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竜の国

熱戦

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次の試合はセロと槍使いの対戦だ。

相手の持つ槍は穂先の部分が長剣の様に長く刺突以外にも斬撃にも適した形状をしていた。

「俺はレイナルドだ。よろしくな少年」
「セロです。よろしくお願いします」

金髪の爽やかそうな青年はセロと軽く挨拶をしてから槍を構える。
セロもそれに合わせて剣を構えた。

銅鑼が打ち鳴らされ試合が始まる。

先に動いたのはレイナルド。槍を引きながら軽いステップでセロに近付くと鋭い突きを繰り出す。セロは半歩下がって盾で弾く。槍はすぐさま引き戻され次の攻撃が飛んでくる。それも盾で防いでいるが、間合いが遠すぎて反撃が出来ない。

「彼は上手いね。あの槍捌きだと間合いが読み難い」

フランシスが感心した様に呟く。槍の長さは変える事は出来ないが、引き戻す距離や身体の使い方でレイナルドの攻撃間合いが大きく変化している。攻撃の動作は大きな変化はなく、動きを見て攻撃間合いを予測する事も難しい。あれでは防ぐのも困難だろう。

セロは冷静に盾で攻撃を防いでいた。剣は後ろに引き、盾に身を隠す様にしながら確実に相手の突きを受け流す。彼は集中していた。

「固さが取れて集中出来ているな。あれなら何とかなりそうだ」

セロの様子を見て不敵に笑うトコヤミ。予選の時は厳しい事を言っていたが、セロを高く買っている様だ。

暫くは防戦一方だったセロだが、レイナルドが槍を引くのに併せて前進する。
槍は間合いが広いが懐に入られると小回りが効かない為、剣の方が有利になる。

このままセロの反撃が始まるかと思ったがレイナルドもそれは対策していた。
槍の柄の部分を外すと右手に持った剣の部分で斬り込んでくる。

面食らったセロは剣で斬撃を受け止めるが、レイナルドは素早く剣を引くと左手にある棒の方で左脚を打ち据える。

柄の方も金属製で、脚に直撃したセロは大きくバランスを崩し転倒する。

そこにレイナルドが剣を振り降ろすがセロも諦めていない。
倒れても離さなかった盾で剣を受け流すと地面を転がって距離を取り立ち上がった。

「驚いたな。脚は完全に破壊したと思っていたのだが」
「我慢強いだけですよ」

セロは普通に構えをとりながら答える。

「セロは苦痛に耐性があります。ハル様程ではありませんが彼も多少のダメージでは戦意を失ったりはしないでしょう」

カクカミはセロの戦いぶりを見て頷きながら言っている。

セロの左脚は多少のダメージで済んでいるのだろうか?もし重傷を負っているなら直ちに棄権してほしいが……

武器を槍に戻したレイナルドが距離を詰める。今度はセロも前に出た。

レイナルドの繰り出す鋭い突きを潜り抜けてセロが間合いを詰める。

先程と同じだ。剣と柄を分離してセロの攻撃に併せて両手からの攻撃がセロを襲う。

セロは盾を正面に構えて飛び込んだ。
棒の方は盾で弾いたがセロの右腕を狙った斬撃は防ぎきれない。右腕に剣が深々と突き刺さる。しかしセロも盾の下から剣を突き出していた。切先がレイナルドの左脇腹に突き刺さっていた。

「ぐ……はっ……」

レイナルドは剣と棒を取り落としその場に倒れる。

銅鑼が打ち鳴らされてセロの勝利が確定した。

セロはレイナルドの傷口を押さえて救護係を呼んでいた。

あの程度なら任せておいても大丈夫だが、彼二人のの健闘を称えるつもりで、私は水を生成して振りかけた。

「やっぱ痛えな……いや、痛くない……傷が塞がっている?」
「ハルさんが治療してくれました。もう大丈夫です」

セロが手を貸してレイナルドが立ち上がる。

「流石は精霊様のパーティメンバーだ。完敗だよ」
「いえ、運が良かっただけですよ。腕を切り落とされていたら俺の負けでした」
「しかしセロはよく我慢できるな?脚だって折れていた筈だ」
「修行しているうちに慣れてしまったみたいで」

セロは笑いながらレイナルドと話をしていた。
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