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竜の国
混戦を制する
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ライブラは次々と対戦相手を倒していく。焦った冒険者達は結託してライブラに襲いかかるも全く敵わずあっという間に全員を倒した。
その動きは鋭く一切の無駄はない。
殺害が目的ではないので気絶させる事を目的としているが、やむを得ない場合は片腕を斬り落としていた。
彼女は格の違いを見せつけて勝利した。
試合が終わると救護班の手伝いをするあたり、颯太によく教育されているのだと感心する。
次はセロの番だ。
セロは緊張した面持ちで入場してくる。
「動きが固いな」
「セロは普段通りの実力が出せればこの程度の試合は楽に勝てる筈だ。問題はあの男の気の弱さだ」
トコヤミとカクカミは厳しい口調で言っている。
確かにセロは気が弱いというか優しすぎる所がある。敵でもない試合相手に躊躇うのではないかと心配だ。
セロはヴォーリヤアステールに盾と、いつもの装備をしていた。周りを見渡して一番人の少ない所に移動する。
「よう!アンタあの生意気な女の仲間だったよな?」
セロに声を掛けてきたのは受付を終えた時に声を掛けてきた男だった。
「ああ、よろしく」
「ここで会ったら運の尽きだ、悪いが開始と同時に狙わせてもらうぜ?怪我をしない内に棄権しろよな!」
「忠告どうも。でもやれるだけやらせてもらうよ」
セロは作り笑顔で男に返す。男の方はつまらなさそうに鼻を鳴らして剣を担いで離れて行く。
彼らのチームは六人、反対側には四人のチームもいる。挟撃を受けたらセロでは捌ききれないだろう。
銅鑼が打ち鳴らされて試合が始まる。
六人チームがセロに目掛けて攻撃に出る。内訳は剣士が三人槍使いが一人回復術師と魔術師が一人ずつ。
セロは少し下がりながら斬り込んでくる三人を迎え撃つ。
「ほぉ、緊張している割には頭は冷静じゃのう」
メリーゼハーヴが言う通りセロは冷静の様だ。少し下がったのは三人の攻撃のタイミングをずらして捌く為だ。
初めの一人の攻撃は盾で弾き次は剣で受け流す。最後の一人は盾を使って器用に攻撃を逸らして見せた。
続いて槍使いが鋭い突きを見舞うが、それは大きく後ろに飛んで回避。
そこに魔術師が火球を放って追撃を加えるが、セロは盾を構えて受け止めた。
ダメージは入ってしまったが、火球が弾けた事により四人パーティの冒険者にも余波が当たる。彼らはセロに背を向ける形で他のチームの警戒をしていて不意を突かれた。
「何しやがる!」
「ああ?やる気か?」
「元より全員倒すつもりだ!やっちまえ!」
四人の冒険者は六人チームに襲い掛かる。当然セロも標的になるのだが、人数差がある為放って置かれる。
このままセロは乱戦に乗じて逃げるかと思ったが、土煙の中からセロは出てこない。
現れたのは六人チームの背後、回復術師の近くだった。
「きゃっ!?」
「すまない、降伏してはくれないか?」
「うぅ……分かりました」
彼は一瞬の隙を突いて乱戦の中を突破して回復術師の目の前に現れると手にした杖を破壊して、剣を喉元に突き付けていた。
セロはそのまま魔術師に斬り掛かる。
魔術師も火球を撃ち出して応戦。
慌てて撃ち出した為精度が悪く身を屈めれば避けられそうだが、セロは火球を盾で殴りつけて爆発させた。
「避けたらさっきの子に当たるからワザと火球を殴ったね」
そう、オオトリが言った通り彼は仲間でもない回復術師を庇ったのだ。
しかしそんな事をすればセロにもダメージが入る。セロは左腕に火傷を負いながらも魔術師に迫る。
前衛の四人は手が離せずに援護に来れない。
セロは剣を振り降ろし魔術師の杖を叩き折った。
「こ、降参だよ!」
両手を上げて棄権を表明する魔術師。
これで四対四対一。残った八人の力は拮抗しているが、セロが背後から攻撃すれば六人チームの方は窮地に立たされる。
「おい兄ちゃん、後ろからやっちまえ!一時休戦と行こうぜ!」
四人パーティの一人が声を掛けて来るが、セロはこの戦場から離れていく。
彼らしい判断だわ。
その動きは鋭く一切の無駄はない。
殺害が目的ではないので気絶させる事を目的としているが、やむを得ない場合は片腕を斬り落としていた。
彼女は格の違いを見せつけて勝利した。
試合が終わると救護班の手伝いをするあたり、颯太によく教育されているのだと感心する。
次はセロの番だ。
セロは緊張した面持ちで入場してくる。
「動きが固いな」
「セロは普段通りの実力が出せればこの程度の試合は楽に勝てる筈だ。問題はあの男の気の弱さだ」
トコヤミとカクカミは厳しい口調で言っている。
確かにセロは気が弱いというか優しすぎる所がある。敵でもない試合相手に躊躇うのではないかと心配だ。
セロはヴォーリヤアステールに盾と、いつもの装備をしていた。周りを見渡して一番人の少ない所に移動する。
「よう!アンタあの生意気な女の仲間だったよな?」
セロに声を掛けてきたのは受付を終えた時に声を掛けてきた男だった。
「ああ、よろしく」
「ここで会ったら運の尽きだ、悪いが開始と同時に狙わせてもらうぜ?怪我をしない内に棄権しろよな!」
「忠告どうも。でもやれるだけやらせてもらうよ」
セロは作り笑顔で男に返す。男の方はつまらなさそうに鼻を鳴らして剣を担いで離れて行く。
彼らのチームは六人、反対側には四人のチームもいる。挟撃を受けたらセロでは捌ききれないだろう。
銅鑼が打ち鳴らされて試合が始まる。
六人チームがセロに目掛けて攻撃に出る。内訳は剣士が三人槍使いが一人回復術師と魔術師が一人ずつ。
セロは少し下がりながら斬り込んでくる三人を迎え撃つ。
「ほぉ、緊張している割には頭は冷静じゃのう」
メリーゼハーヴが言う通りセロは冷静の様だ。少し下がったのは三人の攻撃のタイミングをずらして捌く為だ。
初めの一人の攻撃は盾で弾き次は剣で受け流す。最後の一人は盾を使って器用に攻撃を逸らして見せた。
続いて槍使いが鋭い突きを見舞うが、それは大きく後ろに飛んで回避。
そこに魔術師が火球を放って追撃を加えるが、セロは盾を構えて受け止めた。
ダメージは入ってしまったが、火球が弾けた事により四人パーティの冒険者にも余波が当たる。彼らはセロに背を向ける形で他のチームの警戒をしていて不意を突かれた。
「何しやがる!」
「ああ?やる気か?」
「元より全員倒すつもりだ!やっちまえ!」
四人の冒険者は六人チームに襲い掛かる。当然セロも標的になるのだが、人数差がある為放って置かれる。
このままセロは乱戦に乗じて逃げるかと思ったが、土煙の中からセロは出てこない。
現れたのは六人チームの背後、回復術師の近くだった。
「きゃっ!?」
「すまない、降伏してはくれないか?」
「うぅ……分かりました」
彼は一瞬の隙を突いて乱戦の中を突破して回復術師の目の前に現れると手にした杖を破壊して、剣を喉元に突き付けていた。
セロはそのまま魔術師に斬り掛かる。
魔術師も火球を撃ち出して応戦。
慌てて撃ち出した為精度が悪く身を屈めれば避けられそうだが、セロは火球を盾で殴りつけて爆発させた。
「避けたらさっきの子に当たるからワザと火球を殴ったね」
そう、オオトリが言った通り彼は仲間でもない回復術師を庇ったのだ。
しかしそんな事をすればセロにもダメージが入る。セロは左腕に火傷を負いながらも魔術師に迫る。
前衛の四人は手が離せずに援護に来れない。
セロは剣を振り降ろし魔術師の杖を叩き折った。
「こ、降参だよ!」
両手を上げて棄権を表明する魔術師。
これで四対四対一。残った八人の力は拮抗しているが、セロが背後から攻撃すれば六人チームの方は窮地に立たされる。
「おい兄ちゃん、後ろからやっちまえ!一時休戦と行こうぜ!」
四人パーティの一人が声を掛けて来るが、セロはこの戦場から離れていく。
彼らしい判断だわ。
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