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勇者
洞窟の魔物
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『俺達、洞窟を通ってここに来ました』
一番前のゴブリンが平伏したまま話し出す。
「元の住処を追われて来たの?」
『はい。俺達が住処にしていた洞窟に化け物がやって来て大暴れしているんです。ソイツに半分以上喰われちまった……精霊様、奴を討伐してはもらえませんか?』
「どんな化け物だったの?」
『馬鹿デカい芋虫です』
「なんだ芋虫かぁ。大きいって言ったって大した事ないんじゃない?」
『信じられない程デカかったんだ!あんなのに狙われたらどうしようもない!』
芽依の言った事に食って掛かるゴブリン。
「それはケイヴワームではないでしょうか」
ライブラはゴブリンの言葉も理解している様で、騒ぐゴブリン達の言葉を元に該当する魔物の名前を出して来た。
「ケイヴワーム?」
「通った地中が洞窟になるくらい大きな芋虫です。凄まじい勢いで地中を掘り進むので進路上にいたら助からないでしょう」
「そんなに凶悪な魔物が……」
ライブラが詳細を教えてくれた。
「ディアブレルでは災害をもたらすものとして知られているそうです」
彼女は泉で颯太の蔵書を読んでいたらしいので、その中に魔物の本が含まれていたのだろう。
「生き残りはあなた達だけ?」
『分かりません。みんなバラバラに逃げて来たので』
ここにいる五人は偶然逃げる方向が同じだっただけで家族ではないそうだ。
「ここに居たら人間に討伐されるわよ」
『他の者が逃げて来るかも知れないので俺達はここで待っているんです』
彼らが退去しても他のゴブリンがやって来る可能性があるか。
そのケイヴワームがこちらにやって来る可能性もあるだろう。こんな街の近くに巨大な魔物が現れたら被害が出てしまう。
「セロさん」
「そうだね。ケイヴワームを倒そう」
セロは私の考えている事を察して言ってきた。他の者も異論はない。
「私達が巨大芋虫を退治したらここから離れられるわよね?」
『はい。精霊様ありがとうございます!』
再び平伏するゴブリン達。
「一つ聞きたいのだけど、この辺りで珍しい薬草を探しているのだけど見たことない?」
ハイレングラスの形や色を説明してみる。
『それなら最近洞窟のそばで生えているのを見ました。俺達が元々暮らしていた洞窟の側には沢山生えています』
つまり彼らが移動してきた事によって種か何かを運んできたという事か。
依頼は現物を採取してギルドに説明するだけだが、ゴブリン達は今困っているのだ。こちらから先に片付けてしまおう。
『俺達が道案内します』
ゴブリン達は洞窟へと案内してくれる。
マイの言った通り洞窟のすぐそばにはハイレングラスが複数生えていた。
そのうち品質の良い物を幾つか採取して指輪に入れると、私達は洞窟へと入って行く。
入ってすぐに急な下り坂になっていて真っ暗だ。私が光の球を出して目線よりも上に浮かべると、急な下り坂はかなり続いている様だった。
ゴブリン達が先頭を歩いてくれるので私達はその後に続く。暫く降りると平になり、大きな空間に出た。
『曲がりくねっているし別れ道もありますが、この洞窟をずっと歩いた先に奴はいます』
「これが……洞窟?」
洞窟というより大空洞と言った方が良いだろう。高さは十メートル以上、幅も同じくらいか。少し行った所で半分ほどの広さになっているが、それでもかなり広い。
「微量の体組織を検知しました。この空洞を作ったのがケイヴワームだと推測します」
隅に落ちている小石などを調べながらライブラが報告をしてくる。
「えぇー……こんなに大きな、芋虫?剣通るかな?」
「想像しただけで鳥肌が……」
芽依は普通に驚いているだけだが、リンは嫌そうだった。
「しかも高速で移動しているのですよね」
「最悪……」
リンは虫苦手なのかしら?
『精霊様、お仲間の皆さんも、ついてきてください』
ゴブリンの案内で空洞の奥へと進んでいった。
一番前のゴブリンが平伏したまま話し出す。
「元の住処を追われて来たの?」
『はい。俺達が住処にしていた洞窟に化け物がやって来て大暴れしているんです。ソイツに半分以上喰われちまった……精霊様、奴を討伐してはもらえませんか?』
「どんな化け物だったの?」
『馬鹿デカい芋虫です』
「なんだ芋虫かぁ。大きいって言ったって大した事ないんじゃない?」
『信じられない程デカかったんだ!あんなのに狙われたらどうしようもない!』
芽依の言った事に食って掛かるゴブリン。
「それはケイヴワームではないでしょうか」
ライブラはゴブリンの言葉も理解している様で、騒ぐゴブリン達の言葉を元に該当する魔物の名前を出して来た。
「ケイヴワーム?」
「通った地中が洞窟になるくらい大きな芋虫です。凄まじい勢いで地中を掘り進むので進路上にいたら助からないでしょう」
「そんなに凶悪な魔物が……」
ライブラが詳細を教えてくれた。
「ディアブレルでは災害をもたらすものとして知られているそうです」
彼女は泉で颯太の蔵書を読んでいたらしいので、その中に魔物の本が含まれていたのだろう。
「生き残りはあなた達だけ?」
『分かりません。みんなバラバラに逃げて来たので』
ここにいる五人は偶然逃げる方向が同じだっただけで家族ではないそうだ。
「ここに居たら人間に討伐されるわよ」
『他の者が逃げて来るかも知れないので俺達はここで待っているんです』
彼らが退去しても他のゴブリンがやって来る可能性があるか。
そのケイヴワームがこちらにやって来る可能性もあるだろう。こんな街の近くに巨大な魔物が現れたら被害が出てしまう。
「セロさん」
「そうだね。ケイヴワームを倒そう」
セロは私の考えている事を察して言ってきた。他の者も異論はない。
「私達が巨大芋虫を退治したらここから離れられるわよね?」
『はい。精霊様ありがとうございます!』
再び平伏するゴブリン達。
「一つ聞きたいのだけど、この辺りで珍しい薬草を探しているのだけど見たことない?」
ハイレングラスの形や色を説明してみる。
『それなら最近洞窟のそばで生えているのを見ました。俺達が元々暮らしていた洞窟の側には沢山生えています』
つまり彼らが移動してきた事によって種か何かを運んできたという事か。
依頼は現物を採取してギルドに説明するだけだが、ゴブリン達は今困っているのだ。こちらから先に片付けてしまおう。
『俺達が道案内します』
ゴブリン達は洞窟へと案内してくれる。
マイの言った通り洞窟のすぐそばにはハイレングラスが複数生えていた。
そのうち品質の良い物を幾つか採取して指輪に入れると、私達は洞窟へと入って行く。
入ってすぐに急な下り坂になっていて真っ暗だ。私が光の球を出して目線よりも上に浮かべると、急な下り坂はかなり続いている様だった。
ゴブリン達が先頭を歩いてくれるので私達はその後に続く。暫く降りると平になり、大きな空間に出た。
『曲がりくねっているし別れ道もありますが、この洞窟をずっと歩いた先に奴はいます』
「これが……洞窟?」
洞窟というより大空洞と言った方が良いだろう。高さは十メートル以上、幅も同じくらいか。少し行った所で半分ほどの広さになっているが、それでもかなり広い。
「微量の体組織を検知しました。この空洞を作ったのがケイヴワームだと推測します」
隅に落ちている小石などを調べながらライブラが報告をしてくる。
「えぇー……こんなに大きな、芋虫?剣通るかな?」
「想像しただけで鳥肌が……」
芽依は普通に驚いているだけだが、リンは嫌そうだった。
「しかも高速で移動しているのですよね」
「最悪……」
リンは虫苦手なのかしら?
『精霊様、お仲間の皆さんも、ついてきてください』
ゴブリンの案内で空洞の奥へと進んでいった。
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