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竜の国
古の竜
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「シグルーン、あなたには話したい事が沢山あるの」
『聞かせてくれ。あの状態からどの様にしてここまで世界を再生してきたのかを』
シグルーンも私の話を聞きたがっている。
この場で話すには時間がかかり過ぎるし、まずシグルーンの立場をはっきりとさせておきたい。
「その前に、あなたは私達と敵対するつもりなの?」
『ズロヴァストは親同然だが、やり方が気に入らない。ハル達が奴を倒すと言うのなら協力しよう』
「本当にいいの?」
『構わぬよ。この世界はハルが作り上げてきたのだろう?奴はそれを破壊しようとしているのだ』
記憶の戻ったシグルーンは理性的にズロヴァストを分析し、こちらの味方をしてくれると言う。
「お主、記憶が戻ったのか」
メリーゼハーヴも嬉しそうだ。
『すまぬ、我の記憶は今代のシグルーンのものとハルが生まれたばかりの頃の記憶しかないのだ』
「そうか……ならば名乗らせてもらおう。妾はメリーゼハーヴ。海竜を統べる者、大洋竜メリーゼハーヴじゃ。先代のお主と天空竜、大地竜の四体で四大竜王と呼ばれていた事もあった」
『機会があれば先代の我の事も聞かせてほしい』
四大竜王の話は初めて聞くわね。
「メリーゼハーヴ、天空竜と大地竜は今何をしているの?」
「天空竜は知らんが、大地竜はシグルーンが挑む前に倒されておるな」
「天空竜がズロヴァストに与する可能性はある?」
「ないじゃろうな。シグルーンとラグガイア……大地竜を殺した者の味方などせぬよ」
地上の者はともかく古い竜達が敵になるのは危険だ。私達ならば勝つ事は容易いだろうが大きな被害が出てしまう。
今の所は大丈夫そうだが。
「シグルーン、泉で話をしたいのだけどいいかしら?」
『うむ。我も泉を見てみたいと思っていた所だ』
そうと決まれば海竜達に防備について説明をして私達は帰る事にする。
メリーゼハーヴも来たがっていたが、今は眷属達の所に居るように言って聞かせておいた。
『おぉ……ここがあの時の場所なのか……』
巨木に囲まれて静かに水を湛える大きな泉を見て、シグルーンは感嘆の声を上げる。
『ハル様、その者は?』
気配で気付いたのだろう、トコヤミが一番に飛んで来た。
「シグルーンよ。私がこの世界に来て初めて会った竜」
『忠義に厚い者よ、我はシグルーン。記憶を取り戻しハルに味方する事にした。よろしく頼む』
『そうだったか。我はトコヤミ。ハル様の眷属だ』
名乗り合う両者。並んで見るとトコヤミの方がかなり大きいのが分かる。
『とはいえ我が皆と肩を並べて戦える様になるには百年単位で時間が掛かるだろうな』
「それなのだけど、私と眷属にならない?そうすれば幾らかは強くなるはずよ」
『ふむ。それは有難い申し出だ。是非頼む』
シグルーンは頭を下げて私に顔を近付けてくる。
「分かったわ。不滅竜シグルーン、あなたを私の眷属とします」
私が頬に手を当ててそう言うと、シグルーンの鱗が虹色に輝き出した。
身体はトコヤミと同じくらいに大きなった。
『素晴らしい……ハルよ、力を授けてかれてありがとう。これで共に戦える』
シグルーンは嬉しそうに言ってくる。
「私もよ。家族達を紹介するわ」
皆の事も紹介したい。
「精霊殿よ、シグルーンはこの国と同じ名前じゃが良いのか?」
『なんと、我の名前をハルの国に付けてくれたのか……』
メリーゼハーヴが言うとシグルーンは驚いていた。
「ええ。まさか本人が現れるとは思っていなかったもの」
『ふむ……それでは我の名前を変えようではないか』
「名前を変えるって……それなら後で付けた国名の方を変えるわ」
それが道理だろう。
「それは流石に無理じゃろ。もう既に諸外国に通達しておるからのぅ」
「確かに今から変えるのは大変かもしれないわ。でもシグルーンから名前を奪う事は出来ないわ」
『ならばハルが名付けてくれないか?我はハルが付けてくれた名前ならば嬉しいぞ』
シグルーンは名前を変えると言って譲らなかったので新しい名前をつける事になった。
『聞かせてくれ。あの状態からどの様にしてここまで世界を再生してきたのかを』
シグルーンも私の話を聞きたがっている。
この場で話すには時間がかかり過ぎるし、まずシグルーンの立場をはっきりとさせておきたい。
「その前に、あなたは私達と敵対するつもりなの?」
『ズロヴァストは親同然だが、やり方が気に入らない。ハル達が奴を倒すと言うのなら協力しよう』
「本当にいいの?」
『構わぬよ。この世界はハルが作り上げてきたのだろう?奴はそれを破壊しようとしているのだ』
記憶の戻ったシグルーンは理性的にズロヴァストを分析し、こちらの味方をしてくれると言う。
「お主、記憶が戻ったのか」
メリーゼハーヴも嬉しそうだ。
『すまぬ、我の記憶は今代のシグルーンのものとハルが生まれたばかりの頃の記憶しかないのだ』
「そうか……ならば名乗らせてもらおう。妾はメリーゼハーヴ。海竜を統べる者、大洋竜メリーゼハーヴじゃ。先代のお主と天空竜、大地竜の四体で四大竜王と呼ばれていた事もあった」
『機会があれば先代の我の事も聞かせてほしい』
四大竜王の話は初めて聞くわね。
「メリーゼハーヴ、天空竜と大地竜は今何をしているの?」
「天空竜は知らんが、大地竜はシグルーンが挑む前に倒されておるな」
「天空竜がズロヴァストに与する可能性はある?」
「ないじゃろうな。シグルーンとラグガイア……大地竜を殺した者の味方などせぬよ」
地上の者はともかく古い竜達が敵になるのは危険だ。私達ならば勝つ事は容易いだろうが大きな被害が出てしまう。
今の所は大丈夫そうだが。
「シグルーン、泉で話をしたいのだけどいいかしら?」
『うむ。我も泉を見てみたいと思っていた所だ』
そうと決まれば海竜達に防備について説明をして私達は帰る事にする。
メリーゼハーヴも来たがっていたが、今は眷属達の所に居るように言って聞かせておいた。
『おぉ……ここがあの時の場所なのか……』
巨木に囲まれて静かに水を湛える大きな泉を見て、シグルーンは感嘆の声を上げる。
『ハル様、その者は?』
気配で気付いたのだろう、トコヤミが一番に飛んで来た。
「シグルーンよ。私がこの世界に来て初めて会った竜」
『忠義に厚い者よ、我はシグルーン。記憶を取り戻しハルに味方する事にした。よろしく頼む』
『そうだったか。我はトコヤミ。ハル様の眷属だ』
名乗り合う両者。並んで見るとトコヤミの方がかなり大きいのが分かる。
『とはいえ我が皆と肩を並べて戦える様になるには百年単位で時間が掛かるだろうな』
「それなのだけど、私と眷属にならない?そうすれば幾らかは強くなるはずよ」
『ふむ。それは有難い申し出だ。是非頼む』
シグルーンは頭を下げて私に顔を近付けてくる。
「分かったわ。不滅竜シグルーン、あなたを私の眷属とします」
私が頬に手を当ててそう言うと、シグルーンの鱗が虹色に輝き出した。
身体はトコヤミと同じくらいに大きなった。
『素晴らしい……ハルよ、力を授けてかれてありがとう。これで共に戦える』
シグルーンは嬉しそうに言ってくる。
「私もよ。家族達を紹介するわ」
皆の事も紹介したい。
「精霊殿よ、シグルーンはこの国と同じ名前じゃが良いのか?」
『なんと、我の名前をハルの国に付けてくれたのか……』
メリーゼハーヴが言うとシグルーンは驚いていた。
「ええ。まさか本人が現れるとは思っていなかったもの」
『ふむ……それでは我の名前を変えようではないか』
「名前を変えるって……それなら後で付けた国名の方を変えるわ」
それが道理だろう。
「それは流石に無理じゃろ。もう既に諸外国に通達しておるからのぅ」
「確かに今から変えるのは大変かもしれないわ。でもシグルーンから名前を奪う事は出来ないわ」
『ならばハルが名付けてくれないか?我はハルが付けてくれた名前ならば嬉しいぞ』
シグルーンは名前を変えると言って譲らなかったので新しい名前をつける事になった。
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