400 / 452
竜の国
本戦一回戦
しおりを挟む
私達のパーティの七人全員が本戦出場を決めた。私はリンとミラは無理だろうと思っていたのだが、運も味方して最高の結果になった。
今日は残りの予選が行われて終了。明日は本戦一回戦が八試合行われる。
私は颯太を連れて、予選突破を成し遂げた皆に会いに選手達の控室に向かった。
本戦出場者は控室で明日のスケジュールの説明がらしく、残りの試合が終わるのを待たされている状態だ。一つの部屋に集められているだけで面会が出来ない訳ではなく、警備の者に話したら中に入れてくれた。
「お母さんお兄ちゃん見てた?全員本戦出場だよ!」
芽依が私と颯太の所に走ってきて満面の笑顔で言ってくる。
「ええ、見ていたわ。みんなおめでとう」
「みんな凄かったよ。おめでとう」
「ありがとうございます!」
皆、興奮していた。全員が残れるとは思っていなかったのかも知れない。
「これで当初の目的は達成できましたね。ここで棄権しても問題は無いと思いますが」
表情ひとつ変えずにそう言ったのはライブラ。
「折角ここまできたんだから何処までいけるか試してみたい」
「私も!ここで棄権したら勝ちを譲ってくれた人達に悪いよ」
「私も同じです」
セロ達三人はやる気だ。芽依、エレ、マイは聞くまでもない。
「分かりました。私も棄権は致しません」
「うん!みんなで頑張ろうね!」
「そうね。ここで棄権したら予選で戦った者に失礼だわ。みんなくれぐれも無理はしない様にね」
本戦出場者が全員揃うにはまだまだ時間が掛かる。私と颯太は芽依達と暫く話をしてから観戦に戻る事にした。
「おめでとうございますハルさん」
「ありがとう」
席に戻るとエリオットが祝福の言葉をくれたので礼を言っておく。
「明日は国王陛下からお言葉をいただいて本戦一回戦が始まります。対戦はその場で抽選され、一試合ずつ行われます。それでその……もしハルさんが望まれるなら、一回戦は全員が対戦しない様にする事もできますが」
「そんな事はしなくて大丈夫ですよ。あの子達は誰と当たっても正々堂々と戦い満足するでしょうから」
エリオットが持ちかけてきたのはイカサマだ。そんな事をして芽依達の戦いを汚したくない。勿論エリオットに悪気があった訳でもないのだろう。王族と庶民との認識の違いと思っておく事にした。
予選ブロックはあと二つ。今の勝者は受付で前に並んでいた大男、ゼムロスが本戦出場を決めていた。
見た目通りの豪快な試合運びで対戦相手を次々と倒していく様は見ていて気持ちが良かった。
彼について注目すべきはその恵まれた身体から繰り出される豪快な一撃ではなく、周囲の状況を正確に把握して行動を決めていた所だろう。ああ見えて頭脳派なのではないかと思う。
「やはり妾も出たかったのぅ。見ているだけでは身体が疼いてしまうのじゃ。精霊殿よ、妾とあの場で戦ってみぬか?」
「武術大会に水を差すような事をしたくないわ。今回は諦めなさい」
「つれないのぅ」
メリーゼハーヴはガッカリした様子で始まった予選を眺めていた。
やがて全ての本戦出場者が出揃い、本日は解散になる。
ラムド達に礼を言って観客席から出て芽依達と合流。その日は泉に戻ってご馳走を沢山作ってお祝いをした。
翌日は朝からラムドの開会の宣言が有り、一回戦が始まる。
組み合わせはその場で抽選、発表される。
芽依は一回戦でライブラと対戦する事になった。
「メイ様と戦うのですか」
「うん。ライブラさんと試合、楽しみだよ!遠慮はしないでね?」
「はい」
他の者はそれぞれ他の本戦出場者との対戦になっていた。これを勝ち上がると次はパーティメンバー同士の対戦が殆どになる。
芽依達は第二試合。私達は昨日に引き続きラムド達と同じ場所で観戦する。
二人揃って入場して、歓声を浴びながら武器を構えて準備をする。
銅鑼が打ち鳴らされて試合が開始された。
今日は残りの予選が行われて終了。明日は本戦一回戦が八試合行われる。
私は颯太を連れて、予選突破を成し遂げた皆に会いに選手達の控室に向かった。
本戦出場者は控室で明日のスケジュールの説明がらしく、残りの試合が終わるのを待たされている状態だ。一つの部屋に集められているだけで面会が出来ない訳ではなく、警備の者に話したら中に入れてくれた。
「お母さんお兄ちゃん見てた?全員本戦出場だよ!」
芽依が私と颯太の所に走ってきて満面の笑顔で言ってくる。
「ええ、見ていたわ。みんなおめでとう」
「みんな凄かったよ。おめでとう」
「ありがとうございます!」
皆、興奮していた。全員が残れるとは思っていなかったのかも知れない。
「これで当初の目的は達成できましたね。ここで棄権しても問題は無いと思いますが」
表情ひとつ変えずにそう言ったのはライブラ。
「折角ここまできたんだから何処までいけるか試してみたい」
「私も!ここで棄権したら勝ちを譲ってくれた人達に悪いよ」
「私も同じです」
セロ達三人はやる気だ。芽依、エレ、マイは聞くまでもない。
「分かりました。私も棄権は致しません」
「うん!みんなで頑張ろうね!」
「そうね。ここで棄権したら予選で戦った者に失礼だわ。みんなくれぐれも無理はしない様にね」
本戦出場者が全員揃うにはまだまだ時間が掛かる。私と颯太は芽依達と暫く話をしてから観戦に戻る事にした。
「おめでとうございますハルさん」
「ありがとう」
席に戻るとエリオットが祝福の言葉をくれたので礼を言っておく。
「明日は国王陛下からお言葉をいただいて本戦一回戦が始まります。対戦はその場で抽選され、一試合ずつ行われます。それでその……もしハルさんが望まれるなら、一回戦は全員が対戦しない様にする事もできますが」
「そんな事はしなくて大丈夫ですよ。あの子達は誰と当たっても正々堂々と戦い満足するでしょうから」
エリオットが持ちかけてきたのはイカサマだ。そんな事をして芽依達の戦いを汚したくない。勿論エリオットに悪気があった訳でもないのだろう。王族と庶民との認識の違いと思っておく事にした。
予選ブロックはあと二つ。今の勝者は受付で前に並んでいた大男、ゼムロスが本戦出場を決めていた。
見た目通りの豪快な試合運びで対戦相手を次々と倒していく様は見ていて気持ちが良かった。
彼について注目すべきはその恵まれた身体から繰り出される豪快な一撃ではなく、周囲の状況を正確に把握して行動を決めていた所だろう。ああ見えて頭脳派なのではないかと思う。
「やはり妾も出たかったのぅ。見ているだけでは身体が疼いてしまうのじゃ。精霊殿よ、妾とあの場で戦ってみぬか?」
「武術大会に水を差すような事をしたくないわ。今回は諦めなさい」
「つれないのぅ」
メリーゼハーヴはガッカリした様子で始まった予選を眺めていた。
やがて全ての本戦出場者が出揃い、本日は解散になる。
ラムド達に礼を言って観客席から出て芽依達と合流。その日は泉に戻ってご馳走を沢山作ってお祝いをした。
翌日は朝からラムドの開会の宣言が有り、一回戦が始まる。
組み合わせはその場で抽選、発表される。
芽依は一回戦でライブラと対戦する事になった。
「メイ様と戦うのですか」
「うん。ライブラさんと試合、楽しみだよ!遠慮はしないでね?」
「はい」
他の者はそれぞれ他の本戦出場者との対戦になっていた。これを勝ち上がると次はパーティメンバー同士の対戦が殆どになる。
芽依達は第二試合。私達は昨日に引き続きラムド達と同じ場所で観戦する。
二人揃って入場して、歓声を浴びながら武器を構えて準備をする。
銅鑼が打ち鳴らされて試合が開始された。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
432
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる