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竜の国
性質の違う剣士
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先に動いたのは芽依だった。
開始の銅鑼と同時に一気に間合いを詰めると流れる様な連撃でライブラに反撃の隙を与えない。
ライブラも冷静で、芽依の攻撃を的確に受け流しながら反撃の隙を探っている様だ。
二人の洗練された動きを見て観客は静まり返っていた。
「ハルさんにはお二人がどの様に動いているか見えますか?」
「ええ」
隣のエリオットが聞いてきて分かったが、どうやら二人の動きに目がついて来ない様だ。観客の殆どがそうなのかも知れない。
芽依は剣での攻撃をライブラに見切られていると判断して一度距離を取り魔法による攻撃を織り交ぜる。
ライブラは芽依の放った火球を剣で斬り裂き、続いて撃った雷撃を剣で受け止めた。
「メイさん、詠唱していますか……?」
「あれくらいの魔法なら集中するだけで放てます」
私は二人から目を離さずに答える。エリオットは絶句していた。
雷撃が剣を伝いライブラの腕に纏わりつく。一瞬動きの止まったライブラに対して再度接近、深く踏み込んで突きを放つ。
動作が一瞬遅れたがライブラは剣を引き戻し後ろに飛びながら剣を弾く。
芽依の突きは鋭かった。弾いた剣が火花を散らしライブラの後ろへ流れる。
突きの衝撃は空気を切り裂きライブラの右腕に浅い切り傷を作る。
ライブラもやられるばかりではない。
芽依の剣が後方に流れるのを見て剣の柄で芽依の腹部を強打。芽依は後ろに大きく吹き飛ばされた。
「いたた……」
「流石はメイ様です。今のを受けて倒れないとは」
「折角の真剣勝負だもん。直ぐに終わらせるなんて勿体ないよ」
着地して膝をついていた芽依はそう
ライブラに答えながらゆっくりと立ち上がる。
「それではこちらも反撃させていただきます」
ライブラは一瞬で芽依の目の前まで距離を詰めると右の胴を狙った薙払いを放つ。
芽依はそれを剣で受け止めようとするが、ライブラの攻撃は想像以上に重かった。慌てて両手で剣を支えて何とか凌いだが、その直後に逆方向から蹴りが飛んでくる。
こちらは避ける事も防ぐ事も出来ずに直撃、その蹴りの威力は桁外れで芽依は弾かれた様に真横に飛んでいった。
「なんてデタラメな攻撃なんだ……しかもあの威力、彼女の体幹はどうなっているんだ……?」
エリオットの逆隣にいたフランシスが驚きの声を上げていた。
芽依は二転三転と地面を転がりながらも受け身を取ってすぐに起き上がっていた。そこにライブラが追撃を加えようと動こうとする。
しかし足が動かない。
ライブラの左足は地面に飲み込まれていた。土が盛り上がり彼女の足首までを飲み込んだ状態で石の様に硬くなり身動きを取れなくしていた。
芽依は先程着地した時に地面に魔法で罠を作っていた様だ。
ライブラが身動きを取れないのを見て芽依が距離を詰める。左手で雷撃を放ってライブラに防御姿勢を取らせると直前で跳躍。ライブラを飛び越える様にして背後から連撃。それを見たライブラは雷撃を剣で防ぐのを諦めて逆手に持ち替えると後ろ向きのまま芽依の剣を受け流している。
しかしライブラは足が動かず力の入り難い姿勢のまま芽依の攻撃を受け続ける事は出来なかった。腕や脚に大小様々な傷を作りながらも抵抗していたが、芽依に剣を弾き落とされて首元に剣先を突き付けられると降参した。
殆ど何が起こっていたのか分からなかった観客達は、最後の攻防が終わったのを見て、ようやく歓声を上げる。少し遅れて銅鑼が打ち鳴らされた。
芽依はライブラの足の拘束を解いて拾った剣を手渡している。
「参りました」
「この条件なら私の方が有利だったみたい。またやろうね!今度はもっともっと修行して強くなるから」
「はい。私も精進致します」
二人は互いを称え合い観客席からは拍手が起こっていた。
開始の銅鑼と同時に一気に間合いを詰めると流れる様な連撃でライブラに反撃の隙を与えない。
ライブラも冷静で、芽依の攻撃を的確に受け流しながら反撃の隙を探っている様だ。
二人の洗練された動きを見て観客は静まり返っていた。
「ハルさんにはお二人がどの様に動いているか見えますか?」
「ええ」
隣のエリオットが聞いてきて分かったが、どうやら二人の動きに目がついて来ない様だ。観客の殆どがそうなのかも知れない。
芽依は剣での攻撃をライブラに見切られていると判断して一度距離を取り魔法による攻撃を織り交ぜる。
ライブラは芽依の放った火球を剣で斬り裂き、続いて撃った雷撃を剣で受け止めた。
「メイさん、詠唱していますか……?」
「あれくらいの魔法なら集中するだけで放てます」
私は二人から目を離さずに答える。エリオットは絶句していた。
雷撃が剣を伝いライブラの腕に纏わりつく。一瞬動きの止まったライブラに対して再度接近、深く踏み込んで突きを放つ。
動作が一瞬遅れたがライブラは剣を引き戻し後ろに飛びながら剣を弾く。
芽依の突きは鋭かった。弾いた剣が火花を散らしライブラの後ろへ流れる。
突きの衝撃は空気を切り裂きライブラの右腕に浅い切り傷を作る。
ライブラもやられるばかりではない。
芽依の剣が後方に流れるのを見て剣の柄で芽依の腹部を強打。芽依は後ろに大きく吹き飛ばされた。
「いたた……」
「流石はメイ様です。今のを受けて倒れないとは」
「折角の真剣勝負だもん。直ぐに終わらせるなんて勿体ないよ」
着地して膝をついていた芽依はそう
ライブラに答えながらゆっくりと立ち上がる。
「それではこちらも反撃させていただきます」
ライブラは一瞬で芽依の目の前まで距離を詰めると右の胴を狙った薙払いを放つ。
芽依はそれを剣で受け止めようとするが、ライブラの攻撃は想像以上に重かった。慌てて両手で剣を支えて何とか凌いだが、その直後に逆方向から蹴りが飛んでくる。
こちらは避ける事も防ぐ事も出来ずに直撃、その蹴りの威力は桁外れで芽依は弾かれた様に真横に飛んでいった。
「なんてデタラメな攻撃なんだ……しかもあの威力、彼女の体幹はどうなっているんだ……?」
エリオットの逆隣にいたフランシスが驚きの声を上げていた。
芽依は二転三転と地面を転がりながらも受け身を取ってすぐに起き上がっていた。そこにライブラが追撃を加えようと動こうとする。
しかし足が動かない。
ライブラの左足は地面に飲み込まれていた。土が盛り上がり彼女の足首までを飲み込んだ状態で石の様に硬くなり身動きを取れなくしていた。
芽依は先程着地した時に地面に魔法で罠を作っていた様だ。
ライブラが身動きを取れないのを見て芽依が距離を詰める。左手で雷撃を放ってライブラに防御姿勢を取らせると直前で跳躍。ライブラを飛び越える様にして背後から連撃。それを見たライブラは雷撃を剣で防ぐのを諦めて逆手に持ち替えると後ろ向きのまま芽依の剣を受け流している。
しかしライブラは足が動かず力の入り難い姿勢のまま芽依の攻撃を受け続ける事は出来なかった。腕や脚に大小様々な傷を作りながらも抵抗していたが、芽依に剣を弾き落とされて首元に剣先を突き付けられると降参した。
殆ど何が起こっていたのか分からなかった観客達は、最後の攻防が終わったのを見て、ようやく歓声を上げる。少し遅れて銅鑼が打ち鳴らされた。
芽依はライブラの足の拘束を解いて拾った剣を手渡している。
「参りました」
「この条件なら私の方が有利だったみたい。またやろうね!今度はもっともっと修行して強くなるから」
「はい。私も精進致します」
二人は互いを称え合い観客席からは拍手が起こっていた。
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