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竜の国
天空の竜
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空はどうだろうか?
先程の襲撃者達には翼を持つ者はいなかった。気付かれずに接近出来るかも知れない。
空には何もいない様に見えたが、竜達が飛ぶ高度よりも遥かに高い位置に何が居るのを見つけた。
二対の巨大な翼を持つ蛇の様な姿をしたそれはゆっくりと身体を旋回させながらその場に留まっている。
あれも竜なのだろうか?
クオンやトコヤミち聞いてみるのも良いのだが、ここはメリーゼハーヴに聞いてみるとしよう。
いち早く戦端を開いた彼女達の状況も知りたかったので丁度良い。
颯太にファディアの様子を見てくると伝えると《瞬間移動》で移動した。
移動した先は王城の中庭。普段より兵士の数が多いだけで戦闘中という緊張感はない。
「精霊様!?よ、よ、ようこそお越しくださいました!」
「戦況が説明できる者は呼べるかしら?」
「は、はい!直ちに呼んで参ります!」
慌てて走っていく兵士達。
すぐにファディア国王エルンストと騎士数名がやって来た。
「陛下、ご足労感謝いたします」
「いえ、精霊様こそお越しくださりありがとうございます。戦況ですが──」
既に戦闘は終了しているらしく、被害は沖で漁をしていた船数隻が沈んだだけで乗組員は全員海竜が保護してくれたそうだ。
大量のドラゴンが空から襲来したが、島に近付く前にメリーゼハーヴがとてつもない竜巻を起こして全て撃墜。海中から侵入を試みた者も海竜達によって全て倒された。
船が沈んだのはメリーゼハーヴの所為ね。
「彼女は海かしら?」
「いえ、先程まで城におられたのですが……只今探しております」
「おお!やはり精霊殿だったか!」
話していたらメリーゼハーヴがやってきた。
「妾の事が心配で加勢に来てくれたのか?」
「心配はしていないわ。あなたが手出し無用と言うからそれを信頼していたもの」
「それは嬉しいのう!」
私に抱きついて頬ずりを始めるメリーゼハーヴ。前に芽依にもやっていたわね。
「城の人達が迷惑するからフラフラと勝手に歩き回ってはダメよ」
「うむうむ。しかし捨て置けぬ輩がおったでのう」
私がメリーゼハーヴを押し返しながら言うと、彼女は名残惜しそうにしていた。
「何か入り込んでいたの?」
「うむ。寄生鬼という奴じゃ。兵士の体内に潜んでおったで引き抜いて潰しておいた」
メリーゼハーヴが言うには紐状の寄生虫の様なものらしく、寄生されると意のままに操られてしまうそうだ。
「寄生された兵士は無事なの?」
「うむ。妾の回復魔法で治しておいた」
得意げに話すメリーゼハーヴ。
またサラリととんでもない話をして……
「その寄生鬼というのを探知する方法があるのね?私にも覚えられるかしら」
「精霊殿なら大丈夫じゃろ。手解きしてやるぞ?」
「ええ、お願い」
メリーゼハーヴが教えてくれたのは独特の気配についてだった。
感覚的な話になってしまうが、寄生されている者は生命の波長が乱れているらしい。こればかりは実際に見てみなければ分からないのだが……
「それで精霊殿は何か用があったのではないか?」
「そうだわ。教えて欲しい事があるの」
空に飛んでいる巨大な蛇の様な竜について。
「ふむ、それは間違いなく天空竜じゃな」
「ズロヴァストに与する事はないと言っていた四大竜王ね。でも地上を見張っている様な動きをしていたのだけど」
「ラニターヴァスに直接聞いてみねば分からぬのう。しかしその様な高空では妾は行く事は出来ぬ。クオン殿に行ってもらってはどうじゃろうか?」
「そうね……前の代のシグルーンとは交流があったのよね?」
「交流と言うほどのものではないが、会いに行けば話くらいは出来るじゃろう」
それならばクオンに頼んでみるとしようか。
先程の襲撃者達には翼を持つ者はいなかった。気付かれずに接近出来るかも知れない。
空には何もいない様に見えたが、竜達が飛ぶ高度よりも遥かに高い位置に何が居るのを見つけた。
二対の巨大な翼を持つ蛇の様な姿をしたそれはゆっくりと身体を旋回させながらその場に留まっている。
あれも竜なのだろうか?
クオンやトコヤミち聞いてみるのも良いのだが、ここはメリーゼハーヴに聞いてみるとしよう。
いち早く戦端を開いた彼女達の状況も知りたかったので丁度良い。
颯太にファディアの様子を見てくると伝えると《瞬間移動》で移動した。
移動した先は王城の中庭。普段より兵士の数が多いだけで戦闘中という緊張感はない。
「精霊様!?よ、よ、ようこそお越しくださいました!」
「戦況が説明できる者は呼べるかしら?」
「は、はい!直ちに呼んで参ります!」
慌てて走っていく兵士達。
すぐにファディア国王エルンストと騎士数名がやって来た。
「陛下、ご足労感謝いたします」
「いえ、精霊様こそお越しくださりありがとうございます。戦況ですが──」
既に戦闘は終了しているらしく、被害は沖で漁をしていた船数隻が沈んだだけで乗組員は全員海竜が保護してくれたそうだ。
大量のドラゴンが空から襲来したが、島に近付く前にメリーゼハーヴがとてつもない竜巻を起こして全て撃墜。海中から侵入を試みた者も海竜達によって全て倒された。
船が沈んだのはメリーゼハーヴの所為ね。
「彼女は海かしら?」
「いえ、先程まで城におられたのですが……只今探しております」
「おお!やはり精霊殿だったか!」
話していたらメリーゼハーヴがやってきた。
「妾の事が心配で加勢に来てくれたのか?」
「心配はしていないわ。あなたが手出し無用と言うからそれを信頼していたもの」
「それは嬉しいのう!」
私に抱きついて頬ずりを始めるメリーゼハーヴ。前に芽依にもやっていたわね。
「城の人達が迷惑するからフラフラと勝手に歩き回ってはダメよ」
「うむうむ。しかし捨て置けぬ輩がおったでのう」
私がメリーゼハーヴを押し返しながら言うと、彼女は名残惜しそうにしていた。
「何か入り込んでいたの?」
「うむ。寄生鬼という奴じゃ。兵士の体内に潜んでおったで引き抜いて潰しておいた」
メリーゼハーヴが言うには紐状の寄生虫の様なものらしく、寄生されると意のままに操られてしまうそうだ。
「寄生された兵士は無事なの?」
「うむ。妾の回復魔法で治しておいた」
得意げに話すメリーゼハーヴ。
またサラリととんでもない話をして……
「その寄生鬼というのを探知する方法があるのね?私にも覚えられるかしら」
「精霊殿なら大丈夫じゃろ。手解きしてやるぞ?」
「ええ、お願い」
メリーゼハーヴが教えてくれたのは独特の気配についてだった。
感覚的な話になってしまうが、寄生されている者は生命の波長が乱れているらしい。こればかりは実際に見てみなければ分からないのだが……
「それで精霊殿は何か用があったのではないか?」
「そうだわ。教えて欲しい事があるの」
空に飛んでいる巨大な蛇の様な竜について。
「ふむ、それは間違いなく天空竜じゃな」
「ズロヴァストに与する事はないと言っていた四大竜王ね。でも地上を見張っている様な動きをしていたのだけど」
「ラニターヴァスに直接聞いてみねば分からぬのう。しかしその様な高空では妾は行く事は出来ぬ。クオン殿に行ってもらってはどうじゃろうか?」
「そうね……前の代のシグルーンとは交流があったのよね?」
「交流と言うほどのものではないが、会いに行けば話くらいは出来るじゃろう」
それならばクオンに頼んでみるとしようか。
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