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竜の国
保護と会議
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難民となった彼らは話し合った結果、私の提案を受け入れてシグルーン聖泉国の保護下に入る事にしたそうだ。
ここで自給自足をするのが無謀だと分かってくれた様で少し安心した。
スプリングフィールドには彼らを受け入れるだけの空きは無いが、颯太の指示で別の場所を切り拓いてくれていたのでそこで新しい生活をしてもらう事になる。
簡易的な家は直ぐに建てられるそうなので、そこで暮らしながら正式な家の建造や田畑の開墾もしてもらう。生活が安定するまではスプリングフィールドや各村が支援する事になるのだが、どの村も快く引き受けてくれた。
救助の時から関わっていたマサ、ナナに彼らの世話をしてもらう事になった。
私達は敵の罠をも跳ね除け、大規模な襲撃も全て撃退した。皆が団結して対処できた結果であるし、颯太達があらゆる事を想定して準備を進めてくれていたお陰だ。
まずは皆を労おうと思う。
街に戻ると防衛戦完全勝利に街の者は湧き上がっていた。先程はいつもと変わらない長閑な雰囲気だったが、完全勝利が確定するまでは皆大人しくしていたらしい。
負傷者も泉の水で回復しており、正に完全勝利だった。
私達が戻ると歓声が湧き上がり、勝利を祝福してくれた。
「みんなありがとう。この結果は日頃の備えと全員の団結があったからです。今後もこの国を守る為に戦っていくけど、犠牲者が出ぬ様に最善を尽くしていきます。まだ暫くはこの様な事が起こるかも知れないから気を抜かない様にお願いします」
広場で街の者達に呼び掛けると皆が目を輝かせて大きく頷いてくれた。
士気も十分、今後も気を引き締めていこう。
屋敷に戻ってからは首脳陣を集めて各所の戦況報告の詳細を確認する事にした。
出席してもらうのは防衛戦に参加した部隊を率いていた隊長と家族。家族達は人の姿で静かに席に着いている。精霊達も全員出席していた。
「スプリングフィールドの防衛戦ではエルフ達に渡しておいた臨界ディアブライト弾頭の矢が役に立ったよ」
颯太が言っているのはこの前作った通信用ディアブライトを低純度に生成して魔力を限界まで充填した物を矢尻に加工した矢の事だ。発射時の衝撃から数秒で爆発する様にコントロールしてあるので、対象に命中しなくても炸裂するようになっている。
「私達でも空中の竜化ドラコニアンを撃ち落とせたのは良かったです。取り回しが難しいので地上戦で使用する場合は更なる訓練が必要ですね」
対空迎撃隊を指揮していたエルフの隊長が報告してくる。
ディアブライト弾頭はトウヤとマサが提案したもので、臨界手前で留めておき魔力を込める事で起爆準備を完了させる様にする事で誘爆を防ぐ工夫もしていた。
弓は飛距離を増す為に上質な物を配備してあり訓練も行き届いていた。それでも難しい事はある。
隊長の言う通り対空攻撃ならば弾頭が炸裂してもこちら側に被害は無いが、これが地上戦となると味方を爆発に巻き込み兼ねない。報告によると中型クラスのドラゴンならば矢の一撃で片翼の八割を吹き飛ばす程の威力なので他部隊への援護には使えないだろう。
「我がいればどの様な大群が押し寄せようとも問題は無いでしょう。一息で塵も残さず吹き飛ばしてやります」
「ありがとうトコヤミ。頼もしいわ」
彼の戦闘力は敵の名のある竜と同等かそれ以上だ。しかし私や家族達が他の国の救援にでている時に大軍が攻めて来た場合のことを考えて、白兵戦時に優位に立つ工夫も必要になるだろうか。
「今回の襲撃はここを狙う事を目的にしていたから対応できたけど、各国へ全面攻勢に出られたら対応できないかも知れないね」
「そうね。ファディアは問題なさそうだけど、他の国は守備兵力が足りていないわ」
颯太の言う通り、今回のノイエスの様に防御の手が回らない街は犠牲になる事を前提に防衛線を敷いている。
それぞれの国が持てる力で出来る限りの事をしているのだ。それに文句を言うつもりはないが、切り捨てられる者達の事を考えるも居た堪れない。
「お母様、私達精霊を各国の防衛にお使い下さい」
そう言って来たのはワダツミだった。
ここで自給自足をするのが無謀だと分かってくれた様で少し安心した。
スプリングフィールドには彼らを受け入れるだけの空きは無いが、颯太の指示で別の場所を切り拓いてくれていたのでそこで新しい生活をしてもらう事になる。
簡易的な家は直ぐに建てられるそうなので、そこで暮らしながら正式な家の建造や田畑の開墾もしてもらう。生活が安定するまではスプリングフィールドや各村が支援する事になるのだが、どの村も快く引き受けてくれた。
救助の時から関わっていたマサ、ナナに彼らの世話をしてもらう事になった。
私達は敵の罠をも跳ね除け、大規模な襲撃も全て撃退した。皆が団結して対処できた結果であるし、颯太達があらゆる事を想定して準備を進めてくれていたお陰だ。
まずは皆を労おうと思う。
街に戻ると防衛戦完全勝利に街の者は湧き上がっていた。先程はいつもと変わらない長閑な雰囲気だったが、完全勝利が確定するまでは皆大人しくしていたらしい。
負傷者も泉の水で回復しており、正に完全勝利だった。
私達が戻ると歓声が湧き上がり、勝利を祝福してくれた。
「みんなありがとう。この結果は日頃の備えと全員の団結があったからです。今後もこの国を守る為に戦っていくけど、犠牲者が出ぬ様に最善を尽くしていきます。まだ暫くはこの様な事が起こるかも知れないから気を抜かない様にお願いします」
広場で街の者達に呼び掛けると皆が目を輝かせて大きく頷いてくれた。
士気も十分、今後も気を引き締めていこう。
屋敷に戻ってからは首脳陣を集めて各所の戦況報告の詳細を確認する事にした。
出席してもらうのは防衛戦に参加した部隊を率いていた隊長と家族。家族達は人の姿で静かに席に着いている。精霊達も全員出席していた。
「スプリングフィールドの防衛戦ではエルフ達に渡しておいた臨界ディアブライト弾頭の矢が役に立ったよ」
颯太が言っているのはこの前作った通信用ディアブライトを低純度に生成して魔力を限界まで充填した物を矢尻に加工した矢の事だ。発射時の衝撃から数秒で爆発する様にコントロールしてあるので、対象に命中しなくても炸裂するようになっている。
「私達でも空中の竜化ドラコニアンを撃ち落とせたのは良かったです。取り回しが難しいので地上戦で使用する場合は更なる訓練が必要ですね」
対空迎撃隊を指揮していたエルフの隊長が報告してくる。
ディアブライト弾頭はトウヤとマサが提案したもので、臨界手前で留めておき魔力を込める事で起爆準備を完了させる様にする事で誘爆を防ぐ工夫もしていた。
弓は飛距離を増す為に上質な物を配備してあり訓練も行き届いていた。それでも難しい事はある。
隊長の言う通り対空攻撃ならば弾頭が炸裂してもこちら側に被害は無いが、これが地上戦となると味方を爆発に巻き込み兼ねない。報告によると中型クラスのドラゴンならば矢の一撃で片翼の八割を吹き飛ばす程の威力なので他部隊への援護には使えないだろう。
「我がいればどの様な大群が押し寄せようとも問題は無いでしょう。一息で塵も残さず吹き飛ばしてやります」
「ありがとうトコヤミ。頼もしいわ」
彼の戦闘力は敵の名のある竜と同等かそれ以上だ。しかし私や家族達が他の国の救援にでている時に大軍が攻めて来た場合のことを考えて、白兵戦時に優位に立つ工夫も必要になるだろうか。
「今回の襲撃はここを狙う事を目的にしていたから対応できたけど、各国へ全面攻勢に出られたら対応できないかも知れないね」
「そうね。ファディアは問題なさそうだけど、他の国は守備兵力が足りていないわ」
颯太の言う通り、今回のノイエスの様に防御の手が回らない街は犠牲になる事を前提に防衛線を敷いている。
それぞれの国が持てる力で出来る限りの事をしているのだ。それに文句を言うつもりはないが、切り捨てられる者達の事を考えるも居た堪れない。
「お母様、私達精霊を各国の防衛にお使い下さい」
そう言って来たのはワダツミだった。
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