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竜の国
冷徹な剣士
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マイの作ったゴーレム達は次々と冒険者を倒していった。
「ちぃっ!コイツを初めに倒しておくべきだったか……!」
「俺には幼気な少女を攻める事は出来なかったんだ!」
ゴーレムの攻撃を突破してマイの所にやって来る大剣使いと槍使い。
マイは尚も壁を背にしたままで後ろに逃げ場は無い。
二人の攻撃間合いが広く動きが早い為逃げる事が出来ない。
しかしマイが壁を背にしているのは死角を無くす為だけではなかった。
二人の攻撃が届く直前、壁から巨大な石の腕が二本現れて攻撃を弾くと、そのまま二人を掴んで身動きを封じた。
「降参してくださいです。痛い思いをするだけです」
「くっ……仕方ねえ。まいった」
「降参だ」
二人は素直に従ってくれた。
他の者も倒されていて、二人の宣言が確認されると同時に銅鑼が打ち鳴らされた。
解放した二人にペコリと頭を下げるマイ。
「負けちまったな!俺の分まで頑張ってくれや!」
「すっかり騙されてしまった。君の実力は本物だ。頑張れよ」
二人はそれぞれマイに声を掛けてから退場していった。
マイも私達の方を見て小さく手を振ってから走って退場していく。
「正々堂々戦っても圧勝だっただろうに」
「手の内を明かしたくなかったんだろうけど、申し訳なくなってしまったんだね」
トコヤミと颯太は退場していくマイを見ながら話していた。
マイは優しいわね。これは試合なのだからそれでいいのよ。
次はライブラだ。
彼女は片手剣を一振りに軽鎧と、芽依とほぼ同じ装備だ。
バイオノイドという機械なだけあって筋力はかなり高く、エレの持つ大剣でも軽々と扱える。彼女が片手剣を使うのは『味方の支援が容易だから』だそうだ。
「ライブラはエレとは性質が全然違いますからね」
「知能を最大まで引き上げたエレの上位互換って所でしょうか」
ギョクリュウとヤトはライブラを高く評価している。
「俺は彼女の戦い方はあまり好きじゃないかな。無駄がなさ過ぎて味気ないというか……」
「あー分かる。さっきのマイみたいな作戦は使わないタイプだもんね。無表情で考えも読みにくいから戦い難いんだよ」
メトとマカミは彼女の戦闘スタイルを好きではないという。
ただ全員一致でエレやマイより強いという評価だ。
彼女は会場を見回すと一番人の密度が少なく壁に近い所に陣取った。対戦相手は全員チームで六人、五人、四人、四人で六人の所は全員同じ装備をしており、冒険者というより軍の者に見える。どのチームもライブラをチラリと見ては何やら話をしていた。
既に本戦進出が決まっている三人同様、開始と同時に狙われるだろう。
銅鑼が打ち鳴らされて試合が開始される。ライブラは剣は手に下げたまま周囲を見渡し様子を伺っている。表情は無く自然体の彼女は隙がある様に見えて全く無い。
近くの四人グループがライブラに向かおうとしたが、彼女の様子を見て躊躇い歩みを止める。そこを背後から五人のグループが襲撃を仕掛けて乱戦が始まった。
六人のグループは残る四人のグループの所に向かって動き出す。ライブラはそれを見て同じ方向に動き始めた。
人数が少ない上に相手の実力の方が上だった様で、四人は劣勢になり防戦一方になるが、ライブラが飛び込んで行き六人の側の一人を斬りつけて倒した。
「援護感謝する」
「私はあなた方を助けたつもりはありません。このまま全員を攻撃するつもりなので、そちらも私を味方と思わぬ様にお願い致します」
ライブラは丁寧に答えるともう一人を攻撃、相手の剣を叩き落として降参させた。
困惑する四人に対しても攻撃を始めるライブラ。先程言葉を交わした男に鋭い連撃を浴びせて武器と防具を破壊。背後から六人のグループが一斉に攻撃に出るがそれも冷静に避けて次々と反撃。
対処が正確で一撃の攻撃力も高く一切の隙も見せない。
あっという間に十人全員を倒してしまった。
「ちぃっ!コイツを初めに倒しておくべきだったか……!」
「俺には幼気な少女を攻める事は出来なかったんだ!」
ゴーレムの攻撃を突破してマイの所にやって来る大剣使いと槍使い。
マイは尚も壁を背にしたままで後ろに逃げ場は無い。
二人の攻撃間合いが広く動きが早い為逃げる事が出来ない。
しかしマイが壁を背にしているのは死角を無くす為だけではなかった。
二人の攻撃が届く直前、壁から巨大な石の腕が二本現れて攻撃を弾くと、そのまま二人を掴んで身動きを封じた。
「降参してくださいです。痛い思いをするだけです」
「くっ……仕方ねえ。まいった」
「降参だ」
二人は素直に従ってくれた。
他の者も倒されていて、二人の宣言が確認されると同時に銅鑼が打ち鳴らされた。
解放した二人にペコリと頭を下げるマイ。
「負けちまったな!俺の分まで頑張ってくれや!」
「すっかり騙されてしまった。君の実力は本物だ。頑張れよ」
二人はそれぞれマイに声を掛けてから退場していった。
マイも私達の方を見て小さく手を振ってから走って退場していく。
「正々堂々戦っても圧勝だっただろうに」
「手の内を明かしたくなかったんだろうけど、申し訳なくなってしまったんだね」
トコヤミと颯太は退場していくマイを見ながら話していた。
マイは優しいわね。これは試合なのだからそれでいいのよ。
次はライブラだ。
彼女は片手剣を一振りに軽鎧と、芽依とほぼ同じ装備だ。
バイオノイドという機械なだけあって筋力はかなり高く、エレの持つ大剣でも軽々と扱える。彼女が片手剣を使うのは『味方の支援が容易だから』だそうだ。
「ライブラはエレとは性質が全然違いますからね」
「知能を最大まで引き上げたエレの上位互換って所でしょうか」
ギョクリュウとヤトはライブラを高く評価している。
「俺は彼女の戦い方はあまり好きじゃないかな。無駄がなさ過ぎて味気ないというか……」
「あー分かる。さっきのマイみたいな作戦は使わないタイプだもんね。無表情で考えも読みにくいから戦い難いんだよ」
メトとマカミは彼女の戦闘スタイルを好きではないという。
ただ全員一致でエレやマイより強いという評価だ。
彼女は会場を見回すと一番人の密度が少なく壁に近い所に陣取った。対戦相手は全員チームで六人、五人、四人、四人で六人の所は全員同じ装備をしており、冒険者というより軍の者に見える。どのチームもライブラをチラリと見ては何やら話をしていた。
既に本戦進出が決まっている三人同様、開始と同時に狙われるだろう。
銅鑼が打ち鳴らされて試合が開始される。ライブラは剣は手に下げたまま周囲を見渡し様子を伺っている。表情は無く自然体の彼女は隙がある様に見えて全く無い。
近くの四人グループがライブラに向かおうとしたが、彼女の様子を見て躊躇い歩みを止める。そこを背後から五人のグループが襲撃を仕掛けて乱戦が始まった。
六人のグループは残る四人のグループの所に向かって動き出す。ライブラはそれを見て同じ方向に動き始めた。
人数が少ない上に相手の実力の方が上だった様で、四人は劣勢になり防戦一方になるが、ライブラが飛び込んで行き六人の側の一人を斬りつけて倒した。
「援護感謝する」
「私はあなた方を助けたつもりはありません。このまま全員を攻撃するつもりなので、そちらも私を味方と思わぬ様にお願い致します」
ライブラは丁寧に答えるともう一人を攻撃、相手の剣を叩き落として降参させた。
困惑する四人に対しても攻撃を始めるライブラ。先程言葉を交わした男に鋭い連撃を浴びせて武器と防具を破壊。背後から六人のグループが一斉に攻撃に出るがそれも冷静に避けて次々と反撃。
対処が正確で一撃の攻撃力も高く一切の隙も見せない。
あっという間に十人全員を倒してしまった。
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