬉しいけど、取り敢えずギルドに戻ろうじゃないか。報告やらする事がまだたくさん残っているからね。」
ルーティアさんはそう言っているが、みんなが出迎えてくれて嬉しいみたい。
ぞろぞろとみんなと一緒に冒険者ギルドに向かう。
「ミナ、ユキ、後の事は私達がやっておくから今日は宿に帰って休むんだ。疲れているだろう?」
そういえば夜通し動き続けていたんだっけ。お言葉に甘えて休ませてもらおう。
「ありがとうございます。」
「今日1日はゆっくり休んで、明日ギルドで話をしよう。」
「「はい。」」
おじさんと奥さんとクランの女性陣と一緒に宿屋に帰る。
「その猫はどうしたの?」
「森で保護しました。えと、宿に連れていったらマズいでしょうか…?」
「大丈夫よ。うちの宿はビーストテイマーも泊まる事があるし慣れているからね。」
「よかったです。」
「にゃぉん。」
「あら、カワイイ!」
「毛並みが綺麗ね!」
「真っ白で素敵ね。神の御使いかしら。」
いいえ、邪竜です。
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