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竜の国
シグルーン聖泉国
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かなり悩んだが、あまり良い案が浮かばない。
「ハルの国でいいんじゃないか?対外的に泉の精霊の国だと分かりやすい方がいいだろう」
「それは少し恥ずかしいわ。」
マサの意見はもっともだが、自分の名前を冠した国名には抵抗がある。
「お母さんが付けたい名前を付ければいいんだよ。ずっと泉を守ってきたんでしょ?思い入れのある物とかないのかな?」
「そうね……」
芽依がそう言ってくる。
私はこの世界に転生して一人で世界を再生してきた訳ではない。
初めに出会った古竜シグルーンが力の使い方を教えてくれたから、遺骸が泉の周りを暖めてくていたからなのだ。シグルーンの爪があったから泉を再生する事が出来た。今となっては彼か彼女か分からないが、シグルーンの名前を付けたいと思う。
皆にその事を伝えるとそれぞれ何か言いたそうに俯いてしまった。
「素晴らしい名前だと思います……」
「ええ。しかし……」
「私の我儘でごめんなさいね。みんなは気を遣ってくれているけど、遠慮なく意見を言ってもらいたいわ」
口籠る族長達に対して優しく声を掛ける。それでも遠慮してか、中々話してはくれない。
「シグルーンだけだと何の国か分からないな」
「そうですね。では泉の名前を加えてみてはどうでしょうか?」
マサとトウヤが話している。
「分かりやすく聖なる泉を加えたらどうだろうか?それなら大抵の者が泉の精を思い浮かべるだろう」
そう提案してきたのはゼムロス。
「シグルーン聖泉国……いいんじゃないかな」
「うん!カッコいいよ!」
颯太と芽依は気に入ってくれた様だ。
族長達も泉の名前が入った事で納得してくれている。
「それでは私達はこれからシグルーン聖泉国と名乗ることにします」
私がそう宣言すると皆立ち上がり拍手をしていた。
それからは同盟各国へ正式に国として名前を付けた事を報告した。
どの国も私達を国家である事を認めてくれ歓迎してくれる。
やはり名前が無かった事、国ではなかった事を危惧していた者は多かったらしく、『これからは正式に国としてのお付き合いができますな』と早速貿易の話も上がっていた。
名前を付けただけでは国としては立ち行かない。国としての構造も固めなければならない。
既存の種族長がそれぞれを取り纏める形式はそのままに種族間の協力体制の拡充。一部種族においては渡航者の受け入れも行う事が決まり、全ての種族に貨幣を導入するべきだとの声も上がった。
現在使用されている貨幣は大きく分けてエルドとレムズだ。私達は魔族の国ウルゼイドとディアブレルに挟まれている様な立地であるのでレムズを基本通貨にするべきだと思う。
「どちらも扱える様にしておいた方がいいよ。これから渡航者が来るのなら尚更にね」
颯太の言う通りか。
ならば相場を理解しなければならない。
しかしこれは日に日に変動するものではないのだろうか?それを一つずつ調べていたら徒歩もない労力がかかる上に、調べ終わる頃には価値が変わっているかも知れない。
「お母さんの能力で調べられないかな?」
「その手があったわね」
《物質変換》を十エルド硬貨を持ってレムズ硬貨をイメージする。すると十レムズ硬貨に変換する事が出来た。
「スゴいスゴい!」
「いや、母さんの《物質変換》は物質が同価値なら何にでも変える事が出来てしまうんじゃないかな?つまり──」
喜ぶ芽依とは逆に、颯太は物の価値について詳しく調べる必要があると言っている。
エルド硬貨とレムズ硬貨の物質的価値が同じでも、貨幣価値が同じとは限らない。
やはりこれは専門家に相談するべきだろう。
☆★☆★☆★☆★
「お話はよく分かりました」
数日後、イルザハーンに泉に来てもらい話を聞いてもらっていた。
「相場については私共でお教えする事は可能です。すぐにでも手配致しましょう。それとは別に提案がございます」
「提案?」
「はい。シグルーン独自の貨幣をお造りになられては如何でしょう?その方が今住われている皆さんは分かりやすいかと」
確かにそれも良い考えだわ。
ザハーンと詳しく話してみるのも面白そうね。
「ハルの国でいいんじゃないか?対外的に泉の精霊の国だと分かりやすい方がいいだろう」
「それは少し恥ずかしいわ。」
マサの意見はもっともだが、自分の名前を冠した国名には抵抗がある。
「お母さんが付けたい名前を付ければいいんだよ。ずっと泉を守ってきたんでしょ?思い入れのある物とかないのかな?」
「そうね……」
芽依がそう言ってくる。
私はこの世界に転生して一人で世界を再生してきた訳ではない。
初めに出会った古竜シグルーンが力の使い方を教えてくれたから、遺骸が泉の周りを暖めてくていたからなのだ。シグルーンの爪があったから泉を再生する事が出来た。今となっては彼か彼女か分からないが、シグルーンの名前を付けたいと思う。
皆にその事を伝えるとそれぞれ何か言いたそうに俯いてしまった。
「素晴らしい名前だと思います……」
「ええ。しかし……」
「私の我儘でごめんなさいね。みんなは気を遣ってくれているけど、遠慮なく意見を言ってもらいたいわ」
口籠る族長達に対して優しく声を掛ける。それでも遠慮してか、中々話してはくれない。
「シグルーンだけだと何の国か分からないな」
「そうですね。では泉の名前を加えてみてはどうでしょうか?」
マサとトウヤが話している。
「分かりやすく聖なる泉を加えたらどうだろうか?それなら大抵の者が泉の精を思い浮かべるだろう」
そう提案してきたのはゼムロス。
「シグルーン聖泉国……いいんじゃないかな」
「うん!カッコいいよ!」
颯太と芽依は気に入ってくれた様だ。
族長達も泉の名前が入った事で納得してくれている。
「それでは私達はこれからシグルーン聖泉国と名乗ることにします」
私がそう宣言すると皆立ち上がり拍手をしていた。
それからは同盟各国へ正式に国として名前を付けた事を報告した。
どの国も私達を国家である事を認めてくれ歓迎してくれる。
やはり名前が無かった事、国ではなかった事を危惧していた者は多かったらしく、『これからは正式に国としてのお付き合いができますな』と早速貿易の話も上がっていた。
名前を付けただけでは国としては立ち行かない。国としての構造も固めなければならない。
既存の種族長がそれぞれを取り纏める形式はそのままに種族間の協力体制の拡充。一部種族においては渡航者の受け入れも行う事が決まり、全ての種族に貨幣を導入するべきだとの声も上がった。
現在使用されている貨幣は大きく分けてエルドとレムズだ。私達は魔族の国ウルゼイドとディアブレルに挟まれている様な立地であるのでレムズを基本通貨にするべきだと思う。
「どちらも扱える様にしておいた方がいいよ。これから渡航者が来るのなら尚更にね」
颯太の言う通りか。
ならば相場を理解しなければならない。
しかしこれは日に日に変動するものではないのだろうか?それを一つずつ調べていたら徒歩もない労力がかかる上に、調べ終わる頃には価値が変わっているかも知れない。
「お母さんの能力で調べられないかな?」
「その手があったわね」
《物質変換》を十エルド硬貨を持ってレムズ硬貨をイメージする。すると十レムズ硬貨に変換する事が出来た。
「スゴいスゴい!」
「いや、母さんの《物質変換》は物質が同価値なら何にでも変える事が出来てしまうんじゃないかな?つまり──」
喜ぶ芽依とは逆に、颯太は物の価値について詳しく調べる必要があると言っている。
エルド硬貨とレムズ硬貨の物質的価値が同じでも、貨幣価値が同じとは限らない。
やはりこれは専門家に相談するべきだろう。
☆★☆★☆★☆★
「お話はよく分かりました」
数日後、イルザハーンに泉に来てもらい話を聞いてもらっていた。
「相場については私共でお教えする事は可能です。すぐにでも手配致しましょう。それとは別に提案がございます」
「提案?」
「はい。シグルーン独自の貨幣をお造りになられては如何でしょう?その方が今住われている皆さんは分かりやすいかと」
確かにそれも良い考えだわ。
ザハーンと詳しく話してみるのも面白そうね。
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