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勇者
国王の意図
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ブランから手紙を預かってギルドを出る。そのまま王城に向かって歩く事にした。
「大会~!すっごく楽しみ!」
芽依は本当に嬉しそうね。
「半数が本戦に残るのが条件か。気合い入れなくちゃな」
セロは緊張した面持ちで呟いた。
「別に焦って昇格しなくても良いと思いますよ。今回は自身の腕試しのつもりで出てくださいね」
そう。これは絶対にやらなければならない事ではない。急いで銀級になる必要はない。
「大会に出るという事は王都に滞在する事になりますか?」
「みんなは開催までの十日間王都に居たい?」
ここは全員の意見を聞こう。
「居なくていいならセイランか森に帰りたいよ」
芽依は王都には居たくないみたいね。
「俺はどちらでも。路銀はあるし王都に宿をとってギルドで修練するのも悪くないし、泉に行かせてもらえるならメイさんやソータさんに稽古をつけてもらいたい」
「私は今日だけ街を見て歩けたらあとは何処でもいいよ」
「私も同じです」
セロ、リン、ミラは何処でも良いそうだ。
エレ、マイ、ライブラも何処でも良いそうなので、泉に帰る事に決まった。
王城前に着くと私達を見つけた衛兵が慌てて城内と連絡をとりに走っていく。
「ハル様、今日はどの様な御用でしょうか?」
「こんにちは。国王陛下に書簡をお届けに参りました。お預かりいただけますか?」
「少々お待ちください。只今取り次いでおりますので」
どうやら目通り出来るかもしれない。
会って話が出来るのなら大会について一つ聞きたい事がある。
衛兵が大慌てで帰って来た。騎士を二名連れて来ている。
「お待たせ致しました。城内へご案内致します」
どうやら騎士二名が私達を案内してくれる様だ。
城内に入ると、エリオットが待っていた。
「やあハルさん、連絡してくれれば馬車を寄越したのだけど」
「いいえ、一冒険者の私達が馬車を使う訳にはいきません」
「ハルさん達はこの国を救ってくれた英雄なのだから遠慮はいりませんよ」
そう言って微笑むエリオット。彼も随分と丸くなったわね。
騎士の案内はそのままでエリオットは私達と共に国王の私室へと向かう。
入り口には国王付きの使用人が控えていて、私達を見ると室内に声を掛けてドアを開けてくれた。騎士の案内はここまでで、私達とエリオットはラムドの私室に入る。
「ハル殿。今日は書簡を持ってきたそうだが、何かあったのかな?」
「こちらは冒険者ギルドマスター、ブランからの書簡です」
エリオットが受け取ってくれ、封を切ってラムドに渡す。
「ソアニールの勇者を倒し国を救った……?」
「結果としてですが、そうなります」
ラムドは書面を何度か読み返して深く息を吐く。
「……良くやってくれた」
「いえ、ソアニール側には戦闘による犠牲者も出ています。それを口実に何か不利な条件を提示してくる可能性もあります。申し訳ありません」
「流石にそこまで無恥ではあるまい。ソアニールはハル殿に助けられ目の前でその力も見ている。下手な事は言って来ぬよ」
ラムドは状況を冷静に分析して私の予測を否定する。
「それならば良いのですが」
「ハル殿は何も心配する必要はない。あとは国同士の話、上手く取りまとめてみせよう」
「ありがとうございます」
頼りになる国王だ。
「ソアニールの件での報酬については国から出させてもらおう。この書簡には武術大会に出場すると書いてあるが、本当かね?」
「はい。私以外の者が出ます。武術大会についてお聞きしたいのですが」
「何かな?」
「この様な時期に行う意図を教えて下さい」
アドラスのテロ攻撃と出兵からそう経っていない今やらなければならないのか。
ここまでのやり取りで聞くまでもないと思ったが敢えて聞いておく。
「国が疲弊している今だからこそなのだ。無論、例年より規模は縮小するが民に発散の機会と活気を戻す為の方策である」
想像通りの返事だった。
「大会~!すっごく楽しみ!」
芽依は本当に嬉しそうね。
「半数が本戦に残るのが条件か。気合い入れなくちゃな」
セロは緊張した面持ちで呟いた。
「別に焦って昇格しなくても良いと思いますよ。今回は自身の腕試しのつもりで出てくださいね」
そう。これは絶対にやらなければならない事ではない。急いで銀級になる必要はない。
「大会に出るという事は王都に滞在する事になりますか?」
「みんなは開催までの十日間王都に居たい?」
ここは全員の意見を聞こう。
「居なくていいならセイランか森に帰りたいよ」
芽依は王都には居たくないみたいね。
「俺はどちらでも。路銀はあるし王都に宿をとってギルドで修練するのも悪くないし、泉に行かせてもらえるならメイさんやソータさんに稽古をつけてもらいたい」
「私は今日だけ街を見て歩けたらあとは何処でもいいよ」
「私も同じです」
セロ、リン、ミラは何処でも良いそうだ。
エレ、マイ、ライブラも何処でも良いそうなので、泉に帰る事に決まった。
王城前に着くと私達を見つけた衛兵が慌てて城内と連絡をとりに走っていく。
「ハル様、今日はどの様な御用でしょうか?」
「こんにちは。国王陛下に書簡をお届けに参りました。お預かりいただけますか?」
「少々お待ちください。只今取り次いでおりますので」
どうやら目通り出来るかもしれない。
会って話が出来るのなら大会について一つ聞きたい事がある。
衛兵が大慌てで帰って来た。騎士を二名連れて来ている。
「お待たせ致しました。城内へご案内致します」
どうやら騎士二名が私達を案内してくれる様だ。
城内に入ると、エリオットが待っていた。
「やあハルさん、連絡してくれれば馬車を寄越したのだけど」
「いいえ、一冒険者の私達が馬車を使う訳にはいきません」
「ハルさん達はこの国を救ってくれた英雄なのだから遠慮はいりませんよ」
そう言って微笑むエリオット。彼も随分と丸くなったわね。
騎士の案内はそのままでエリオットは私達と共に国王の私室へと向かう。
入り口には国王付きの使用人が控えていて、私達を見ると室内に声を掛けてドアを開けてくれた。騎士の案内はここまでで、私達とエリオットはラムドの私室に入る。
「ハル殿。今日は書簡を持ってきたそうだが、何かあったのかな?」
「こちらは冒険者ギルドマスター、ブランからの書簡です」
エリオットが受け取ってくれ、封を切ってラムドに渡す。
「ソアニールの勇者を倒し国を救った……?」
「結果としてですが、そうなります」
ラムドは書面を何度か読み返して深く息を吐く。
「……良くやってくれた」
「いえ、ソアニール側には戦闘による犠牲者も出ています。それを口実に何か不利な条件を提示してくる可能性もあります。申し訳ありません」
「流石にそこまで無恥ではあるまい。ソアニールはハル殿に助けられ目の前でその力も見ている。下手な事は言って来ぬよ」
ラムドは状況を冷静に分析して私の予測を否定する。
「それならば良いのですが」
「ハル殿は何も心配する必要はない。あとは国同士の話、上手く取りまとめてみせよう」
「ありがとうございます」
頼りになる国王だ。
「ソアニールの件での報酬については国から出させてもらおう。この書簡には武術大会に出場すると書いてあるが、本当かね?」
「はい。私以外の者が出ます。武術大会についてお聞きしたいのですが」
「何かな?」
「この様な時期に行う意図を教えて下さい」
アドラスのテロ攻撃と出兵からそう経っていない今やらなければならないのか。
ここまでのやり取りで聞くまでもないと思ったが敢えて聞いておく。
「国が疲弊している今だからこそなのだ。無論、例年より規模は縮小するが民に発散の機会と活気を戻す為の方策である」
想像通りの返事だった。
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